実家に植えられていた、桜の木を顧みる
かつて、実家に桜の木がありました。
道路にせり出していた大きなソメイヨシノ。引っ越した当初から、すでにその桜は植えられていたのです。見た目も美しく癒やされて、ご近所にも好評でした。
ですが、管理は大変です。花びらの落ちる時期、桜しべの落ちる時期、実が落ちる時期、落ち葉が多い時期は一日二回の道路清掃が必要です。家族で交代して、お掃除しました。特に、他界した祖母はまめに道路に出ては、お掃除していたのです。
それでも雨どいや排水溝に落ち葉が詰まったり、風に吹かれて遠くまで落ち葉が散らばってしまったり。定期的に剪定してもらっても、台風後には枝が落ちます。けが人が出ていないかと思うと、例年ヒヤヒヤしました。
結局、桜の木は数年前に伐採しました。衰弱が強く、かえって危険と言われたためです。幹の中には空洞があり、いつ幹折れするかも分からない状態でした。名残惜しい反面、家族そろってホッとしたことを覚えています。
桜の木には、虫がつくこともあれば、鳥が落とし物することもあります。植木屋さんにお手当してもらいながら、桜の木も寿命をまっとうできたと思うようにしました。正直、桜の木をさいごまで見届けらた達成感のほうが大きかったのです。
伐採した後も、春には桜を楽しむことに変わりありません。
さいわい、都内には道路沿いや川沿い、上水沿いに多くの桜が植えられています。公園内にも桜が多く、のんびりと花見を楽しむことができました。
散歩がてら、個人のお宅に植えられた桜を眺めることもあります。年間通して桜の世話をすることの大変さを知っているだけに、身近に花見できるありがたさもひとしおなのです。
来年も、お花見できることを楽しみに。お手入れしてくださる方への労をねぎらいたいと思います。
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