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人であふれた病院でのこと。

仕事で腕がとても痛くなった。仕事にならない。少し動かすと激痛が走る。仕方がないので病院へ行った。その病院は久しぶりに行ったのだけど、受付に行くと、早朝だったにもかかわらず、待合室には、すでにたくさんの人であふれていた。

そこは大きな病院ではない。確か1年前くらいに受診したときは、人はこれほど多くなかった。受診もわりとスムーズにできた。少し不安な気持ちで慌ただしい病院の中、受付の女性に「初診なんですが・・」と久しぶりに診察券を出しながら言った。

「予約はされてますか?」と聞かれた。え?確か予約は必要なかったはずだけど・・・私があっけにとられていると、私の診察券を見ながら言った。「あ、久しぶりに来られたんですね。すみません、今は事前予約が必要なんです」とちょっと困り顔で、それでも嫌みのない笑顔で教えてくれた。

「受診はできますが、お時間がかかりますが」と申し訳なさそうに私に伝えた。「わかりました。また、あらためて予約してから来ます」と私は答えた。

ただでさえ忙しそうなのに、事前にちゃんと確認しなかった私のことで手を煩わせるわけにはいかない。それにしても、どうしてこんなにも忙しくなってしまったのだろう?

そういえば、うちの奥さんも言っていた。彼女が久しぶりに予約してからいつもの歯医者に行ったとき、診る人が足りなくなったみたいで、時間もかかり、次の予約が一週間以上先になったとのこと。前はそんなことなかったのに、なんてこぼしていた。

本当に働く人が足りなくなって困ってしまうのは、まだ、少し先だと思っていたけれど、病院ではすでに現実問題として起きているのかもしれない。高齢化が進んで患者はどんどん増えてゆく。簡単に想像できることだった。

私の働いているスーパーと一緒に考えてはいけないのかもしれないけれども、うちもすでに人不足で、レジはいつも長い列が出来ている。品切れしていても補充が間に合っていない。こんなにも忙しい世の中で、待たされることほど、そして買いたいものがなかったことほど、辛いものはない。本当に申し訳なくて、心はいつも焦るばかりだ。

そんな忙しい中でも、人は待つということに、そして、待たせるということに、どれだけ心を落ち着かせて、対処することが出来るのだろうか?そんな人としての正しい態度が、これからは必要になるのかもしれない。

今日の受付の女性は、私が「また、今度にします」と答えて帰ろうとしたとき「わざわざ来られたのにすみません」と小さく頭を下げて言ってくれた。たった、それだけのことだったけど、それは当たり前のことかもしれないけれども、そんな一言が、私にはとてもうれしかった。

こんなにも忙しい中でも、ちゃんとひとりの私を見てくれている。それがきっと、待たせてしまう人への正しい態度なのだろう。

私たちは多分、これからは、待たされることを想定して行動する必要がある。そのことで、決して舌打ちするような態度にならないように。そして、待たせてしまう側は、常に改善の努力をしてゆかなければならない。それでも待ってくださる人たちのために、ひとりひとりをちゃんと見てゆくために。

そうして私たちは、助け合いながら
互いに今を生きてゆくのだ。

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最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一

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青木詠一

優しさ/悲しみ/人間関係/接客/クレームを描いたエッセイ「それでもお客様は神様ですか?」(大和書房)を出版「いくつもいくつも咲くために。言葉は小さな葉っぱなんだ」をテーマに今を生きる心のエッセイ・詩・写真を公開中。日本能力開発推進協会のメンタル・上級心理カウンセラーの資格を取得。

それでも今を生きてゆく【人生エッセイ】

長年の接客業の経験から、また心理学から考えた生きること、人生についてのエッセイです。
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