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情報化社会と労働市場が婚活に及ぼす影響を掘り下げてみる

30代の婚活はなぜ厳しくなるのか

ありがたいことに、マッチングアプリで出会って自分に対して好意を示してくれた女性がいたが、私の本心は「そこまで好きとは言えない」状態。「自分が頑張って好きになれば、幸せになれるかも」と思ってそのままデートを重ねた。しかし、結局ダメで破局。相手の貴重な時間を余計に奪ってしまう結果となった。

振り返ってみると、「定期的に会う女性がいない自分に耐えられない」というつまらないプライドがあったと思う。「この人と恋人になれるかどうか」が最初の直感から変わることは稀だ。

それでも、ネット上の情報をかき集めれば「0時丁度に誕生日おめでとうLINEを送る」「手料理を振る舞う」「プレゼントを贈り合う」「毎日欠かさずメッセージを送る」などのそれっぽい振る舞いはできてしまった。

しかも、年齢はお互いに30代半ば。30代の婚活が厳しいのは、「これから努力で弱点を克服するプラスよりも、加齢によるデメリットの方が大きい」ことだ。

このままズルズルいくと相手に失礼だし男も廃ると思ったので、友達としては凄く良いけど、恋人同士にはなれないと伝えた。自分としては本気で友達として時折会いたいと思っていたけど、向こうからLINEをブロックしてくれと言われてその通りにする。

マッチングアプリで出会った男女は、ほぼ100%付き合うか他人になるかの2択しかない。手軽に出会って別れてを繰り返せるが、人的資本は蓄積されない。

とはいえ、自分の血肉になったなあと思う経験もある。一つは「関係性の最高深度」を更新できた時」だ。今まで1回目のデートで終わっていた人が、2回目、3回目のデートにたどり着けた時には求められることが変わり、人間としての経験値が深まる。

もう一つは「自分の価値観の解像度が高まった時」だ。よく恋愛トークで「好きなタイプは?」という話題が出るが、人間を構成する要素は無数にあるので、一言では語り尽くせない。しかも、「Aが満たせているならBは多少劣っていても気にならない」みたいに、この変数は互いに影響し合う。

しかし、一人の人間と向き合うことで、複雑でボンヤリした自分の価値体系がアップデートされる。逆に1番ヤバいのは「人を変えながら同じ失敗ばかり繰り返す」パターンだ。時間ばかり過ぎて、加齢により出会いのチャンスがドンドン減りつつジリ貧になるからである。

労働市場と婚活市場の関係性

婚活を通じて多数の女性に会っていくうちに気づいたことがある。30代の婚活市場では、「ワークライフバランス」を崩してしまった人間が一発逆転を目指して多数参入していることだ。

実際、看護師・保育士・SE・医師を筆頭に、「土日祝日に休めない」「労働時間が長い」「夜勤がある」「突発的な出勤が発生する」など、他人と予定を合わせにくい人たちがかなりの割合でいる。

過酷な労働環境や家庭環境により(精神疾患に至らないとしても)心を病んでいる人も多い。陽の光を浴びない&寝不足&多大なるストレスが重なれば、病むのもある意味当然だ。

逆に「ライフに振り切りすぎてワークが疎かになっている」人も相当数いる。無職だったりアラサーでフリーターを継続している人がこの分類に当てはまる。職場恋愛で相手を見つけた人は全く出会わない人種だろう。

こういったライフ偏重層は文化色の強いコミュニティにたくさんいて、実家暮らし率が高い。出版や映画などの文化事業がお金にならないのは、支えているファン層の経済基盤が弱いからだというのがよく分かる。彼ら/彼女らは好きなもののために食費を削ることも厭わないが、それでも非正規雇用や親のすねかじりだと絞り出せる予算には限度があるのだ。

ちなみに、私は仕事と趣味に振り切りまくって「色恋関係はボーッとしていた」タイプである。デートや作戦を練る時間を捻出する必要に迫られているのに、長年染み付いた長時間労働の癖が抜けないので困っている。平日の夜にデートや合コンの予定があると、男は必死に仕事効率を高めようとする、というのが私の仮説だ。

自分一人の趣味の予定だと簡単にキャンセルや延期できてしまうので、「何としてでも時間内にやり切る」という切迫感がないのである。

昨今は同年代婚が増えているが、30代半ばに差し掛かかると、妊活の問題が顕在化する。障害を抱えた子どもが生まれる可能性が高くなったり、そもそも卵子や精子の力が弱まって妊娠しづらくなる。

私の周りの夫婦は多くが「二人でイチャイチャする時間」をしばらく経て、「子供が欲しい」という段階へ移行する。しかし、年齢を重ねてくると、子供が欲しい場合には「二人でイチャイチャする時間」をとる間も無く妊活に突入することになるのだ。

30代男性が20代女性にアタックするのは、意識的にせよ無意識的にせよ「二人でイチャイチャする猶予を確保したい」と思っているからではないか。

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