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わかって楽しい!マハーバーラタ

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インドの叙事詩マハーバーラタ。 ここにはヨーガの叡智が詰まっています。 全部で18章からなり、 10万詩にも及ぶ膨大な内容ですが、 その中から ヨーガの知恵を学ぶのに役立つスト… もっと読む
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マハーバーラタ 登場人物

マハーバーラタ 登場人物

人物相関図はこちらからどうぞ!

●ガネーシャ・・・本作の語り部。ガナ(群衆)とイーシャ(リーダー)がくっついて、ガネーシャ。マハーバーラタの筆記をしたのが、ガナパティ神(ガネーシャ神)と言われている。作者はヴャーサ。

●ヴャーサ・・・マハーバーラタの作者。ヴェーダを4つに分け、またそのヴェーダをわかりやすくするために、物語調に作られたのがマハーバーラタ。故にマハーバーラタは第5の聖典といわれる

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21.次男ビーマの予期せぬ結婚

21.次男ビーマの予期せぬ結婚

宮殿から逃げ出したパーンダヴァの5兄弟と母クンティー。宮殿から出た後も長い地下トンネルで常に気を張って歩き続けた結果、クンティーを始めとするみんなは次々疲労で倒れてしまいました。

ビーマだけはまだ力が残っていたので、クンティーを肩に担ぎ、更に4人の兄弟たちも抱えて歩き出しました。彼にとっては5人を背負うなんてへっちゃらなのです。

トンネルから地上にでてまず見えたのは、行く手を阻むように力強く流

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20.蝋(ロウ)宮殿 行かなきゃならない時もある

20.蝋(ロウ)宮殿 行かなきゃならない時もある

町の人々に温かく迎えられたユディシュティラ一行は、到着してしばらく経ったある日、プローチャナに連れられて立派な宮殿へと移り住むことになりました。

もちろんその宮殿は表向きにはドゥルタラーシュトラが甥たちのために建てたことになっていますが、本当はドゥルヨーダナが従兄弟たちを陥れるため
裏工作されたあの建物です。

宮殿の周りには、ぐるりと堀が巡らせてありました。そう、これは敵の侵入を防ぐためではな

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19.たくらむドゥルヨーダナとゆがんだ愛

19.たくらむドゥルヨーダナとゆがんだ愛

前王パーンドゥが逝去したあと国を統治していたのは、彼の兄であったドゥルタラーシュトラ王でした。順当なところでいくと次期王の候補は、ドゥルタラーシュトラの長男ドゥルヨーダナ。けれども民からは、跡継ぎはユディシュティラに、という声が多くあがっていました。

ユディシュティラはパーンドゥの長子というだけではなく、ダルマ神(法・秩序を司る)を祈った結果として第一夫人のクンティーが授かった子ですから、国を守

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18.ドローナ、一矢報いる

18.ドローナ、一矢報いる

アルジュナを始めとするたくさんの王子たちが成長を遂げました。
それを見てとった指南役のドローナ先生は、生徒である彼らを集めて言いました。

「そろそろみんな、一人立ちしてもよい頃だろう。教えるべきことはすべて教えたといっても過言ではないからな。と、いうわけで。私にダクシナを授けてほしいのだが」
(※ダクシナとは、先生に差し出す感謝のお礼のようなもの)

それを聞いて生徒たちは興奮しました。
「もち

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17.王子集結!武術大会

17.王子集結!武術大会

ラデーヤ改めカルナが、王宮ハスティナープラに向かうことを決心した理由は、王宮で武術大会があると風のうわさで聞いたからです。

そのうわさの武術大会の発起人はドローナでした。
ドローナは成長した王子たちを見て、そろそろ彼らの実力を試すために武術大会を開いてみてはどうかと思い立ったのです。

ビーシュマやドゥルタラーシュトラ王に提案するとすぐに承諾されたので、早速準備に取り掛かりました。ユディシュティ

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16.ラデーヤ、修行の旅へ

16.ラデーヤ、修行の旅へ

あるところに、ラデーヤという青年がいました。

今日はラデーヤの16回目の誕生日。母にずっと伝えたいことがあった彼は、折を見て切り出しました。

「お母さん。今日は僕にとって特別な日だし・・・実はお願いがあるんだけど聞いてくれるかい?」
ラデーヤの母であり(馬車の)御者を仕事とするアディラタの妻であるラダーは、ゆっくり振り返ると息子の顔をしげしげとみつめました。

美しく、輝くような瞳と、厚い胸板

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15.エーカラヴャの献身

15.エーカラヴャの献身

ある日、ドローナのところに、色黒の少年がやってきて言いました。

「あなた様はドローナ先生でいらっしゃいますでしょうか。
先生にお会いしたいと思いやって参りました。私はニシャダ国の王子で、エーカラヴャというものです。私に弓の技術を学ばせて頂けないでしょうか。
そして、どうかあなたの弟子にしてください!」

礼儀正しいこの少年に、ドローナはとても好感を持ちましたが、残念ながら彼はニシャダ国の者。敵対

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《こぼれ話①》ヴァルナってなに?

《こぼれ話①》ヴァルナってなに?

インドのお話では当たり前のように、よくでてくるヴァルナ。
現代ではカースト制と言われることが多いのですが、ヴァルナ自体を理解しておくと今後の話がわかりやすいと思うので先に説明しますね!

【ヴァルナ】

バラモン(祭祀をする役割の人)
クシャットリヤ(戦士としての役割の人)
ヴァイシャ(商いをして経済を回す役割の人)
シュードラ(労働者の役割の人)

ヴァルナというシステムは、上記の4つの役割に人

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14.ドローナとドゥルパダ王

14.ドローナとドゥルパダ王

ドローナという人がいました。
ドローナはバラドワージャの息子で、バラモン(司祭)の家の出でした。
子供の時には、パンチャーラ王国の王子ドゥルパダと同じリシの元で学んでおり、とても仲良しでした。

ドローナは、ヴェーダとヴェーダーンタを学んだ後、さらには弓の名手に成長。ドゥルパダは国に帰って亡くなった自分の父の後を継ぎ王になりました。

《ガネーシャのひとりごと》
みんなはドゥルパダを覚えているかな

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13.ドゥルヨーダナの悪だくみ

13.ドゥルヨーダナの悪だくみ

5人の子供たちを連れてハスティナープラに凱旋したクンティーは王宮の人々にパーンドゥの結末を皆に伝えました。

ドゥルタラーシュトラは弟との思い出が記憶からあふれ出て、光の射さない瞳から大粒の涙を流しました。
ビーシュマも可愛い甥御を失って茫然自失に。

特に母親のアンバーリカーの悲しみと言ったら、言葉では言い尽くせないほどでしたし、王国全体が灰色のもやに包まれてしまったようでした。

悲しみと同時

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12.パーンダヴァ誕生

12.パーンダヴァ誕生

パーンドゥについて少し触れておきましょう。
パーンドゥはドゥルタラーシュトラの弟で次男にあたります。
三男はダルマ神の生まれ変わりともいわれたヴィドゥラでしたね。
三人は全て母(アンビカ―、アンバーリカー、アンビカ―のメイド)が違いますが、父は共通して賢者ヴャーサ(サッテャヴァティーの最初の息子)です。

パーンドゥは第二王子でしたが、王位継承第一位の兄は盲目であるという理由により王の地位を引き継

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11.クンティーの過去

11.クンティーの過去

クンティーがまだパーンドゥのもとへ嫁入りする前のお話。

ドゥルヴァサという聖者がいました。
彼は、怒りっぽいことで有名な人でした。

それはもう世界中で噂されていて、その結果彼は旅をすると行く先々で手厚いおもてなしを受けました。要はだいぶ怖がられていたというわけ。

ある時その聖者ドゥルヴァサが、クンティーの養父クンティーボージャの家を訪れました。
クンティーは父からドゥルヴァサをもてなすように

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10.ドゥルヨーダナ誕生

10.ドゥルヨーダナ誕生

長男ドゥルタラーシュトラの妻ガーンダーリー。次男にして王のパーンドゥの妻はクンティ―とマードゥリー姫。姫たちの中で最初に妊娠したのは、ガーンダーリーでした。

以前、賢者ヴャーサが、
「私とアンビカーとの間にできた子供は100人の王子の父となるでしょう」
と予言していたのを覚えているでしょうか。
その子供というのがドゥルタラーシュトラなわけですから、そのお嫁さんになったガーンダーリーは子が宿ったと

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