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はじめての売り込み

僕が2006年に初めて売り込みに行った時の話をします。

2005年に大阪の専門学校を卒業して
そのまま大阪で展覧会をしたり、コンペに出したり、アートイベントに出展したり、思いつく限りの事を片っ端からやっていたんですが
ほとんどイラストの仕事に繋がらなかったので
このままでは絵で生活するのは難しいなと思い。東京の出版社に売り込みに行ってみようと思いました。

ですが、売り込みといってもどこにどうやっていいか。全くわかりませんでした。
友人でイラストレーターの亀澤裕也くん(亀ちゃん)に電話をして
「売り込みに行こうと思ったんやけど、どうしたらいい?」と相談しました。すると「いくつか中川くんに合いそうな出版社を探して連絡先を教えるわ〜。」と言ってくれました。

数日後、亀ちゃんから封筒が届いた。
その封筒には、出版社の住所、連絡先。編集さんの名前とその人の人柄などが書かれた便箋が10枚ほど入っていました!
なんといい奴!なんと親切な人や!と感激したのを今でも覚えています。

すぐに意を決してその便箋にある出版社に片っ端から電話をかけました。

文章にすると一行ですが、初めて電話をした時は、喉がカラカラになり、喋り方もしどろもどろになり。
自分で何を言ってるのかわからなくなるほど緊張しながら電話をしました。

電話で伝えた事は
自分が大阪に住んでいる絵描きだということと
9月17日〜28日まで東京に行くこと
その期間の都合のいい日時で会って絵を見てもらえませんか?
ということ。

この時に電話をかけたのは30社くらいで、実際にアポが取れたのは21社。
1日に2~3件の出版社の方に会ってもらうペース。その時の実際のスケジュールは下の写真です。

1日目がGEISAI10と書いてるので、初めてGEISAIに出展した時に売り込みに行ったようです。

とにかく電話をするのが緊張しまくりだったので、1時間に1件くらいしか電話をかけれませんでした。電話の後は冷や汗と疲れでグッタリ。

アポが取れたので、亀ちゃんにお礼の電話をして
売り込みに持っていく作品やファイルの準備をしました。

売り込みに持って行ったものは
●作品を見てもらうためのポートフォリオ1冊
とにかく作品はたくさんあったのでいっぱい見てもらいたくて
60ポケットくらいのA4のファイルにギッチリのポートフォリオ
●渡す用のファイル
10ポケットくらいの薄めのポートフォリオ(この時は、仕事の実績がほとんどなかったので、オリジナルの絵の中で自分が気に入っているものを選んでいれていました。今から考えるともう少し見せ方があったんじゃないかな〜と思います)
●原画たくさん
覚えてもらうことが必要だと思った僕は、明らかに多いなと思うくらいの枚数の原画を持てるだけ持って行きました。サイズもいろいろで大きいもの(2×3m)くらいのキャンパスを丸めたもの。から小さいSMサイズくらいのキャンパスまで、ダンボールにいれて折りたたみ式のキャリー(下の画像のような)に乗せて持って行きました。

原画をたくさん持って行ったので、広げて見てもらうだけでもかなりのスペースが必要で相当迷惑だったと思いますw

見せるファイルのポケットが多すぎるので、ポートフォリオを見てもらうだけでも時間がかかるし。原画をそんなに大量に持ってこられても
スペースはとるし。扱いにも気を使うし。
今考えると「なんでそんな事をしたんや!」と思うような事ばかりしてましたが、その時はどうすれば印象に残るか!というのを考えてそんな事になってしまったようですw

実際に売り込みに回った時は、電車での移動なので、大荷物でいろいろな場所を回るのはめちゃめちゃ大変で。満員電車ではものすごく迷惑やし。。
ひ〜ひ〜言いながら回ったのを覚えています。
丸めて筒状にしてる原画を電車の中に忘れて、忘れ物センターに取りに行った事もありました。

その時は、まだスマホがない時代だったので、大量に地図をプリントして持っていきました。(土地勘が全くないので、近くの地図だけだと道がわからず、駅からわかるように縮尺を何パターンか印刷した)それでも道に迷って電話をして会社までの道を教えてもらったりとホントにご迷惑をかけまくりでした。。

これがその時に印刷していった地図↑
なぜか捨てれずにまだ置いてるw

その時に回った21社で、その後、仕事に繋がらなかったところもありますが、今でもお付き合いがあって、お世話になっているところもあります。

その後も半年に一度くらいのペースで東京に1週間や2週間くらいやって来て20~30社くらい売り込みに回っていました。
売り込みに行く度に、意見やアドバイスをもらえたりしたので、それを「売り込みノート」として6冊くらいの小さいノートにまとめています。

最近は、なかなか売り込みには行けていませんが、一緒に仕事をやりたいと思う人を見つけた時は、連絡先を調べて売り込みに行くようにしています。

あの時は、ツイッターもなく今ほどインターネットでも作品を見せれる場所がなかったので、こんな方法をやっていましたが
今では様々なSNSがあって作品を見てもらう方法はいくらでもあるので
もっと賢い方法があると思います。
しかしこれらの経験を通して学んだ事は多く。1つ1つの経験が身に染み込んで今の自分があるんだなと感じています。

最後に
亀ちゃんあの時は、ホントにホントにお世話になりました。
あの時の恩は今でも忘れてないよ。亀ちゃんが困った時には
すっ飛んで行くよ!

2006年頃から売り込みに回らせて頂いた会社のみなさま。
わからない事だらけで、いろいろとご迷惑をおかけしまいしたが
お仕事でご恩を返していけるように今後も精進します。

と僕が初めて売り込みに行った時は、こんな感じでした。
思い出しただけで恥ずかしい事いっぱいやな〜




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