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巨乳を褒める

いやなにをどう考えようとも、オッサンが女性の巨乳を褒めるというシチュエーションがわからんわ。100歩譲って、いや1000歩譲って、なんかなんでもええけどギャラリーがおってやで、前もってそのオッサンが「君ええ巨乳やね」「すんません、上司にこんなこと言っていいのかわからないんですけど、アホなんですか? 」という感じのコミュニケーションを取りたいんですけど、って感じで、件の女性にお願いしていたとする。たぶんオッサンめっちゃ腰低いから頼みこんだと思う。女性も苦笑いや。でもオッサンの日頃の行いがええから女性も渋々付き合ってくれたとする。そんなん実際には絶対ないけどね。ありえへんけどね。
そんな感じに笑いを取るために打ち合わせしとったとしても、ギャラリーどん引き絶対スベるし誰が得すんねんって感じだと思うんですよ。

この架空のオッサン、これほど腰の低いオッサンだとしても、彼の発言はセクハラな上に、究極的に面白くないわけで、そのオッサンのやね、誰も得せえへんギャグをやで「表現の自由」という錦の御旗を掲げて……逆にホンマに背中にその旗を掲げてセクハラしてきたら面白いかもしれへんけど、部屋とか入るときに入り口の上んとこに引っかかってガってなったりしてね。そんなんどうでもええねん。実際にホンマにそんなんされたら逆に戦慄するわ。
でもあとはあれか「君ええ巨乳やね」「オッサンの俺に言われても……」みたいな感じで、セクハラするオッサンそれを切り返すのもオッサンやんみたいなパターンもある。そこまで来ると逆に。あれ? 逆に面白くなるんじゃないのかな。もう登場人物全員オッサンでええやん。
登場人物全員オッサンやのに、職場ではセクハラが横行している。オッサンのセクハラに対してオッサンはセクハラを聞き流すくらいしかできない。もうこの職場辞めてしまおうかな、とオッサンはトイレの個室で泣くのだろう。いじめやないか。これは許されない。断じて許してはいけない。いやいや待ちなさい。あなたは勘違いしている。登場人物オッサンなのはあくまでそれを演じる役者がオッサンなのであって、視聴者の皆さんはその役者から巨乳の女性とセクハラするオッサンを想像しなければならないのである。しかしそうなったとしても待てよ。そうだとしてもそれはなんの解決にならないのでは? えっと……架空とは言えセクハラを受ける人が……ってなんの話やったっけ? いやいやそもそもドラマとか視聴者とかどっから出てきたの? ってお話で、なぜか制作者視点で語ってたけれども、そもそも誰の視点でしたっけ? 

そうそうオッサンオッサン。オッサンがどうしても「君ええ巨乳やね」と言いたいがためにわたしはこんな苦労を強いられているわけですよ。いや、ごめんなさいね。こうやって思索をめぐらせているオッサンもわっけわからんくなってしまってるんです。よし、こうなるともう最終手段や。これはもう清水の舞台から飛び降りる覚悟を持って、わたしが一回明日職場のあの子に「君ええ巨乳やね」と言うてみるしかない。試してみて、反応見て、新たな智見を得る。コロンブスの卵、コペルニクス的展開、このように人類は新たな智見を得てきた。オッサン決意した。決意したで! 明日はオッサンの二度目のバースデーや。ほな、明日、「君ええ巨乳やね」って言うてみて、どうなったかを、また報告しにくるんで、楽しみに待っといてな!

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