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ちょっとのおしゃべりと、今よりちょっと楽しい仕事

取材後に、取材担当者だけでしばしお茶をするなんてなかなかない。みんなその後も取材があったり、戻って制作を進めたりしなければならないので、ご出演いただく方が退席されたら、ばたばたと自分たちの片付けをし、「じゃあ、またよろしくお願いします!」とさっと現地解散をすることがほとんど。駅までの道すがらおしゃべりすることがたまにあるくらい。

その日の取材場所はホテルのロビーで、取材対象の方は企業の代表取締役。出張の目的地への道中に、わざわざ立ち寄る形でお話を伺った。取材を終えると、風のように去っていった。

時間も予定より早めに終わったので、テーブルに並んでいたドリンクを飲みながら、何となく雑談が始まった。同席していたのは、カメラマンさんと、営業さんと、インタビュアーのわたしと。この3人セットで取材するのももう何度目かだった。

「実は今日、少し緊張していたんです。でも取材担当がこの2人だから、社長をお連れしてからは安心感がすごかったです」。笑いながら、氷がとけたアイスコーヒーにストローをさす。そこからしばらく、営業さんの話を聞いた。

取材させていただく方の情報や、特に打ち出したいことなどは事前に聞くが、営業さんとどんな関係性で、どういう流れでこの取材を実施することになって、どんな未来を望んでいるのかまでゆっくり話せる時間はほぼ取れていない。

バタバタして事前にすり合わせが十分にできないことも時にはある。それでもその日にしかできない取材でできる限りのことをしようと、わたしなりにいろんな立場の方のお役に立ちたくてあれこれ想像しながら質問を差し上げる。みなさん一緒にいいものをつくろうとしてくださるから、予想をこえていいものが得られるのはいつも本当にありがたい。

それで何とかやれていると思ってきたけれど、やっぱり聞いてはじめて分かることって多いなぁと、帰りの電車でしみじみした。もしその営業さんの別のお客様をわたしがまたインタビューすることになったら、あの時間を思い出して数%体温高く臨むにきっと違いない。

部分的にしか関わらない業務だと、自分のもとに仕事がくる前後に何人の人が、どんな思いで携わっているのか見えないものも少なくない。それだとつい作業的になってしまうこともある。それだと、自分のやるべきことをきっちり終えても少しさみしい。

タイミングをみてちょっと多めにおしゃべりしてみると、これから先のお仕事を少し多めに楽しめる気がした。

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