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どう生きようか?

平木理平

「THE TOKYO TOILET」という、東京・渋谷区を舞台に「性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に使用できるよう、公衆トイレを刷新する」ことを目的としたプロジェクトがある。

私は前職時代、メディアという立場でこのプロジェクトに関わる機会があった。

このプロジェクトを知ったことで、私の意識は大きく変わり、めぐりめぐってEDIT LOCAL LABORATORYに入ることにも繋がっていった。

「排泄」は、年齢や性別、障害の有無に関わらず、全ての人間に必要な行為だ。

そして公衆トイレというのは、その排泄のため、全ての人に開かれた場所であるはず。

しかし、公衆トイレというのは、汚い・臭い・怖いといったように、マイナスなイメージがどうしても付きまとい、街の中で疎んじられた空間でもあった。

本来なら、誰もが利用しやすい、安全で快適で清潔な場所でなければならないにもかかわらず、そうしたマイナスなイメージを背負っていた公衆トイレのイメージを変えるべく、THE TOKYO TOILETはアートやデザインといったクリエイティブの力を駆使していった。

生まれ変わったトイレは車椅子利用者や乳幼児連れ、妊婦の方などさまざまな人が快適に使えるような機能性を備えているだけでなく、そのユニークなデザインのトイレたちは渋谷の新たなシンボルにもなっている。

公衆トイレに対する人々の意識を変えるために、もっと言えば「公衆トイレ」という公共の空間に潜在する社会課題に、アートやデザインの力を駆使してアプローチする。私はそれまで、そうした課題にアプローチする切り札としてアートやデザインを捉えたことがなかった。

アートやデザイン、そのような「カルチャー」の目線で切り取ることができるものは、私にとって面白さの対象でしかなかった。もう少し言えば、それらと向き合った時に“自分だけの面白さをどれだけ掘れるか”に興味があった。

しかし、このプロジェクトを知り、関わり、その考えは少し変わった。

自分が「面白い、もっと掘り下げていきたい」と思うことが、地域や公共、社会が抱える課題に対して、どう寄与できるのかを考えるようになった。

そうした時に、EDIT LOCAL LABORATORYのことを知った。

会員のみなさん、それぞれの場所でさまざまな活動をしている。

自分も見習わねば。でも、うーん、どうしたらよいだろうか。まだまだ考える日々である。


平木理平

静岡県出身。カルチャー誌の編集部で働いた後、2023年よりフリーランスの編集・ライターとして独立。1994年度生まれの同い年にインタビューするプロジェクト「1994-1995」を個人で行っている。


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