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顧客目線の真髄を教えてくれる、企業努力のお手本たち

断捨離2.0とラスト・ワン・マイルの踏み込み

私の最近の楽しみは断捨離である。家の中にあるものを処分し、スペースができることにこの上ない愉悦を感じている。この3ヶ月ほどで家にあるものを6割ぐらいは処分した。

今年はついに扇風機を捨てる決心をした。10年以上使っていたこともあるが、夏の暑さがどんどん増しており、扇風機ではもはや焼け石に水である。今後はエアコン一本に絞って、扇風機を買い替えることは基本的にないだろう。(電気代がやばくなったら話は別だ)

問題は溜まりまくった本の処分である。しかし、最近の買取サービスは進んでいて、無料で段ボールを送ってくれて、時間指定の集荷もネット完結でできる。本人確認書類はスマホでパシャっと撮って、メールで送れる。

昔は汗だくになりながらブックオフに大量の本を運び込んだことがあったので、あまりの手軽さに感動してしまった。

Amazonやメルカリでものを売る場合、売りに出す品を自ら梱包して、宅配業者に出しに行く必要があった。そこをあと数メートル踏み込んで、「日々走り回っている宅配業者に、ついでに品物を回収してもらう体制を作ろう」と考えたのだ。

つまり、持ち主が捨てる決断さえすれば、汗をかかなくても即座に物を処分できる。これぞ断捨離2.0である。

買い手を探す手間を省く分買取価格は劣るかもしれないが、毎日死ぬほど新刊が出ている本の世界において、自分の古い本に買い手がつくのを待っていたら何年かかるか分からない。「速やかに自宅のスペースが空けられる」ことのメリットを考えれば十分お釣りが来る。

ちなみに、物を捨てまくっていて気づいたことがある。Amazonの影響で段ボールゴミがやたらと増えているのだ。人手不足やエネルギー価格の高騰で物流費用の値段が上がり続けているが、段ボール資源の不足も地味に打撃がありそうである。

以前は部屋が汚くなる主な原因といえば「飲みかけ・食べかけの食料品」と「脱ぎ散らかした衣服」だったが、ここに「積み上げた段ボール」も加わりそうである。

「段ボールに代わる、強度と捨てやすさを兼ね備えたパッケージ」を発明すれば、ひと財産築けるんじゃないだろうか。

セブンイレブンが王者である理由

一人暮らし歴が長いのでコンビニは欠かせない存在だが、商品開発の広さ・深さにおいてセブンイレブンは明らかに突出している。

なんといっても食料品の新商品開発ペースが圧倒的だ。他のコンビニは数ヶ月経ってもほとんど変わらないラインナップだが、セブンイレブンは1〜2週間ごとに食料品で新しい発見がある。

表に出てくる商品でこれだけ変化をハッキリと感じるのだから、裏側では同業他社の何倍もの試行錯誤が同時並行で進んでいるはずである。

その試行錯誤は、味だけではなく「消費者の手間暇に対するイノベーション」も含まれている。例えば、コンビニで売られている蕎麦はほぐし水がついているのが常識だったが、セブンが最近出した蕎麦はほぐし水無しでも食べられるものだった。

エフォートレス(顧客が苦労せずに目的を達成できる)な観点での配慮がなされている。ファミマは漫画・アニメ・VTuberなどサブカル方面のコラボに力を入れているが、消費者がまず求めるのは生活インフラとしてのコンビニ機能である。

特に消費者の印象を決定づける食に関して、このような攻めの姿勢が維持できているうちは、セブンイレブンが王者の座を譲ることはないだろう。

顧客満足度向上の生命線となる「立ち止まる力」

細かいところだが、セブンイレブンではお金を入れる装置がレジの外側に付いているのも秀逸である。(ファミマは店員の手元にある)

お金を入れる装置が店員側にあると「支払は交通系電子マネーで」と伝えて、向こうで操作してもらってから装置にかざすことになる。セブンイレブンでは自分で操作して電子マネーの種類を決定できる。(セブンでも言えば店員さん側で種類を設定してもらえる)

現金決済の場合も、セブンイレブンは自分で機械にお札や小銭をセットするが、ファミマは店員さんに手渡して投入してもらう。レジの向こう側にお金を移動させるためだけに、店員さんの手を介する必要が出てくるのだ。

現金決済が主流だった時代、レジは常に店員さんの手元にあった。その延長線上で考えると、お金を入れる装置もついついレジの内側に入れたくなる。

そこで「ちょっと待てよ?」と立ち止まれるのは見事である。仕事のクオリティを決めるのは、このように「適切なタイミングで立ち止まれる力」なのだ。

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