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宮川香山


宮川香山 (ミヤガワコウザン)


日本の陶芸家の中で世界をざわつかせた程の
実力を持つのが今回紹介する宮川香山となる。


同氏の作品には二度、私は出会っている。


大阪の中之島にある大阪市立東洋陶磁美術館。
そして丹波篠山市は、日本六古窯の一つである
丹波立杭焼(タンバタチクイヤキ」産地にある
兵庫陶芸美術館、これら二か所で宮川香山作、
陶芸に出会ったのである。



日本の陶芸家にして、明治時代の日本を代表
する陶工。新たな陶芸の世界の技法として
高浮彫や、真葛焼を創始した、帝室技芸員で
ある。



同氏の手掛けられた作品は、その立体構造と
躍動感あふれる鳥、鼠、猫、蟹、鳥獣戯画に
みられる蛙など、その作品の中には人知れぬ
技術の結晶とも言える作品の数々である。



さて、では、早速宮川香山の手掛けた作品を
見てみよう。何だか『何でも鑑定団』風にも
なってきた感じである。


これは壺である。大きさでいうと1m以上の
大きさの壺となる。その中腹には大樹の枝と葉、
そしてそれに留まっている鷹の姿が見える。
その立体的な構造の素晴らしさである。木肌の
質感、そしてそこにとまる鳥の羽の一枚一枚が
再現されているのに見惚れてしまう。鷹などは
今にもこの壺から飛び立ちそうな躍動感すら
感じるものである。ほほう、これはこれは
誠に凄いものだなと感心させられる。であるが
これが簡単にできたものではないとの説明が
陶芸美術館にはその苦労の背景が書かれてて
いかにそれが大変なのかが理解できた。


その冊子がどこかに行ったので記憶を辿っての
解説をする事にしよう。



『土』


陶芸に大事な要素、それは先ずは土である。
窯の中で焼き上げていって、それが作品として
カタチをちゃんと狙った通りに再現できるかが
重要である。焼き上がったものが常温下で亀裂
が入ってはいけない。取り扱う上で脆過ぎても
ダメである。基本となるのは先ずは土なのだ。



『釉薬』 着色の為の顔料みたいなもの

次に大事なのは釉薬である。私も子供の時と
大人になってから七宝焼というのをやった。
あ、陶芸もやったな(思い出しながら書く為
私のブログはこんな感じである)。その際に
仕上がりの色はこんな感じになると想定して
その配色をするのだが、焼き上がりと前とで
全く見た目の印象が違う。こんな風に複雑な
立体物を構成させた場合、いや、ここの色が
違う!と何度もやり直しがあったのである。
また、釉薬の色毎に温度帯では亀裂が入り、
これの試行錯誤こそが大変だったのである。
宮川香山はこのカラーチャート毎に温度帯を
記録として残したのである。自分だけの代で
それを終わらせるならば、自分の頭の中のみ
残しておけば良いが、彼の後には四代目まで
同じ宮川香山の名前を襲名された者達がいる。



『窯』

窯もまた重要である。その窯自体は長く
立体構造にする為に土地の傾斜を上手に
利用して作られており、そこで作品を焼く。
長い窯のどの部分にどう配置してやれば
どの温度帯で焼き上がるのかが決まる。



土、釉薬、窯、これらが陶芸においての
大事な要素である事は説明したが、勿論
それだけにはとどまらない。


一番大事なのは「魂」がそこに宿って
いるのかである。


伊藤若冲、円山応挙、そして宮川香山の
作品がそれぞれに逸出しているのは、その
自然のものへの観察眼であり、それらの
命の輝きがそれらの作品の中に宿っている
かが、凡人と非凡の大きな差である。



宮川香山の代表作のひとつが、渡蟹。
壺の中に入り込んでしまいそうな程の
躍動感がある。



もうひとつは、蝸牛(カタツムリ)
透明感のある壺の仕上がり、紫陽花
の柄の入った壺の上をゆっくりと歩む
蝸牛のこの作品を前に私は痺れてしまい
その前から離れるのが勿体無いとすら
思った作品である。





沢蟹もまた美しい


こちらは雨蛙



そして、一番人気のある作品がこちらである。




可愛くおどけた感じの猫がもう可愛すぎる




この宮川香山氏の作品の特集を手掛けた
大阪中之島の大阪市立東洋陶磁美術館は
何と2024年夏まで休館中である。


コロナ以降、美術展は大きく様変わりした。
撮影がOKな美術展が増えた。インスタに
ブログに良いものをみんなでシェアをして
素敵を分かち合おう、そんな考え方に変革
を遂げている中、陶芸関連の美術品に於いて
まだ旧態依然とした古き考えで世界を狭め
勿体無いと私は思う。良いものをもっと
拡散させて、その美を直に目で見てみたいと
思う、そんなは世界に持っていかなくては
宝物の持ち腐れとなる。


本来なら私もこの芸術家の作品を自分で撮影
したもので紹介したい。全部ネットの拾い
画像である。だが、注目すべき作品との想い
からここに載せている。

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