見出し画像

落語家の色気

落語家に色気を感じる刹那がある。

どう表現したらよいのか……。

写真でもあれば、簡単に説明出来るのに。

……写真あるかも!

演芸写真家の橘蓮二氏!!

この方の写真集なら、その刹那を切り取ったショットがあるはず!

と探したが見当たらない。

橘蓮二さんのご著書の数々
ちなみに写真の背中は立川志の輔師匠

そりゃそうだ。

蓮二さんは舞台の袖から落語家を狙う。
客席からではない。

私が言うのは、客席から見た者だけが堪能できる落語家の色気なのだ。

何やら淫猥な気配が漂うな。

いえ、違います。

別に猥褻ではありません。

というか、もし私だけが感じる特殊な色気だったらどうしよう?

少し不安になる。

……ええと。

とにかく説明しよう。

2/12(月)三連休の最終日、こういう落語会に行った。

ここで落語家の色気つ~のを見たのだが。

三遊亭青森とは、新作落語の鬼才、三遊亭白鳥の一番弟子である。

ちなみに二番弟子は三遊亭ぐんま、三番弟子は三遊亭東村山。

出身地を高座名にするのは、白鳥師匠がかつてその師匠、三遊亭円丈に前座名を三遊亭新潟と付けられたからである。

三遊亭円丈とは知る人ぞ知る新作落語の旗手である。
「グリコ少年」「悲しみは埼玉に向けて」といった名作をご存知の方も多かろう。

その旗手の弟子が鬼才で、更にその弟子が異才、青森である。

と書くと物凄い一門に思えるだろう。

〝青森〟で検索したら出て来た写真

物凄いのだよ。

それぞれが一人でその地方を代表しているような名前ではある。

白鳥一門はオリンピックいや国体のような集団である。

それはともかく。

一番弟子、青森の素晴らしさをどう表現すればいいのだろう。
(そればっか言ってるな。表現力乏し……)

物凄いんだよ!

変なんだよ!

あれは落語じゃない!

落語はお爺さんが座布団に座ってやるものだと思っている人には落語に思えないだろう。 

思わなくていい。

あれは青森パフォーマンスとも言うべき特殊な芸能である。

〝青森〟で検索したら出て来た写真 その2
三遊亭青森というより奈良美智だが

ちなみに落語会の演目は、 

手紙無筆USA
(三遊亭円丈 作)

悲しみは下北に向けて
(三遊亭円丈 作「悲しみは埼玉に向けて」トリビュート新作)

地獄変
(芥川龍之介 作)

いずれも素晴らしい名演だった。

もしどこかで三遊亭青森の名を見かけたら。
迷わず見に行って欲しい。  

そして大嫌いになるか。

大好きになるか。

そのどちらかになって欲しい。

大好きだと思った方なら、こちらが勧めなくとも勝手に追っかけを始めるだろう。

嫌いな方はどうぞそのまま嫌いでいてください。

好き嫌いってそういうもんだから仕方がない。

三遊亭青森のイメージは
こういうそっけない花

で……今回感じた色気とは、それら異才とも新作落語とも関係ない。
 
着物を着ている落語家なら、誰でもあり得る。

何か………ゴメン。

落語家が高座に上がる時、片足を上げる。
(いや、両足で飛び上がる落語家はいない)

この時、腰が軽く捻れるのが人体の常。

すると、脚の線が細くなるのだよ。

どう言えばいいのだ?

そもそも着物とは直線で構成されている衣類なのだ。

フォルムが直線と四角で出来ている。

両脚揃えてまっすぐ立てば、帯から下は細長い四角に見える。

そこで片足上げると帯から下が細長い三角形になる。

わかるかな?

ええと……もう写真を出してしまう。
(著作権とか問題あれば後で削除します。さっきの書影も)

『演芸場で会いましょう』橘蓮二 
講談社 p43掲載  柳家三三師匠の背中

この写真は後ろ姿だけど。

片足引いてるから自然に身体が斜めになっている。
帯の下が細長い三角形に見えましょう?

この感じに近い。

しかも高座という段差があるから、片足はもっと高く上がる。

すると、ほら!

下半身はもっとシュッと細く見えるでしょう?

まして正面から見るんだよ!!

カッコイイ!!

色っぽいわけよ!!

昨日、たまたま黒紋付の着流しで高座に上がった青森さんが、一瞬その形になった。

キュン!としました。

キュン!!

わかる!?

わかんないかぁ……

もっとも高座の凄まじさに比べれば、ほんの一瞬の色気だったけどね。

う〜ん。
長々と語る程でもなかったかな?

さーせん。

ましてや青森さんてば、落語が終わってエンディングトークでは座布団に胡座をかいちゃうし。

やってんじゃねーーよ!!!

と内心激しくブーイングしました。

その姿に色気は微塵もありません。

まあね…… 

落語が素晴らしいから許すけど。

トークがぐだぐだでも、胡座をかいてステテコが見えても。

今日はそういう話でした。


あ、冒頭の写真は中野サンモールです。

ここを抜けて、なかの芸能小劇場に到ります。
小振りでなかなかいい劇場です。
機会があれば是非!!


どっとはらい。


  





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?