Noname - Room 25:Disc Review without Preparation

ノーネーム『Room 25』

シカゴのチャンス・ザ・ラッパー周辺のコミュニティのシンガーで詩人でラッパーのノーネームの作品は肩の力が抜けまくりで、日中のカフェで流れてて欲しい最高のBGM。

タイニー・デスク・コンサートを思わせる小音量で軽やかな演奏とリラックスした雰囲気をスタジオで作り込んだみたいな質感はありそうでほかにない音楽だと思う。

Rhye的な肌が触れる距離の恋人的な親密さじゃなくて、友達が何人か集まってる行きつけの個人経営のバーやカフェくらいの近さ。近いんだが、全てが近過ぎもしない自然な「地声感」は彼女の歌に象徴的。個々の演奏の点がパラパラと連なってグルーヴする感じの日常感もすごく良い。特別さを感じさせない特別な音楽だ。

ノーネームの歌は、「歌」と「ラップ」と「ポエトリー」と「喋り」が一緒になったようなも不思議なもので、それをウィスパーをデカくしたとかじゃなくて、普段の喋りの延長の地声みたいな塩梅で歌う。バックのサウンドもその歌と同じフィーリングで、例えばドラムだったら肘から下、もっと言えば手首や指の動きだけでスティック動かしてる感じの軽さがクリアに自然に鳴っている。とはいえ、それが実物より音大きいし近くで鳴ってるように録ってるはずなのに極めて自然に聴こえる。

それは作り込まれた自然というか、実はヴァーチャルで、ところどころが強調されたりデザインされているからこそ、脳が感じるナチュラルさというか。自然体具合を演出してるサウンドも、それ以上に自然体を感じさせてしまうノーネームの歌も素晴らしい。シカゴのこの辺の人たち全体的にナチュラルな良さがあるけど、その中でも格段に良い。

僕はおじさんなので、エリカ・バドゥの「On & On」とかを思い出してしまうわけだけど、エリカのこの感じの緩さとか力の抜け具合と軽やかさみたいな表現って、すげー大きいんだろうなと。ノーネーム聴いて改めて感じたり。情感や手触りや湿度とか、色々真逆だけどね。
(2018/09/16)

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柳樂光隆

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柳樂光隆

Reviews by Mitsutaka Nagira

音楽評論家 柳樂光隆によるディスクレビューです。 即興的にディスクレビューを書いた「Disc Review without Preparation」が多めで、たまに長文のレビューがあります。
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