お金はタイムマシーン
この世にお金が無かったら
食べ物が必要な時には　
育てるか、取りに行くとか
移動が必要な時には　
足を使って歩くとか　
全部全部、自分でやらなくちゃいけない
道具や　電子機器も
一から作る技術なんて　　
殆ど誰も持ち合わせていない
お金があるから　
欲しいものと　交換できて
お金があるから
作ってくれた誰かと繋がり　生きていける

それは、便利なことだ
とてもありがたいこと
今、こうして文章を書きながら
目の前にあるものを見渡して

コーヒーの入ったマグカップ　
パソコン　
携帯電話　
ノート　
ペン　
椅子　
テーブル　　
服　
テレビ　
テレビ台

何一つ　
たった一つだけでさえ
私は作ることができない
使わせていただくだけ
私は、びっくりするくらい何もできない
だからお金は究極の時短ツール
タイムマシーン
私はお金をつかって
時間と技術を買っているんだろう

でも、ふと思う

スーパーで大量に買った野菜は
子供たちと庭で育てたミニトマトほど
味わって食べることが無い

お金で買ったマグカップは、
一緒に陶芸教室で作った　素焼きのお皿ほど
丁寧にあつかわない

子供のためにミシンを使って作った道具袋は　ビニール袋と違って
汚れてもすぐに捨てる事が出来ない

庭のミニトマトは　決して　
甘くないのだけれど
素焼きのお皿は　決して　
売り物みたいに綺麗ではないのだけれど
手作りの道具袋は　
縫い目もめちゃくちゃなのだけれど
それぞれに思い入れがあって
不思議と
大切に感じられ
何年経っても忘れられない

手間をかけ、そして、時間をかけること
その中にこそ、想いが宿る
私が感じる本当の「豊かさ」とは
「幸せ」とは
きっと　
そこに息づく
言葉には表現しきれない「想い」のこと

便利さは　つまり　簡単であることは
「想い」を一足飛びにして
忘れさせてしまう
豊かさも
自分が本当は何もできないことも
だからこそ
お金　お金　と言われる今の世の中は
こんなにも便利であるのに
幸福であることを　感じにくくて
なんでもできると勘違いし
感謝を忘れがちなのかもしれない

敢えて　てまひまをかけ
手を動かし、足を動かし、体を動かして
誰かを想いながら

しあわせとはなにか
豊かさとはなにか
自問自答する

タイムマシーンに乗らない方が
案外　見つけやすいのかもしれない