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海外で学ぶための家探し ~オランダ、フローニンゲンの賃貸事情~

オランダで勉強をしたいと考え、情報を調べていく中でこんな話を耳にしたことはないだろうか

「オランダで賃貸を見つけることは非常に困難で、毎年のように留学に来た学生が、住む場所がなくて困っている」

少しオランダの住宅事情について調べれば、日本語でもちらほらとその手の情報を見つけることができるだろう
僕の通う大学、University of Groningenは住宅の探し方について特別にページを作って解説をしている

他の都市に関して断言することはできないが、少なくともフローニンゲンで学生が賃貸を見つけるのはとても大変だ。土地が高騰しているのか、理想的な物件を借りるためには事前の知識と準備が必要になってくる
月800ユーロ以上する非常に高価な物件、自転車を持ってしても30分かかる場所の物件、トイレやシャワールームが汚い物件…家賃で家計が圧迫される、移動が大変で自分の時間を作れない、シャワーやトイレが汚くて体を洗うのを躊躇してしまう
こうした小さな不満は、一年以上滞在する上でかなりの負担になる
人によって好みはあるだろうが、一年以上滞在する場所である以上は、安く、アクセスが良く、快適な住処を確保したいものだ

そんなオランダで快適に学生生活を送るために、家探しにおいて押さえておきたいポイントを自分の経験からまとめてみた
留学に際しての家探しとしては他の国へ赴く際にも共通する部分が多々あると思われるので、是非とも目を通してみてほしい

1. 予算決め、自分が家に求めるものをしっかりと認識する

家探しを始めるにあたって、まず真っ先に気にするのは予算であるはずだ。最大でいくらのお金を住居にかけられるか。これを数字として可視化しないまま生活することはできないだろう
しかし、賃貸物件とはクオリティを求めれば際限なく費用が上がっていくものである。妥協点を見出せず何となく綺麗そうなところを検索しているとあっという間に4桁を超えるユーロを月々支払う物件しか残らなくなってしまう
特に物価の高いヨーロッパで、学費と生活費を支払いながら月々1000ユーロの家賃を支払いながら生活するのは大きな負担になってしまう
家賃を抑えるためには落としどころが必要だ。

そしてその妥協点を見出すために必要なことは、自分のライフスタイルをしっかりイメージすることだ。リサーチを始める前に、自分に必要な物件が何であるかを考え、優先順位をつけていく
これがないと「どんな家が”いい家”であるのか」がわからなくなってしまう
自分が何のためにその国へ行き、そしてどのように生活するのか。留学生はきっとその国が好きだから行くのだと思う
だから、夢を膨らませがてら、その国での自分の生活を妄想してみてほしい。その国に住むあなたはどんな生活をしているだろうか
その理想像から逆算して、あなたの家に必要不可欠な要素を抽出してみよう

部屋はどのくらいの大きさがあればいいのか、どのサイズの机であれば勉強に不自由しないか、服や本など生活と勉強にどれほど収納するものを持っているか...自分が生活をすることを想像していく中で、各々の「許容できない条件」が見えてくるはずだ

例えば、私はある程度シャワーが清潔で掃除しやすくないとストレスを感じる。体を洗った時に綺麗になった実感を感じず、浴することが億劫になってしまう。もちろん体が清潔でないと自分も不愉快だし身だしなみが整わない
他にも、コンセントプラグは二つは絶対ないと機械の充電が間に合わないし、自炊をするためには、キッチンと洗い場の広さは料理の快適さ、時間効率とコストに直結するのでこれも考えなければならない

借りた物件のwebサイトより
実際には、足場はゴミだらけ、砂だらけ、カビだらけで汚く個人的には許容できなかった
その他、キッチンやトイレも7〜8人で共有

そして最後に場所
その都市のインフラによって、最適な交通手段は変わってくる。フローニンゲンでは学生用の無料バスがあり、比較的いろんな場所からアクセスしやすい...ように見えて無料の区間が決まっていたり、バスの種類が決まっていたり、学校に行くには良くてもいろんなスポットに留まらなかったり、意外と感覚が長くて乗り遅れるとリカバリーが聞きづらかったりと何かと不便な一面もある
そんなフローニンゲンでは多くの人は自転車に跨って移動をしている。自転車での移動をするとわかれば、自分が許容できる学校から家の距離もおおよそ見えてくる
雨が降ったとき、疲れてやる気が出ないとき、風が強くて自転車が動かないとき...どんな時でも負担にならない距離は自ずと限られてくる
通学のための毎日の移動は絶対必要なことであるため、その時間のロスはなかなか馬鹿にならない
遊びに行く時間や買い物に行く時間、勉強する時間を確保するためにも、許容値はある程度考え、大体学校から何km圏内の家が快適かを見える形にしておくといい

大学キャンパスから2.5km圏内
この距離であれば自転車で10分以上移動する必要はないだろう

このように自分のライフスタイルから何が必須なのかを逆算し、自分の中で基準を明確にしておくと物件探しで迷いにくくなる
見積もりも出しやすく、物件を移るときも前の物件と次の物件の良し悪しを比較することができる
もちろん実際に生活していく中でそれらを見出していくこともできるが、予め想像していたか否かで大きく考える労力を軽減することができる

2.とにかく早めからオファーの情報を収集する

オランダでは、物件を探す哀れな迷い人は、物件を提供する人の十倍はいると思っていい。体感は本当にそんな感じなのだ
詳細は後述するが、それゆえにオランダの不動産屋や賃貸契約業者、個人オーナーたちは「早い者勝ち」や「抽選制」などさまざまな方法を用いて貸出人を選別している
もしもあなたが理想的な物件を見つけて、いざレスポンスを返したしたとしても安心することはできない。大抵あなたのメッセージは受け取ってもらえずに無視され、あなたより運と根気を持った誰かがその権利を獲得することになる
過酷な市場からチャンスを逃さないためには、事前の情報収集と早めの行動が必要不可欠だ

まずは情報収集
賃貸の仲介を行うサイトを後に記載するが、賃貸を貸し出す条件は実に様々だ。完全に早い者勝ちなところ、個人のオーナーの裁量に任せているところ、完全な抽選制もあれば、サイトの利用期間を基準に優先権を得るサイトまで様々
オファーを受けるチャンスを獲得するためには、各々のサイトの特徴をしっかりと調べて押さえておく必要がある
仲介業者の中には「下請け、孫請け、玄孫受け…」状態の物件を保有するサイトもある(そんなところからの方がオファーをもらえたりもする)。
ちゃんと権利の流れを見るためにも、一度ウェブサイトをチェックしてどんなシステムになっているのかを確認しておこう

このように、プラットフォームの運営会社と不動産が違う場合もある
時として直にコンタクトをとった方が早いことも

次に早めのオファーを受け取ることについて
これには良し悪しがある。7月から9月あたりのぎりぎりに出される理想的な物件はないわけではない
しかし、借りることができないリスクを考えるとやはり早めに契約を結べるよう行動を起こすのが楽で確実
契約を受け取ることができる際は、大抵こちらがアピールした後すぐにオファーのメールが届き、3日〜1週間以内に契約を結ぶことになる
こうなると、契約が締結するまでは非常に早い。大体メールのやり取りだけで住む家はあっさり決まってしまう
このとき、内見に行って自分の理想と合わなかったり、契約が著しく支配的だったりした場合は次の物件を探す必要があるが、サインをすれば契約書に書かれた日からその物件はあなたが借り受けることができる
契約完了に一ヶ月かかるなどの心配入らず、むしろ家主から契約完了を急かされるだろうが、慌てず吟味して後悔のないよう決断をすること
一部屋分の荷物の引越しであれば、頑張れば土日で、余裕を持てば一週間くらいで完了することもできる
ただし、学校の授業やテストもあるため、余裕を持って行動することは改めて大切である

例えば、私の通うRUGでは入学後すぐに全ての予定がオンラインで共有される
テストが少ない期間は少ないので、確認しておくといい

3.可能であれば内見には必ず赴き、最低でも契約内容は確認すること

幸運なことに私は被害に遭っていないが、オランダは賃貸物件に関する詐欺が非常に多い。大体の信頼できるウェブサイトは詐欺の回避法について書いてあり、大手のサイトからでも詐欺を完全に防ぐことは難しいようだ。
「内見まで問題なくできるのに、最後に偽の鍵を渡してくる」など手口も非常に複雑かつ巧妙化している
上の自分にとって許容できる部屋であるか否かを判断するためにも内見には出来る限り行った方が良い。そのほか詐欺の回避方法はそれぞれの最新のウェブサイトを参照するのがいいだろう
実際に行くことは上に書いた想像を膨らませ、情報を収集するのに大きな助けになる
仮に日本からオランダにいくため、内見ができないのであればそれでもしっかり写真を撮ってもらうなどしてちゃんと確認は取っておくと良い

そしていずれのケースでも契約書はしっかり読んでおくことが必ず必要だ
当たり前ことだって?
いやいや、これの必要性を忘れてしまって痛い目を見ることもあるのだ
長くて小難しいことが書いてある契約書でも、面倒くさがらずにしっかりと自分で読みこんで内容を理解していなければならない
「親が読めばいいじゃない。その方が確実」と考えることもあるだろう。しかし、そこで実際に生活するのはほかならぬ自分なのだ。
そんな自分でしか気がつけないこともある
例えば大学が推奨しているウェブサイトでオファーが出されている物件は大抵初年度の学生にのみ貸し出されているものである
大抵1年契約で延長も短縮も認められないことが多くそれに気づかずに1年間気楽に過ごしていると後で地獄を見ることになる。私は見た
短縮もできないので新しい物件を見つけたから引っ越すとなってもお金を支払い続けなければならないなんてことが起こるかもしれない
物件によってはさらに別の人に貸し出すなんてこともできたりするらしい
慣れも必要だが契約はしっかりと確認した上で最低でも文面に目立った瑕疵がないか確認することが必要だ

4.大抵のことは何とかなる

1年目よりも2年目、2年目よりも3年目の方がいろいろなことが見えてきてより良い物件を見つけられる可能性が高くなる
その過程を経ることも含めて学びだと考えて楽しんでほしい
あなたはきっとただそこで机に向かって勉強するためにその国や赴いたわけではないはずだ
その場所のその空気感に触れていけば自然と行きたい場所や触れたい文化、自分の国との違いに気がついてやりたいことが溢れてくる
そうなればどれだけ理想的な家もどんどん手狭になっていく
だからなるべく自分がやりたいことを見つけてやりたいことのために勉強し生活をし、そして家に住むことが1番大切である

Part 2につづく


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