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テレワークで広がる波紋と、共働き家庭の事情

共働き家庭のテレワーク事情

コロナが開けて、パートナーの勤め先の出社要請が強まると、もう片方はテレワーク比率を増やさなくてはいけなくなる。

夫婦の仲は、家事の分担だけではなくテレワーク比率によっても左右されるようになってきた。「あちらの家庭はテレワークでパートナーが分担しながら子育てしているのに、こちらは出社強制でテレワークできる自分ばかりが家庭の負担を受け持っている」なんてことになったら、家庭内の関係性にも影響を及ぼす。必然的に、企業がテレワークにどれだけ前向きかが採用にも影響を及ぼすようになるだろう。

ちなみに、出社族だった人が子供が産まれた途端に99%テレワークになり、久々に会ったら「子育てしながら仕事することの大変さを実感したよ」と語っていた。

仕事の生産性だけ考えれば、出社した方が良い。家にいたら子供たちは仕事関係なく話しかけてくるし、相手をしていたらミーティングの内容も頭に入ってこないだろう。

「職場で仕事に集中したいが、家庭にも時間を割かないといけない」と悩み、日中は出社、夕方からテレワークに切り替える、という折衷案を採用する人もいる。

移動時間がもったいないという見方もあるが、その時間を費やしてでも出社した方がトータルの生産性が上がるという判断だろう。

テレワークで進む人材の固定化とサイロ化

テレワークの選択肢がなければ、家庭維持のために夫婦のどちらかが会社を辞めることになっていた世帯が、テレワークによって救われている。

長年の蓄積がものをいう事務システム分野はどんどん離脱者が減り、メンバーの固体化が進みそうである。

私も徐々に年長者の仲間入りをしつつあって気づいたが、知識が増えてくると人間は情報伝達のスピードを重視して「前提条件の省略」が増えてくる。

大ベテランの人からメールが来ると、2行ぐらいで書かれていて、「この文面は3通りぐらい解釈の仕方があるぞ・・・」と思い悩んで30分くらい経過してしまうことがある。

私も他人に説明している中で、前提知識を当然のこととして話してしまい、知らず知らずのうちに相手の心を削ってしまっていることがあった。

この傾向がさらに進展すると、経験者しか生き残ることができない極めてハイコンテクストな組織が出来上がってしまう。

メンバーの固定化に抗う非公開な人材育成AIの可能性

外部の人間が理解できない言葉が増えてくるのはメチャクチャ危険な兆候だ。一人抜けるとジェンガのように崩れ落ちる。「過去の経緯をきちんとメモに残そう」はあまりにも属人的で解決策としては頼りない。

で、私の予想では、会社の内部情報をタップリ学習させた非公開のAI(ChatGPTのようなやつ)が今後の新人教育を担うようになる。

新しくやってきた人間はAIのナビゲートを受けながらスピーディーに基礎知識を習得し、そこから徐々に自分の持ち味を生かす。人に質問するのは時間を奪うので罪悪感があるが、AIならばそういった心理的負担はない。

マイクロソフトあたりがそのうち法人向けサービスを展開しそうな気がする。Web2.0は新興企業のジャイアントキリングが象徴だったが、AI時代は巨人が持てる資源を生かして押し潰す未来になりそうだ。

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