人が育たない職場

 「なかなか人が育たない、、」、「人が定着しない、、」というのはどこの会社でも概ね抱えている問題の一つではないでしょうか。

 会社には理念やルールがあり、それに沿って全社員が同じ方を向いて事業を行うことが理想ではあるが、理想や想いが強すぎるとそこで働く社員は窮屈に感じてしまうのではないでしょうか。

 人は想いが強ければ強いほど、例外を認めたくなくなるものだと思うし、
経営者や、部下を持つ管理職であればなおの事、強い想いを胸に抱き日々の経営や運営に向かうところだろう。
そもそも企業理念てのは、その企業がどういった想いでその事業を行い、どのように社会に貢献していくのかというものであり、社員一人一人の在り方、生き方まで強制するべきではないと私は考えている。

 五木寛之氏の「大河の一滴」の著書の中で述べられていますが、
「あれかこれか」ではなく、「あれもこれも」という一種包括的な考えのもとに組織を存続させることが非常に大切なのではないかと考えた。

 部下へのマネージメントとして、会社の方針や上司の指示に従うまま、
そのレールから外れている人への矯正ばかりがマネージメントと捉えてはいないだろうか。 
そのレールは会社独自の方針であり、上層部の考え方であるが、その全てにおいて社員一人一人全員の共感を得る事はどこの会社においても難しい事でしょう。 
レールからはみ出ちゃった人は、他とは違う自分を孤独に感じ、個となり、やがて去っていくのではなかろうか。 
人はたった一人で生きているものではなくて、多数の人間と一体感を求めて生きている。 経営者や管理職にとって、「あれもこれも」という懐の広さは組織の力を高めるのにとても必要な事となりうるでしょう。

 組織は様々な価値観を持った多くの人で成り立っている。
そこが足りない、ここも足りないと矯正ばかりをして窮屈な箱に閉じ込めてはいけない。
 縦型社会は業務指示系統では功を奏すが、生き方や在り方は上から強制するものではない。
 わが社の代表がよく言う言葉で、「我々はカレーを作るんだ。ビーフでもポークでもシーフードでも良い。カレーを作るんだ。」と。

 企業は人なり。 上司は一人一人の能力が出やすい環境にするために懐の広さと、人間味に幅をもつことが要求される。
一人一人が自分の存在価値を実感して、輝ける職場にするためには、根底にその会社で安心して働いていけるという安心感が必要です。
まず、一人一人が今のままでも十分役に立っているんだという事を上司が認め、そしてそれを本人自身が認識出来ていなければならない。 個の力が高まるのはその次のステージとなるであろう。

 では、どのように部下をマネージメントしていけば良いのか。
テクニカルなことは沢山の本が世に出回っているけど、私は丹羽宇一郎さんの著書「令和日本の大問題」で述べられていたことに大きく共感を覚えた。

~ネガティブリストで働く~

 ネガティブリストとは、
「やってはいけないこと以外は何をやってもよい」
 それとは逆に、
 ポジティブリストとは、
「やってよい事しかやってはいけない」

 多くの規則やルールが存在する会社は、自然とポジティブリストよりになっていくことが懸念されますね。 
確かに、「ああしなさい!」、「こうしなさい!」ばかりの職場では、自分で考える力が損なわれていく気がしてならない。

 一方、ネガティブリストで働くと、やってはいけないこと以外は何でもやってよいのだから、アイディアもどんどん湧き出てくる。仕事で壁にぶつかっても、色々な手段方法を考える。 それが仕事の愉しみにつながるというものだ。

 いま世界は、未知のウィルスにより今までの暮らしが脅かされており、生活様式も大きく変わりつつある。 そうなると社会で求められることも変わってくるので、仕事にも大きな変化が訪れるだろう。
そういった変化にいち早く対応したり、業界イノベーションを起こすうえでもネガティブリストで働くことが求められる。

 ポジティブリストで仕事を制限すれば、目の前にある決められた仕事をこなすだけで、大物が視界に入って来てもみすみす逃しかねない。
それでは成長もイノベーションもありはしない。

 




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