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三条の妖怪 おばりよん

おばりよん」は、新潟県三条市の妖怪。
おばりよんの他にも「うばりよん」「ばりよん」「おんぶおばけ」「おぼさりてい」「ばろんばろん」とも呼ばれている。
「ばりよん」は「背負う」という方言でもあるため、文字通り、おんぶのお化けである。

おばりよんの逸話

夜、藪の中を歩いていると、後ろから「おばりよん」という声が聞こえ、背中におぶさってくる。
おばりよんを背負っていると次第に重くなってきて、離そうにも簡単には離れない。
『越後三条南郷談』では、頭をかじってくるとも伝えられているため、夜道を歩くときは金鉢をかぶって頭をかじられないようにしたともされる。
とある者が、重さに耐えておぶって家まで行くと、おばりよんが黄金に変わっていたとも伝えられている。
また、おばりよんの対処法として、弁当の残り物を食べると、おばりよんが退散をするともいわれている。

おばりよんの正体

おばりよんの正体は、キツネともいわれている。
「バロウギツネ」というキツネが人に化けて、「ばろうばろう(負われよう)」と鳴くという。

おばりよんが登場する創作物

おばりよんは、有名作品にもいくつか登場する。
一番有名なのが、かの『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくるおばりよんであろう。
緑色の球体に手足が生えた姿が特徴的である。
その他には、『女神転生』シリーズ、『ペルソナ』シリーズに「オバリヨン」という名で登場する。
「おばりよん」という名前ではないが、戦隊モノの『超力戦隊オーレンジャー オーレVSカクレンジャー』に「おんぶおばけ」というおばりよんをモチーフにしたような敵キャラが登場する。
また、『おんぶおばけ』というタイトルのアニメや映画(それぞれ横山隆一氏の原作)もある。

おばりよんに類似する妖怪

おばりよんに似た妖怪は、全国的にもよく見られる。徳島の「オッパショ石」、広島の「おいがかり」がそうである。

オッパショ石は、おばりよんと同様に「おっぱしょ(背負ってくれ)」と声を上げる奇妙な石。
力自慢の者が石に「おっぱしょ」と言われたので、その石をおぶってみたところ、石が次第に重くなってくる。
男が石を放り投げると、石は真っ二つに割れ、それ以来、石が声を上げることはなくなったという。
このオッパショ石は、徳島市の焼香庵(しょうこうあん)跡墓地に存在する。

おいがかりは、広島県にあった比婆郡(ひばぐん)で伝えられている妖怪。
道を歩いていると、後ろから背中に覆いかかってくるとされる。

おばりよんも含め、これらの妖怪が何故人の背中におぶさってくるのかは全く不明である。

おばりよん考察

このように、日本にはおんぶに関するおばけがいくつも存在する。
夜道を歩く恐怖感や疲労感がそれらの概念を生んだようにも思える。
昔は、電燈がないため、夜は現代よりも暗く、山や藪の中を歩くのはさぞ怖かったであろう。
暗い夜道を通って一刻も早く家に帰りたいという焦りの気持ち、長く歩いたことによる疲労感、そして、暗闇の中に何かいるのではないかという恐怖感。
それらの感情が、何かがおぶさってくるという錯覚を生んだのではないだろうか。
或いは、焦りや恐怖などから、聞きなれない鳥や動物の鳴き声などを「おばりよん」などと聞き間違えたのかもしれない。

こうした明かりのない夜道の恐怖がおばりよんを生んだのではないかと思える。
妖怪を通して、その当時の人々の感情を推察でき、概念として残せるというのが妖怪の一つの意義であるのかもしれない。

新潟県非公式PRキャラ「根雪ちゃん」の相方

おばりよんは、私のプロデュースするキャラクター「根雪ちゃん」の相方として、根雪ちゃんの肩に乗っています。
【根雪ちゃんTwitter】
https://twitter.com/neyukichan

おばりよん


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