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作品紹介 #026~#029

こちらでは、
能「楊貴妃」「経政」「芭蕉」を描いた作品を紹介していきます。
更に詳しく解説が知りたい方は、
HPのほうでご覧下さい(ページ下部にLINKあり)


Yokihi(Yang Guifei)/Noh Art #026




能「楊貴妃」より
玉簾の中から顔を覗かせる楊貴妃


中国の詩人である、
白居易の「長恨歌」がストーリーの基となっている演目です

楊貴妃は世界三大美人とされ、美貌だけでなく音楽や舞踊にも秀でた女性として有名でした

「天にあらば願わくは比翼の鳥とならん 地にあらば願わくは連理の枝とならん」
(てんにあらばねがわくはひよくのとりとならん ちにあらばねがわくはれんりのえだとならん)

比翼連理の誓いの部分の詞章
”天にいれば翼を並べて離れない鳥になろう、
地上にあれば枝を連ねて離れない木となろう”

今迄描いてきた中でも最も制作時間の長かった作品です
金や朱の色が多いので、装飾ごとに変化を出すのが大変でした。


Tsunemasa/Noh Art #027




能「経政」より
詩歌管弦に親しんだ昔を思い出しながら
琵琶を奏で舞う場面



平家物語を題材とした演目です
平経正は、平家一門の中でも俊才として知られ、歌人として活躍しました。また、平安貴族が愛用した楽器・琵琶の名手でした

「昔を返す舞の袖。衣笠山も近かりき。面白の夜遊やあら面白の夜遊や」
(むかしをかえすまいのそで。きぬがさやまもちかかりき。おもしろのやゆうやあらおもしろのやゆうや。)

背景は経正が元服前の幼少期を過ごしたとされる、
秋の仁和寺と紅葉の様子からです

修羅能に登場する男性の武将とは違い、雅やかな雰囲気を表現するのが難しくも、楽しかった作品でした。


Basho/Noh Art #028




能「芭蕉」
芭蕉の葉の破れやすさや脆さを人生観や自分の姿と重ね、
袖を寄せる芭蕉の精の、物悲しさが漂う場面より



秋の中国が舞台の演目です

「芭蕉」とは、中国が原産の植物で、高さは2~3M、幅50cmメートル程の大きな葉を付けるのが特徴の植物です
この芭蕉を想像すれば分かる通り、同じ植物の精でも以前描いた「杜若」や「藤」のような華やかなイメージはありません

この芭蕉という植物は、秋や冬になると枯れてしまう姿が哀れさを誘い、
昔から季語として使用されてきました
能の中では、その芭蕉の精が成仏を望んで僧の前に現れ話が進んでいきます。

「さなきだに あだなるに芭蕉の 女の衣は薄色の花染めならぬに 袖のほころびも恥かしや」
(さなきだに あだなるにばしょうの おんなのころもはうすいろのはなぞめならぬに そでのほころびもはずかしや)

芭蕉の色をイメージしながらも、曲の雰囲気を考えてあまり華美な色を選ばないよう、渋さや奥深さを出せるように意識した作品でした。





ここまで御覧いただきありがとうございました。

下のリンク先の作品紹介ページにて、

演目の詳しい内容や、登場人物、使用している面や能装束、縁のある史跡等について解説しています。宜しければぜひご覧下さい。

「Mizuraho」… https://mizuraho.eisui.space/

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