見出し画像

エッセイという優しい暴力

今回は久しぶりの読書レビュー。

特に本を読んでいないわけではないけど、
読むのが遅かったり、
レビューを書こうとしても別の記事を書いていたりして
書かずじまいの本も多い。
後出しにはなるけど、これまでの本のレビューも書いていこうかな。


さて、今回読んだ本は、
「20代で得た知見」

『20代は人生の礎を築く』
そう思っているぼくは、20代というワードの入った本を漁っては読んでた。さらに社会人になることを意識し始めてからは拍車がかかり、ネットやSNSでも調べ始めていた。

画像1

その一環で本書を手に取ったけど、開いて仰天した。
バリバリのエッセイだった。
これまで読んできた、
セオリーと筆者の経験に裏打ちされた本とは違っていた。
本書は筆者の経験と主観で構成されていて、
セオリー丸無視だった。

その意外性に驚き、批判的なレビューをあげている人をみた。
しかし、おれはむしろ雷に打たれたような衝撃を受け、
ひたすらページをめくった。
休憩時間も帰ってからも読み続けた。

面白かった。
これまでの本に比べてセオリーなんて微塵もないのに、
謎の説得力を帯びていた。
「うるせぇ、とにかく自分の話を聞きやがれ」と言わんばかりに。

しかも、他の書籍では
「勉強しろ」
「経験に投資しろ」
「お金について考えろ」
と少しに通っていることが説教口調で羅列されていたところ、
この書籍にはそれがない。
ただ自分の経験を、そこから得た知見を披露していた。

どの本でも見たことのないような知見が書かれていて、
理詰めされているというより、
ひたすらに殴られているような気分だった。

防御不能のパンチとキックだ。
身体は痛くないけど、頭や心が衝撃を受けていた。

中でも衝撃を受けたのは、
~に関する55の知見」という項目だった。

そこには、なぜそう考えたのかという軌跡は記されていない。
ただただ列挙されていた。55個がひたすら紙の上で整列していた。
中には意外性があるものもあり、参考になった。
ここで終われば、ただの「参考になる本」だった。
55の知見が作った列の後ろ、56行目の一文にノックアウトされた。

「このリストの全てを疑え」

この一文に出会った時、自分の浅はかさに恥ずかしくなった。
「へ~、こういう考えもあるのか」と流し読みして、
知った気になっていた。成長した気になっていた。

著者は自らの身体を張ってこの知見を得た。
それが自分に合っているかどうかは、
同じく自分も身体を張らなければ分からない。

たった一行にここまで衝撃を受けたのは、
綾辻行人作の「十角館の殺人」のあの一行以来だ。


ぼくが考えるに、
筆者は巷に溢れている啓発本が嫌いなのかもしれない。
だから、体ではなく文字で殴ることにしたのかもしれない。

それらの本または著者たちに
「ちげぇわ、あほ。」
と言いたかったのかもしれない。

Twitterにそれを書き込めば、
ただの愚痴や自己満で終わったかもしれない。
けど、こうして書籍として立派な形になってしまった。
だから、一発が重いのかもしれない。

ぼくがこの本から教わったのは、
「著者の知見」のみならず、
防御不能な表現法も教わった。

これに影響された後数日のnoteは
少しエッセイ風にしていたが、
まだまだ防御不能には程遠かった…笑


「ここからの人生どうしよう」と悩んでいるけど、
「どの本も言ってることに新鮮味がない」
と感じている人にはオススメしたい。

あなたも、あの衝撃を味わってほしい。
もしかしたら、読む前のあなたと見える景色が
違っているかもしれない。

この記事が参加している募集

読書感想文

あなたのサポートがぼくの執筆の力になります!本当にありがとうございます!