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抱擁する都市 Embracive Cityとは何か? 品川に都市の実践家が集まって一年探究したこと

【抱擁する都市 Embracive City】シリーズを振り返って:品川塾2022-2023ファイナルノート

「品川塾」という学習と対話の場を、品川のいくつかの場所を拠点に、この数年開いています。
2022年〜2023年の活動として、6月から7回にわたって都市と人間の関係について「抱擁する都市 Embracive City」というテーマで都市の実践家や格闘家(?)との場を開いてきました。そのファイナルダイアログが先日(2023.7.6)行われました。
そのご報告noteです。ちょっと長いですが、、、。

紺野 登 品川塾 塾長 / 多摩大学大学院 教授
(トップページ写真:コクヨ ウェブキャストスタジオ 2023.7.6)

品川塾って?
品川には多くの企業のオフィスがあります。しかし、そうした企業や働く人々はそれぞれのビルのなかに閉じていて相互に交流がないのが実態です。毎朝、品川駅から黒っぽいスーツを着たサラリーマンが群れとなって流れ出すシーンは依然として残る古い日本企業の象徴として扱われることも多いようです。どちらかといえば若い世代が嫌う(人気のない)、殺伐感漂う「男性原理的」な都市の光景です。
多摩大学大学院のサテライトキャンパスは、そんな品川駅港南口にあります。確かに駅から近く便利なのですが、こういった品川の状況に疑問をもちつつ、解放されていない潜在的な力(もし品川の企業や行政、住民が交流したら?)を感じ取っていました。そこで品川の場のイノベーションについて考える塾が数年前から始まりました。

変化する品川の生態系
そこにコロナ禍があって、品川も含めて都市の様相が変わりました。まずオフィスに社員が来なくなる。周辺の、アフターファイブの男性中心の飲食街が影響を受ける。自分の生活がベースにあって、「オフィスにも」やってくる。オフィスが中心ではなくなった。これは20世紀型の都市原理の変化にも繋がる変化でした。
一方品川駅周辺はどうなっているだろう?あらためて見ると実は、企業のオフィス以外にも大学があったり、湾岸方面には高層住宅が立ち並んで、若いファミリー世帯が増えていた。企業だけの地域ではなくなっている。そこにはどんな可能性があるだろうか?という問いが生まれてきました。

品川は湾岸沿いに高層マンションやオフィスなどが立ち並ぶ

グローバルシティにおける「放逐」という問題
一方で、リーマンショック以降からの10年間で「グローバルシティ」の病理も現れてきていました。たとえば、世界で最も安全なメガシティのはずの東京の犯罪都市化もそのひとつです。公共空間などのあり方が問われているのです。こういった兆候はもっと大きな、都市生活の存在基盤を脅かすことにもなるでしょう。治安が悪くなれば、そこに従来住んでいた人々の転出に繋がります。
世界的都市社会学者、サスキア・サッセンは「グローバルシティ」のコンセプトを打ち出した人ですが、彼女の最近の著作が『放逐 Expulsion』です。追放とも言っていいでしょうが、都心部からそこに住んでいた住民や市民が追われてしまう、という現象などが挙げられます。
たとえば、ホームレス化、難民。あるいは都市の中心部が外国資本に買収され、地価が上がって賃貸生活者が住めなくなる(ベニス)、などといったことから、気候変動で干ばつが起き、それが紛争の遠因となって市民が居場所を失う(シリアのケース:2006年頃からはじまった干ばつによって多くの農民、クルド人が都市部に流れ込み内戦の要因となった)、果てはウクライナのように他国の侵略戦争によって長年住んできた街を追われる、といった事例。
原因は多様ですが、都市に安全に住み続けることが脅かされる時代なのです。東京の空き家問題もそうでしょう。空き家が増えれば(2030年くらいには東京の住宅の3割くらいまで空き家化するとも)、世帯の交代が滞り、結果的に環境が悪化して高齢者の安全が脅かされたり若者の住む場所が限られて「放逐」が起きるのです。

都市の放逐は世界的傾向だ

都市はアップデートされなければならない?
しかし、都市は自ら変わろうともしています。都市は生態系なのです。そこでは、従来の都市のあり方が男性原理だったとすれば、それが女性原理に転換しようとしている、といえます。都市の抱える問題は、たとえば、日本の社会が抱える問題そのもので、都市の「アップデート」が望まれるのです。
この100年くらい、世界は都心と郊外(生産と消費)を分離して、家庭では自動化とインスタント化(外まかせ)で核家族を作っていった。閉じられたユニット化住宅は核家族化を進めた・・・。それはそれで便利になったともいえますが、現在の多くの社会課題は都市の問題に関係しているといえます。

· 中間層の崩壊が起き、「夫」中心モデルの世帯の経済力の限界を生じさせた
· そうした都市の構造が男女格差を生んでしまった
· その歪みを是正する「今の男性社会の中で女性の参画数を増やす」論理とか、「ワークとライフ(生産と消費)のバランス」をとるというのは、もう解決策にならない
·子育てまで外にまかせようとした
·最終的に「料理文化」(火の使用)という人間の文化の根源も失っていった

こういった20世紀の戦略は失敗したとも考えられています。とくに日本の場合、直系家族主義(イエ)を引きずったままの核家族化は捩れを生み出し、核家族モデルに多くの負担を生じさせています。

一方いま、日本でもこの一年、移民問題がおおきな課題として議論されています。移民に期待しなければ縮退することを余儀なくされません。どのような都市やそのコミュニティの生態系が望ましいのかという議論は必須です。

以上はすべて都市の構造との因果関係を持ちます。新たな都市のカタチが待たれているといえます。大きな問いはWHO OWNS THE CITY?誰が都市(空間)の所有者か?ではないでしょうか。

抱擁する都市のデザイン
こんな議論を経て、『世界を変えるデザイン展』で知り合った本村拓人さんに座長になってもらって、品川から次世代の都市を考える勉強会の場をつくりました。それが「抱擁する都市:From Expulsion to Embracement ~レジリエントな都市のためのソサエイタル・イノベーション」というテーマです。
Embracive(抱擁的な)とはExpulsive(追放的な)の対極、共感をもって受け入れる(embrace、包容とも)ような都市のありかたです。それはイノベーションに向かう力ともなります。
そしてそれぞれの実践家が「品川塾(都市)探究員」として、6回の塾を通じて議論したのは次のようなテーマでした。

  • 第1回2022年7月14日「抱擁する都市 The Embrasive City~レジリエントな都市のためのソサエイタル・イノベーション」:抱擁する都市の提言 マインドチェンジで犯罪都市LAを変える

  • 第2回9月16日「マイクロデベロップメントによる都市・地域再生のメカニズム」:マイクロデベロップメント 大規模都市計画でなく 人間スケールで

  • 第3回 11月24日『レジリエントな都市のためのソサエイタル・イノベーション マイクロデベロップメントによる都市・地域再生のメカニズムⅡ」:空き家の課題 から抱擁する都市について考える

  • 第4回 12月22日「抱擁する都市をつくる人たち~コミュニティ まちづくりの担い手は誰か~」:都市を作る人 弱者の作る都市

  • 第5回 2023年2月7日「水上都市」:水を排除するのでなく受け入れる

  • 第6回 3月9日「抱擁する都市のダイバーシティ」:エリア視点で⼥性活躍を考える︓⼥性活躍型オフィスタウンの可能性〜

品川塾探究員とは?
都市開発やデザインの実践家が探索・研究する人となって品川塾に集いました。

・本村 拓人
 MEDIA SURF + tact 主宰
齋藤 敦子 KOKUYO リサーチャー / 一般社団法人 Future Center Alliance Japan 理事
塩浦 政也 建築家 / 株式会社SCAPE代表取締役・株式会社N-ARK 取締役
田邊 寛子 まちづくりコンサルタント、景観デザイナー / まちひとこと総合計画室
幸田 千栄子 公益財団法人日本生産性本部認定 経営コンサルタント / 多摩大学大学院医療・ソリューション研究所 フェロー
葛生 善江 一般社団法人空き家活用推進協会 Landschaft Innovation Partners 代表理事

上段左から齋藤敦子、葛生善江、田邊寛子、下段右から塩浦政也、本村拓人、幸田千栄子、紺野登

品川塾2022-2023を振り返って:探究員ノート

下記はキックオフの様子、各探究員による各回のハイライト、最終回のノートです。

◆キックオフ(2022年7月14日)を振り返って

第一回2022年7月14日「抱擁する都市 The Embrasive City~レジリエントな都市のためのソサエイタル・イノベーション」:抱擁する都市の提言 

前半は「抱擁する都市 The Embrasive City~レジリエントな都市のためのソサエイタル・イノベーション」の提言(ビデオ映像)とパネルディスカッション(ビデオ映像)。

「今、都市をテーマにしたイベントが盛んです。Covid-19を契機に、さまざまな問題を生じてきた20世紀型都市を超える、新たな都市の時代への変化が加速しています。しかし、そこでは機械的な合理性や都市機能中心でない新たな観点、人間や生命を包容(embrace)するコンセプトが不可欠です。」

後半は都市のレジリエンスのためのメンタルヘルスとウェルビーイングについてのトークとワークショップ。
インド、ムンバイと繋いで非営利団体Cities4Peace(平和のための都市)の代表マンダル・アプテ」(Mandar Apte)氏が登壇。
氏はシェルのエンジニアだったとき、社内でリーダーのためのストレスと不安を解消し、内面からの平静を得ること、つまり地に足をつけることが社会的課題と利益を両立する出発点と考えてこの活動を開始。現在はCities4Peaceでワークショップを展開。なかでも米国ABC局で取り上げられたのは、ロサンジェルスの元ギャングと警察官たちのヨガ・ワークショップ。彼らが共に語り合う場を生み出すシーンが大きな話題になりました。

Mandar Apte ビデオ映像

◆本村拓人探究員によるファイナルノート(第2回を振り返って)

第2回 9月16日「マイクロデベロップメントによる都市・地域再生のメカニズム」 マイクロデベロップメント 大規模都市計画でなく 人間スケールで

「マイクロデべロッパーが都市(生活者)に必要な理由とは?」
この問いかけを切り口に品川塾第二回目のセッションを開催。ゲストには日本橋兜町界隈の地域再生を実践するメディアサーフコミュニケーションズの國崎泰司氏。そして、建築家であり、海上都市プロジェクトをリードする株式会社N-ARKの塩浦 政也氏をお呼びした。兜町ではホテル開発から老舗うなぎ屋を改装して展開しているクラフトビールやナチュラルワイン、コーヒーロースターなど独立系のテナントを集めている。仮にハード面だけをどんなにクールにしてもその現場で独自のカルチャーを創り上げるのは各テナントで働く従業員やそこに集う常連客である。結果として、そのエリアに「色気」が取り戻されると國崎氏からは述べられたことが特に印象に残った。また、兜町のケースは都市開発に対するうぶの素人であったことも功を奏したと回想する。同時に、兜町エリアの地主である平和不動産の寛容性の高さもまた、都市開発という文脈においては後進的(その当時)だったからこそ新しいことにチャンレンジをさせていただけたのではないか?ともコメントされていた。都市開発を建築家、事業家の二足の草鞋で関わる塩浦氏からも旧来型のトップダウンによる計画的都市開発の限界点との一つとして「ギミックや容積率を重要視しすぎる現代の都市計画の対象地域に住む『生活者の息吹(=その地域独自の生活文化によるうるおい)』が感じられない。したがって、都市生活はどんどん貧困化している」とプロの都市開発者たちへの提言とも捉えうる問いがセッションを更に白熱化させた。

マイクロデベロップメントを促す3つのエレメント(要素)
マイクロデベロップメント(小規模都市開発)はEmbrasive Cityを織りなす上で非常に重要な考え方であることが二人のゲストの実践知から以下3つの具体策が小規模都市開発を促す上で重要であると仮説を立てた。
1. シビックプライドを高く持った生活者のネットワーク化(Unifty)

2. 都市研究の大家であるジェイン・ジェイコブスが提唱している「都市の多様化を生む4つの条件」はそれぞれが再考に値する街の賑わいを取り戻す方法論である。彼女の考えを基礎に少しだけアレンジを加えてみた。
 1. 多種多様な産業(ワーカー)の混流  
→エッセンシャルワーク、ナレッジワークの共存共栄
 2. 小区画化
→限りになくエリアを細分化することで土地に対する所有権(オーナーシップ)を生活者(視点に変換)に取り戻させる

3. 文化資本の担保
 →その地域の文脈は歴史から紐解くことが圧倒的であり、経済合理性のみの判断で取り壊してしまうことはその地域の特異性を失う行為であり、都市の金太郎飴化の促進にしかならない。
   
4. 密集性
  →「2」の小区画化と連動して、一区画づつ多様な文化を持った小集団で賑わいを見せること=密集性を担保することが各区画の主人となるテナントの経済性担保にもつながる。

3.「都市の余白」スペースの共同所有化(コモニング)
特に、この3つ目の要素に対して主に探究を続けてきた。結果的に、余白作りに対する具体的な仮説を構築することができたので併せて共有をさせていただく。昨今の経済事情からも「都市の余白」の必要性は議論の余地はないが、基本的には複雑化し続ける都市は誰の手にも収めることができない。つまり、都市には様々なカオスやバグで溢れかえっているという事実が都市の前提である。しかしながら、そのバグやカオスをネガティブと思った旧来型の都市計画家たちはそういったスペースを無菌状態にしたと言える。しかし、covid-19同様人間の手では押さえつけられない生活者の欲求(つまり菌)があり、その欲求が満たされない不満の吐口が都市をoccupiedする暴動やデモへと変わると、都市経営者たちは鎮圧のために莫大なコストを支払っていることに気づいた。これが現在の世界の都市が見つめる現在地とするならば、無秩序ながらも、人と人とが相互の信頼関係を築き、互いの欲求を満たし合う物理的スペースを含んだ自立共生的プラットフォーム(都市の余白)の出現が都市経営者(開発者)にも求められる。それは生活者にとっても同様のニーズとなる。(仮説)

都市の余白を構成する6つの要素を下記に記しておく。
1. 3rd Placeとしての役割(家、職場には果たせない例えば趣味に勤しむための空間)
2. 3rd Friendsの必要性(親や家族、友人や恋人以外の「ななめの関係」)
3. 3rd Roleを発揮しうる場(自分(利用者にとっても、従業員にとっても)が会社や家、アルバイト先とは違う三つ目の役割を担える)
4. 3rd Wave (様々なプレッシャーから解き放たれ、精神的にもゆったりと、空間的にもゆっくりできる場所が来訪者たちの健全な発想を後押しする)
5. 3rd Opinionを収集する場(家でも、学校でも、先輩からも教えてもらえないような未来のパスをつかみ取れるようなそんな意見をもらったり、公衆浴場では走り回って騒いでいる子供達を叱ってくれる高齢者など)
6. 3D人材の養成(VUCAやメタバース全盛の時代を悠々とサバイバルできる創造型人材の育成)

1→6の要素を合わせて持つ場を「New 3rd Place」としてレイ・オルデンバーグが提唱したサードプレイスを刷新する場としても昇華されうるのみならず、放逐によって都市から立ち退きを余儀なくされる経済的弱者への救済措置にもなりうる。また、「New 3rd Place」を実現(実証)すべく、全国にある「空家」やバブル期(昭和)に建てられた公共施設や温泉地帯、各地方都市に行き場を失いかけている老朽化したビジネスホテルや後継者問題が沸騰している寺社仏閣、時の役割を終えた新宗教法人が保有する教会スペースなどを対象に実践プロジェクトを進めていく(現在進行形)。また、この場でも(品川塾でも)進捗を共有できればと思っている。乞うご期待。

◆葛生善江 探究員によるファイナルノート(第3回を振り返って)

第3回 11月24日『レジリエントな都市のためのソサエイタル・イノベーション』マイクロデベロップメントによる都市・地域再生のメカニズムⅡ~空き家の課題 から包容(抱擁)する都市について考える

■空き家の課題「放逐」や「孤独」という視点から抱擁する都市(The Embracive City)を考える
戦後の都市開発が高度成長期を過ぎ、空き家問題が顕在化してきています。空き家は20年で2倍に増え、全国の空き家のうち約4分の1が1都3県に集まっています。空き家が増え続けると近い将来、東京の住宅の3分の1が空き家化すると試算されています。こうした空き家化は本来そこに住む可能性のある人をコミュニティから放逐してしまうことを意味しています。こうした空き家問題は日本の都市政策、社会の在り方の複雑性による「厄介な問題」(Wicked Problem)の典型でもあります。
これを解決するには、個別具体的な案件から始まって(マイクロデベロップメント)、その知見をスケール化する「デザイン思考」のアプロ―チが不可欠です。
今回は65歳以上の高齢者をサポートするR65不動産 代表取締役の山本遼氏、空き家の見守りや暮らしにかかわるサービスをスタートアップさせた東京ガス株式会社 暮らしサービス事業推進部 サービス事業企画グループ 望月紳氏、空き家問題に行政とともに取り組む一般社団法人 まちなか整備・管理機構 理事長 葛生貴昭氏3名のプレゼンテーションに続き、モデレーターに本村拓人氏を迎えパネルディスカッションが行われました。現場で活動する三者の視点から実践的で発展的な議論が展開されました。

従来の枠組みを超えた三者の新しい取り組み
ここ数年のあいだにコロナ禍によってつながりの希薄さがより加速されたように感じられます。人々の交流のなさから来る都市の孤独、空き家が増えることにより脅かされる住環境、高齢者が借りられない住まい、そのような環境のなかでも、生活者同士がつながりを作りながら新しい都市の風景を生み出す活動をしている人たちがいます。
東京ガス株式会社の望月紳氏はエネルギーインフラ企業という立場から空き家やそこに関わる家族の実態を分析し、空き家管理サービス「実家のお守り」をスタートアップさせました。「頼むならいつもの東京ガス、くらしよし!」というブランディングを策定し、東京ガスという企業の長所を活かし都市の社会課題を解決していくという新事業に取り組んでいます。
山本遼氏は、高齢者でも家を借りることができるR65不動産を設立し65歳以上の高齢者向けの賃貸情報サイトを運営することにより、死ぬまで自由に暮らしたいという高齢者の幸せなライフスタイル確立を応援しています。ほかにも住民同士の交流が次々生みだされている「アーティストが集うシェアハウスアサヒ荘」や、JICA海外協力隊の仲間が集う「チョイフルハウス」などユニークなコンセプトの5棟のシェアハウス、住民が交流できる書店と図書館を兼ねた共同書店「編境」など場づくりの活動にも取り組んで来ました。
行政とともに多岐にわたる空き家の課題解決やまちの整備に努める葛生貴昭氏も、「空き家の再生を考えるとき、家(居場所)とは社会課題に応えるべき場でもある」ということを念頭に、子育てママの交流の場「コミュニティKoenてらまちハウス」ほか近隣の住民が交流できる場所、そして子供食堂や不登校の生徒のためのコミュニティ、大人も子供も一緒に絵画や外国語を学べるスクールなどの役割を持つ「せんつく2」、「形を変えるクリエイティブスペース&ギャラリーPUNIO」などさまざまな弱者のためのシェアスペースを運営したい人のためにプラットフォームとしての空き家を提供し、仕組みづくり等をサポートする相談に乗っています。

まちをつくる人たちのつながりによる希望と幸せを創造するまちへ
従来のシステムや構造に拘らずに未来的な視点で考え、高齢者や若い世代と共創する重要性を感じているということが三名の実践家の共通した意見でした。
「年齢を問わずチャレンジする人を応援できる場を作り続けたい」という山本氏は幅広い活動を続けています。「例えばシェアハウスが拠点となり、こういうことをやりたい!という想いを助ける仲間ができ、それがつながりあって小さな町が町の中に同時多発的にいっぱいできる。大きなものを1個だけ作るのではなく、小さく分散させて、そこに集まる個人がそれぞれの力を発揮し、周辺を取り巻く環境をより豊かにできたら」という想いが、小さな拠点作りでまちをどんどん繋げていくエネルギーの源泉となっています。
三者三様の方法で、交流する「つなぎ場」をつくる「つなぎ手」として、さまざまな関わりの中からまた新しい活動が始まっています。
そうした多様な人々を受け容れる文化と新しい挑戦が都市の未来の可能性を広げています。他にも「アート」「音楽」の好きな人が集まれる施設、「学ぶ」や「作る」をテーマにした複合施設や、週替わりで店主が替わり話題が変わる新しい関係の中で、アイデアを出し合いより魅力ある交流につなげるスナックなど枚挙に暇がないほど新しいものが都市のなかに生まれています。

都市の中に次々に実験的に生み出される新しい価値の創造と提供
三名の実践家達の例のように、空き家周辺の新しい価値の創造と提供のケースは次々と都市のなかに実験的に生み出されています。このようなさまざまなマイクロデベロップメントからイノベーションが生まれ、まちが変化して来ています。また山本氏はコミュニティが大切という観点から多くの人が参加できる仮想のまちづくりも手がけられています。
空き家に拘らずいろいろな場の選択肢を大きく広げてみようという流れが徐々にそして確実にできつつあり、こうした交流の場をつくる人たちの力を借りてどんどん面白くなっていけると感じています。

◆田邊 寛子 探究員によるファイナルノート(第4回を振り返って)

第4回 12月22日「包容(抱擁)する都市(The Embracive City)をつくる人たち~コミュニティ まちづくりの担い手は誰か~」都市を作る人 弱者の作る都市

■プロローグ ドメスティックなゲリラ的コミュニティデザイン
多摩大学院の品川塾に参加したご縁は、品川駅から南下した旧東海道第一宿場町品川宿にて空き家であった築100年町家活用したレンタルシェアスペース(うなぎのねどこ)でゲリラ的コミュニティデザインの実証実験中に、紺野登教授のMBAコースのメンバーがリサーチにいらしたことから始まりました。

■都市をつくる人たち
抱擁する都市をつくる人たち~コミュニティ まちづくりの担い手は誰か~
本セッションの命題の私の答えは「その町で暮らす人たち」であり、その人たちが力を発揮するためには、その人たちがアクションを起こせる「関りしろ」をどれだけまちにちりばめていくかが大切であると考えています。

■チャレンジしたい人を応援し、まちとつながりをつくるマイクロイノベーションの「場」
「うなぎのねどこ」は単なるレンタルスペースではなく「チャレンジしたい人」の自己実現の背中を押し、町の横のつながりをつくることを裏目的として空間として運営していたため、人が集いコミュニティが構築され、様々な活動が発生していました。
本来の目的は、小さな投資での活用・高稼働率(収益UP)・投資回収期間の短縮・新たな物件への投資による循環経済という高い理想を掲げたマイクロデベロップメントの実験プロジェクトでした。
5年間での成果は、「小さな投資で実現・資金回収・再投資ができる利益を確保」「新たな「つながり」が生ずる場となる」「個人の力を発揮する機会を提供しまちに滲みだす」「幅広い年齢層の方の独立・起業・転職、人材育成等のインキュベーションの場」に発展しました。
2020年コロナ禍での不動産高騰で周辺の密集木造建築物と土地集約され、まさに「都市の放逐」にあいましたが、育んだコミュニティにより品川宿に多種多様なスペースを点々とする形態で活動を継続しています。
まちに多種多様な余白があり、関わりしろがある。その場が無数にあるまちは、とても魅力的であると思います。
そして、それが「まちにマイクロイノベーション」を起こす種になるのではないでしょうか。

■品川の因数分解と関わりしろ(品川駅を中心に直径一里/約4km)
・人口(夜間)は約20万人(品川区・港区webサイトより)
・品川駅の乗降客数(JR・京急)コロナ禍で約30万人(2020年)コロナ以前は約53万人(2018年)で多くの人々が毎日品川駅周辺で活動しています。(港区のオープンデータ)
・品川駅周辺に本社を置く大手企業は日本マイクロソフトやソニー、キャノン、ニコン、NTTコムウェア、ゼンショー(すき屋等)、東洋水産(マルちゃん等)、電通国際情報サービス、質屋の大黒屋、大塚製薬などがあり、他コクヨ品川オフィスのTHE CAMPUS などのリビングラボや富士通ラーニングメディアCO⭐︎PITなど実験的な取り組みを進める企業のオフィスもあります。
・知的集積地としては8大学(東京海洋大学・明治学院大学・東海大学・立正大学、東工大・多摩大学院、清泉大学)文系理系、社会人向けなど幅広あります。

ハード的にいえば、水辺空間(運河や天王洲アイル)、シーズンテラスやインターシティなどのオープンスペースがあり、多様な人々をつなぐ「関わりしろ」に展開のできる可能性を秘めています。

■多様な縁をつなぎ、集団的知性への昇華を導くには
昨今の様々なテーマ型のネットワーキングイベントが同時多発的に開催されています。品川という空間に暮らす人たちの縁を多様につなぐ活動が同時多発的に進められています。そのつながりを集団的知性へ昇華させるには、共創し学びあう機会やブレイクスルーのための参画する機会を積極的に個々が創っていくことが必要などだと感じています。
品川塾2022-2023での探究員やゲストスピーカーとの縁をその機会提供に活用できないか、改めて考えてみたいと思います。特に、知恵とアイデアに枯渇している行政職員への学びの場の寄付や、企業間での取り組みを誘発していくことが考えられます。

■エピローグ 品川で暮らす人たちの「心が満ちている」こと
私自身は「何歳でも、どんなライフステージでも知的貢献のできる仕事のある品川」というビジョンをもって、今後の活動をしていきたいと考えています。

2021年秋に品川の現状課題を露呈する出来事がありました。品川駅のコンコースのデジタルサイネージに「今日の仕事は楽しみですか」という広告が表示され、物議を醸しだし広告主が謝罪し広告を停止したのは記憶に新しいです。
心が満ちていないと関わりしろは創り出せず、また、引っかかることもできない。品川のイノベーションの主軸には品川で暮らす人たちの「心が満ちる」ことを据え置き、その実現には、何歳でもどんなライフステージでも、楽しく活躍できる知的貢献ができる仕事があるまちの一員になれる。そんな関わりしろが多くある状態にすることが必要であると思っています。
品川に集まる知性を地域資源として活かすことで、「生涯現役で多幸感のある人生」を過ごすことができる「唯一無二のまち品川」として成熟するのではないかと考え、小さな場づくりを継続的に進めていきたいと考えています。

◆塩浦政也 探究員によるファイナルノート(第5回を振り返って)

第5回 2023年2月7日(火)16:00~18:00 「水上都市」水上都市 水を排除するのでなく受け入れる

なぜ水上都市を目指すのか?
我々はCOVID-19が猛威を振るう2021年夏に、水上都市の事業化を目指す株式会社N-ARKを創出しました。「海から都市や建築を再発明する」をビジョンに掲げ、すでに複数社との契約を済ませ、2023年6月には協働パートナーである清水建設と静岡県の浜名湖での実装実験を開始しました。また同時期に発表した一周4km(=1里)の海上未病都市DogenCityのコンセプトモデルは国内外のメディアからも注目いただいております。
今回は水上都市をテーマに、運河の都市でもある品川を拠点とする品川塾で、探究員の皆さんとゲストスピーカーとアツい議論を交すことができました。
さて、そもそもこれだけ多くの陸があるのに、あるいは陸にはまだまだたくさんの課題があるのになぜ水上に都市を作る必要があるのか?人類は長い時間を経てやっと陸での文明を作ったのに、なぜ今更水上を目指すの?そもそも溺れたらどうするの?津波怖くない?住みたくないなあ・・・。
ここ数年こんなコメントを多くの方々からいただくし、自分自身もそう思います。
ではなぜそれでも水上都市構想を進めるのか?今回の議論を通じ、その理由を4つに整理することができました。

1つ目。
陸に住めなくなる人(2050年までに2億人の気候難民)が大量に出てくる。塩害により陸で農業を行うことが困難になってくるから。

2つ目。
世界の都市の70%を占める都市は沿岸部にあるのだが、インフラが古いためリセットできず、急激な都市化に対応できないため、向かいにある海上に成長領域を考えざるを得ないから。

3つ目。
水上というオルタナティブシティを構想することで多くのエンジニアや実業家が陸で培った技術をピボッティングすることでイノベーションを起こすことができるから。そこにはデベロッパー/テナントやソフト/ハードなどのこれまでの二元論の図式をアップデートする仕組みのデザインが生まれる可能性がある。

4つ目。
単に未来を切り拓きたいから。海底に沈めたビンテージワインを引き上げ、夜風を浴びながら海上都市の上で味わいたいから。宇宙と同様、海にはロマンがある。

上記の4つの理由により文字通り浮かび上がる水上都市は、陸上都市の延長線上にあるのではなく、20世紀までの近代都市計画に対するオルタナティブを提示するものです。海や水を征服し排除するのではなく、抱擁する態度がベースにあるのです。(Embracive Water )

誰が都市のオーナーか?
最後にこの究極の問いに対して。21世紀を生きる建築家として、陸の都市の外にある水上都市から内省を深めていきたいと思います。今後も皆さんとの果てのない議論と実践を楽しみにしています。

◆幸⽥千栄⼦ 探究員によるファイナルノート(第6回を振り返って)

第6回 2023年3月9日(木)16:00−18:00 「包容(抱擁)する都市(The Embracive City)のダイバーシティ」〜エリア視点で⼥性活躍を考える︓⼥性活躍型オフィスタウンの可能性

起業家・企業の⽣え抜きの役員・都市の専⾨家にご登壇いただきました。コーディネーターには、産業能率大学 加藤肇教授にお願い致しました。

想い
1985年に男⼥雇⽤機会均等法が成⽴して38年。⼥性就労環境を改善する法律は整備された。しかし、変化のスピードが遅い。管理的地位にいる⼥性⽐率は2021年13.2%。国の⽬標は2020年までに30%。今年就職活動している⼥⼦⼤⽣が「⼦育てもしたい、仕事もバリバリ働き続けたいと思っているが、それが実現するにはどうしたら良いか︖」と、私達と同じ悩みだ。⼥性⼀⼈が就職して定年退職する程の年⽉をかけても同じ悩みを持ち続ける⼥性。⼥性が多様性を持って⽬指す⽅向に進めるようにしたい。

● 仮説︓⼥性が活躍するには、働く⼈・住む⼈がオープンに議論する場・環境(エリア)が必要ではないか︖
<将来構想案>
・品川駅エリアに、⼦育て・家事⽀援施設などサービスの構築をする
・品川駅エリアに、企業と働く⼈と住⼈の、⼥性活躍推進でのコミニティやネットワーク構築の場を設ける
・品川駅エリア⼥性活躍推進ラボを開設(@多摩⼤学⼤学院品川塾など)し、研究・発信をする

●デンマークから学ぶこと(⼤本様)
当たり前に男性が⼀⼈で街中で育児をしている。そのような社会にしたのは、⼥性が⽴ち上がったことからスタートしている。その背景には、⼀致点を⾒つけるディスカッションスキルや、ソーシャライズするスキル(⼈と関わりあう、居⼼地が良い)など社会性を⾝につける教育が⼦供の頃から、学校の教育とは別に実施されている(その専⾨の教師がいる)。

●企業の中の課題(畑本様)
制度は整えることはできた。しかし、社員の意識の醸成は時間がかかりなかなか進まない。また、管理部⾨に⼥性割合が増え管理職も増えているが、いわゆる現場・⽣産部⾨の働き⽅の問題(夜勤など)があり、⼥性がなかなか増えないし、管理職も増えないことが課題と捉えている。
役員になった今、第⼀歩は何かと考えれば、「まだ⼀般職だった頃、社⻑に⼥性活躍を訴えた」ことであったと思う。

● 企業が地域社会に職場を解放している(斎藤様)
コクヨは、品川本社の1階を地域社会に解放している。誰もが利⽤できる「場」となっている。⼦供達がお⺟さんとそこに置かれたコクヨのクレヨンなどを⾃由に使ってお絵描きをしたりして楽しんでいる。社員は⼦供達を感じながら横を通ったり同じ場で仕事をしている。常に⼦供を感じながら会社にいる状態である。職と住をつなげる場づくりの挑戦である。

●まとめ
ルールや制度ではない、マインド・⽂化・空気感を醸成することが重要だということで⼀致した。
① ⼀致点を⾒つけるディスカッションスキル、ソーシャライズするスキル(⼈と関わりあう、居⼼地が良い)を⾝につけること
② 対話と信頼・お互いをよく知ること
③ 保育思考・⼤⼈が⼦供をケアする思考を⾝につけること
④ できればロールモデルが⾝近にいること
⑤ ⼦供が職場の近くにいて「感じる」こと(職と住が近い)

「男⼥でなく⼈が働きやすいと感じる都市にすること」と、当たり前の結論になった。⼥性活躍の本質は、既存の男性社会に⼥性が「進出」するとか、ワークライフバランス(仕事中⼼の世界での個の⽣活を取り戻す)とかではなく、「⾃律的な個の社会」の推進であり、「My Will」が明確な個⼈・⽇本⼈になること。
今は、男性が作った男性の働きやすい社会であり、⼥性はもとより若者も働きやすいとは感じていない。この先は、⼥性が働きやすいと感じる都市にする。そうすれば誰もが働きやすい社会になる。
最後に、デンマークでも企業でもきっかけは、⼥性⾃らの「挑戦」というのが共通。

● 次に繋げよう(まとめ内容の実践)
⼥性が活躍するには、働く⼈・住む⼈がオープンに議論する場・環境(エリア)が必要ではないか︖
① 今回同様、様々な⽴場で活躍している⼥性のご紹介とディスカッションの継続(品川エリアの企業に考える場の提供)
② 若い世代(⼤学⽣)に提案していただき、品川塾メンバー&視聴者の⽅々とディスカッションする場の提供(品川エリアの企業に考える場の提供・世代間の考えの違い︖)
テーマ例
「男⼥でなく⼈が働きやすいと感じる都市にする」には
「⾃律的な個の社会」の推進するには
「My Will」が明確な個⼈・⽇本⼈になるには
③ 品川駅周辺の⼩学⽣・中学⽣と品川塾探究員&新規賛同するメンバーがコクヨの1階オープンスペースに集い、⼀致点を⾒つけるディスカッションスキル、ソーシャライズするスキル(⼈と関わりあう、居⼼地が良い)スキルを⾝につけるワークをする
④ 場作り・コクヨさんの例を広げる、発展させるには(品川エリア企業) など

最後に普段の仕事では出会えなかった方々とのご縁に感謝申し上げます。新しい視点を学びました。

2023ファイナル

そしてまとめとして各探究員からのメッセージを共有する場が開かれました(2023年7月6日)。

◆齋藤敦子 探究員によるファイナルノート(第7回を振り返って)

品川塾2022-2023は、ふだん異なるフィールドで活動する探究員たちが各回を担当し、それぞれテーマを出しました。はじめの企画会議では、それらのテーマを並べても、「抱擁する都市」という新たな都市のコンセプトに迫れるのかという不安がありました。実際にわたしたちが挙げた「都市」にまつわるテーマ(関心事)は、犯罪、都市開発、空き家、コミュニティ、水上都市、ダイバーシティなど、多岐にわたります。今回の品川塾では、あらかじめこれらを連結させるストーリーはつくらずに、各回、実践者による深い対話を行い、時にはその場の流れに委ねるなど参加者の主体性を重視しました。その結果、品川を話題のきっかけにしながら、個人の内面にある問題意識やもやもや感、Willなどに触れることができました。

私の関心の中心は、オープンなコミュニティと共創・学習する都市にありますが、全6回を経て感じたことは、それぞれのテーマが全体となり部分となっていることです。当たり前かもしれませんが、コミュニティはひとつのテーマである一方で、他のテーマの一要素にもなっています。そして、様々な角度から見ることで、都市における問題の構造が何となくわかってくる。そうして、思考を拡げていくと、新しい解決策が生み出されると感じています。逆にコミュニティというテーマだけを追求しても、ステレオタイプ的になりがちで、将来に必要な変化は生み出せないかもしれません。

 全6回の中で私は、第4回の「コミュニティ」の共同企画、第6回の「ダイバーシティ」のスピーカーとして参加させていただきましたが、それ以外の回でも得るものが大きかったです。初回の「City4 Peaceマインドチェンジ」では、オンラインのワークショップで、内面からの平静を得て地に足をつけることをみなさんと体験しました。ロサンジェルスの元ギャングと警察官たちのワークショップという斬新なアイデアもとても興味深かったです。例えば、犯罪を抑止するために、町中に監視カメラを設置して犯罪件数が減ったとしても、人々のストレスが軽減されなければ、ウェルビーイングな都市とは言えないからです。これを働く人に置き換えると、自律協働社会の未来像がみえてくるように思います。

 品川塾2022-2023の最終回に向けてディレクターの本村さんは、「もしあなた自身が自分の生活圏の手綱を引けるとして、最も多様性を担保し、生活者同士が手を取り合いながら協力的な関係性を保てる最も効果的な方法とは一旦なんでしょうか?」という問いを立てました。現代を生きる私たちにとっての生活圏は住まいだけではなく、働くところ、学ぶところ、遊びにいくところなど複数ありますが、それらの環境をなんとかしようという人は少ないかもしれません。私はそこにとても関心があります。これは紺野塾長の「WHO OWNS THE CITY?誰が都市(空間)の所有者か?」という問いにもつながります。所有というより共有という感覚に近いのですが、田邊さんの言葉を借りれば、多様な人々をつなぐ「関わりしろ」が大切なのだと思います。

本村さんの問いに答えるとすれば、未来のビジョンを共創し、たとえ、その先(将来の時点)に自分が生きていないとしても、ワクワクしながらそのための石をひとつでも積むことではないかと、私は考えています。コミュニティの話で、よく信頼関係が重要ともいわれますが、信頼関係に頼りすぎてしまうと、裏切られたときの反動を大きく感じるのも人間です。だから、一人ひとりがワクワクできるような遊びの余白がある場や機会を都市につくっていくことが一つの解になるのではないかと。このあたりはまだまだ議論や、新しい社会システムとしての実験が必要です。このシリーズは終了しますが、ぜひ品川塾としてみなさんと実践していけたら嬉しいです。

@コクヨ ウェブキャストスタジオ

それではみなさん、またお会いしましょう!



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