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序論のまえに

あいさつ

はじめまして。浦島千裕といいます。
大阪に住んでいます。
普段は筆名を使ってオンラインに住み、細々と小説を書いたりしています。
映画と読書と音楽と若手イケメン俳優のことをしゃべり続けるどこにでもいる会社員です。
名前だけがちょっと珍しいです。

このnote

このnoteでは私の大学卒業論文
『エレクトラの「死」−2012グラーツ『エレクトラ』の演出について−』
を公開していきます。

この論文は、オペラ作品『ELEKTRA』(リヒャルト・シュトラウス作曲)のある一つの演出方法についての分析を足がかりとし、舞台作品における「演出」の意義を考察するものです。

『ELEKTRA』について

『エレクトラ』は、簡単に説明すると母殺しの物語です。
愛人と結託した母親が夫である国王を暗殺したことで娘のエレクトラがブチ切れ、国に戻ってきた弟と結託して今度は母親を殺すまでの物語です。

主人公はエレクトラであり、2時間弱ひたすらに彼女の物語ですが、妹のクリュソテミス、そして母親のクリュテムネストラの2人が据え置かれ、主に3人のやりとりで進みます。
オペラ作品は3時間以上かかるものが多いところ、この作品は一幕構成で2時間弱で観られます。(ここ、地味にいいところ)

私がこの卒論で取り上げたのは、2012年冬オーストリア・グラーツで上演されたこの演出です。(Oper Grazの公式トレイラーです)

この2分弱のダイジェストで全容を掴むことは難しいかと思いますが、オペラにしてはちょっと(かなり)サイケな演出であることがわかると思います。

私が論文に取り上げたのはこの『ELEKTRA』のみであり、逆にいうとそれ以外のエレクトラには全く触れていません。作曲家シュトラウスの他作品について体系的に書いたわけでもありません。
ただただ、2012年冬のある期間、ある街で上演された、たったひとつの『ELEKTRA』のことだけを書きました。

web公開について

今となっては恋をしていたのだとしか言いようがありません。
ただ、そんなオタクプレゼンみたいな論文は結果的に「作品」と「演出」の関係性の考察にまで至り、お読みいただく側にも学術的に何らか得るものがある、知的好奇心に何か提示できるものがあるのではないかと考えるようになりました。

そもそも、学部卒業論文は通常であれば学校に提出した後はその学校に封印されてしまうものだと思っています。
後々、次の学生のための参考程度に教授から紹介されたり、回覧されたりしたら御の字のようなものではないでしょうか。

そう考えると、
「もったいなくない?」
というのが私の正直な気持ちでした。

そこで、数年前に自分の文芸活動の一環として、文庫装丁にして本にしてみました。

ダークでありながらもポップで、キャッチーなこの表紙イラストを描いてくれたのは同じ大学同期であり、現在はアニメーション作家として活躍している山中澪ちゃんです。
20部という少部数でしたが、文学フリマや他イベントの委託販売、web通販を通して昨年ありがたいことに完売しました。
お読みいただいた方々からは、エレクトラを知らない方ばかりだったにも関わらず、好評のお言葉を多数いただきました。その節は本当にありがとうございました。

これで結構気が済んだかなと思っていましたが、
今、舞台芸術にどんな形であれ関わっている方、興味がある方、考えてみたいと思っている方、そして学生の方の目に広く触れ、私からお示しできるもの、何らかお手伝いになるものがあればと思い、web公開を決めました。

掲載にあたり

web掲載にあたりましては一度に投稿するとあまりに読むのが大変になるため、チャプター毎に分割して連載のような形で公開していきます。
また可読性を高めるため、改行を増やしたり、語尾や誤記の軽微な修正を行なっています。

また、大学提出版および文庫発表版では、当時の舞台写真を出典URLを明記の上図版として掲載しておりましたが、2019年現在、Oper Graz公式webサイトのアーカイヴからこの『ELEKTRA』ページが削除されましたため、このnote掲載においては写真の掲載は見送らせていただきます。
(舞台の雰囲気については上記トレイラーからご想像ください)
文庫版をお持ちの方は、図版は特典としてお持ちください。

『エレクトラの「死」−2012グラーツ『エレクトラ』の演出について−』は2013年度に神戸大学国際文化学部(現:国際人間科学部)に提出したものです。
余談ですが国際文化学部は当時4つの講座(専攻のようなもの)に分かれており、その中でも私は現代文化論講座・芸術文化論コースに所属していたのですが、現在はグローバル文化学科・グローバル文化形成プログラムにあたるようです。(ますますわからなくなっていく神戸大学)http://www.fgh.kobe-u.ac.jp/ja/academics/gc


この論文が、求める方に届き、何かに資することができれば
とても嬉しく思います。

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