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上書き

彼は川の近くに住んでいて、彼は西通りをよく歩いて、彼は地下鉄をよく使う。彼は金平糖みたく甘ったるくて刺刺している。少し高めの声と少し長い髪を忘れてしまいたいから、目も耳も塞いで欲しい。

お昼寝、昼寝。お手紙、手紙。おをつけた方が上品な気がするけれど、付けたくない言葉が沢山ある。昼寝、手紙、3音の方が暖かさが伝わる気がしてさ。平仮名だともっと暖かいね。ひるね、てがみ。ほら。

西へ真っ直ぐ歩いていくと彼の働くスーパーマーケットがあって、北へ歩くと彼の好きなファストフード店が見えてくる。ハッピーエンドもバッドエンドも望んではいなくて、ただこのまま淡々と時間が過ぎていけばいいのに。

大学の図書館に引きこもっていたら、いつの間にか夜になっていた。静かな夜の大学は冒険心くすぐられるようで、物語のヒロイン気分でいつもより胸を張って歩けた。

彼は肌荒れを気にしてるけれどトマトは苦手なんだって。柿にはビタミンCが沢山含まれること教えなきゃ。

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