おめでとうが聞こえたら、紫陽花が綺麗な季節になったら、夜が長くなったら、チョコパイが発売されたら。生活を抜け出して文字を打ち言葉を送る。彼女に生きて欲しいと言う人間を無くさないために声を聞く。プレイリストを作らない彼女の選曲が好みだった。

トラックジャケットにシフォンを合わせると笑われる事を学んだ。歩き方が分からない。海の深さが分からない。星空の広さが分からない。焦点が合わない。残酷なものね。

刺々しい夜に南半球から電話が来た。彼女のせいよ、彼のせいかもしれない。生ぬるい風は悲劇のヒロインを刺す。私は強くてかわいい。私は聡明で譲れないものがあって日常を美化することを楽しんでいる。私は強くてかわいい。なんだか、そう思えた。

うるさい終電はタバコの匂いと酒を飲んだ人間の会話で、すし詰め状態になる。しゃがみ込んで大声で泣きたい。大勢から心配されて救急車で遠くへ運ばれたい。大勢から肯定されたいし、私を否定する者を消し去りたい。


あなたに花の名前の一つでもあげること　
できならいいのにな。


明日はくるかしら　あなたの隣で