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頼んだぞ、沢村。

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私は高校に通っている。進学を目指している。沢村くんも同じだ。彼はいつも数学を勉強している。そんなある日、突然始まったデスゲームに、私の高校生活は一変した。
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頼んだぞ、沢村。 #2

頼んだぞ、沢村。 #2

では、みなさん。教室に残ったのは12名といったところでしょうか。男子は、沢村、朝長、松尾、成沢、荒柳、の5名。女子は、皆川、高松、大久保、佐々木、日村、ブレナン、の6名。

黒板には音もなく再び文字が羅列され始める。

私はそれを見ている。教室に残った、人数が三分の一以下になってしまった同胞たちとともに。

「朝長くん、やっぱり、これは……現実?」

朝長くんは歯をくいしばる。

「わからない……

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頼んだぞ、沢村。 #1

頼んだぞ、沢村。 #1

ガラガラ。

教室に入ると今日も沢村くんは勉強している。

なにやら数学Ⅲというのをやっているらしい。

この高校から進学なんて、よく思いついたものだというくらい、私たちの高校は偏差値が低い。

だから進学を目指すのは、三年四組には沢村くんと私しかいない。

私は文系だから、正直言って沢村くんが毎日何をやっているのかさっぱりわからない。

「おい、沢村ぁ、パン買ってこいよ」

あーあ、また野田くん

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