見出し画像

保険契約の転換を、営業心理と絡めながら掘り下げてゆく

転換との上手な付き合い方

保険契約の中には転換という方法がある。要するに既に加入している保険を下取りに出して、通常よりも安く加入する取扱いのことだ。

保障範囲が被っている場合、保険会社目線でいうとリスクが変わらないので、加入時審査が不要になる場合もある。

なぜ安く加入できるかというと理由は簡単で、元契約の中にある積立金額を保険料として充てるからである。

自分の財布から保険料を新たに払う時には抵抗を示す人でも、既に保険という形を取っているものから別の保険に移し替えるとなると抵抗感が少ないようだ。

落とし穴があるとすれば、解約返戻金の貯まりが大きいお宝保険を、掛け捨ての保障に移し替えることである。これは解約すれば手に入った現金を、保障という換金しづらいものに変えることを意味する。

「自分は納得づくでここにベットする」というのであればいいのだが、流動性を犠牲にするだけの意味があるのかはよくよく考えた方がよい。

転換制度を勧めるタイミング

転換を勧められるタイミングは大体決まっていて、契約の更新時期が迫り、保険料が上がることが見えてきた時だ。ここで是非頭に置いていただきたいのが、「減額更新+新規契約」という組み合わせである。

たとえば、自分は今まで死亡保障に5000万入ってきたけど、子供も独り立ちしたので、死亡保障は2000万に減額して別で年金保険に入る(生きている間の備えにシフト)などである。

どこの会社でも保険商品には最低保険金額や最低保険料が定められている。「転換を活用した結果保険料が0円になる」ようなケースは選択肢として許容していないのではないだろうか。

そのため、転換ではどうしてもできない組み合わせというのがある。それを突破するのがこの「減額更新+新契約」という合わせ技なのだ。

転換と広がらない顧客基盤

営業を自然体でやっていると、白地の開拓がどんどん減ってゆく。関係性ない人のところに行くより、気心知れた人に追加契約をもらう方が労力は圧倒的に少ない(体感的に10倍ぐらい労力が違う)。

営業担当者はとりあえず安定した成績を挙げられるので、新規開拓のインセンティブがない。組織的に見れば、先細り確定なのでどうにかしなくてはいけない。

解決策は大きく分けて2通り。1つは素質のある新人が独自の視点から白地ルートを開拓すること。教育者の手腕もあるが、個々人の素質頼みなところが大きい。

2つ目は、実力のある人間から手持ちのお得意さまを引き剥がして、「白地開拓をせよ!」と命じることだ。

当然、実力者は怒りを感じるはずだ。ここでものをいうのがパワーバランスで、実力者のパワーの方が強ければ、命じた人間は僻地に飛ばされて終わりである。

営業担当者が個人事業主だと、顧客は自分についているので会社の命令を聞くインセンティブは少ない。しかし、サラリーマンだと会社命令の無視はキャリアにダイレクトに響くので、白地開拓の指示は通りやすい。

自動車のように一回限りの売り切りの商品であれば、営業は常に新しい売り先を求めて動く必要があるが、保険は毎月保険料が入ってくるサブスク型の商品。そのため、守りもかなり重要な商材である。

歩合給の個人事業主が営業の100%を占めてしまうと、上記のように顧客基盤が広がらない構造的な問題に直面するのだ。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?