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”人生で最も大切な時期”は?

ユニセフは、

「過去30年間の科学研究で、人の発達で一番重要な時期は幼少期(0~8歳)だということがわかっています。この期間に、認知スキル・健全な身体的および精神的健康・心の幸福感という、大人になってから成功するための発達の強固な土台がつくられます。」

と発表しています。

The early years matter
Scientific research over the past 30 years has taught us
that the most important period of human development
is from birth to eight years old.
During these years, the development of cognitive skills, emotional well-being,
competence and sound physical and mental health
builds a strong foundation for success well into the adult years.

© United Nations Children’s Fund (UNICEF) October 2018 Learning Through Play


子どもの発達について

子どもの発達を大きく分けると5つあります。

①Cognitive (脳の発達)
・物事を理解、判断して、計画を立て実行に移す
・記憶力、問題解決能力、注意力、思考力
・傾聴力、読み書きの能力

Social (社会性)
・他者との関わり合いの中で、人間関係や他者の態度、意図を理解する

Emotional (心・感情)
・感情に気づき、理解し、またそれらを表現すること
・感情をコントロールする力
・生涯に渡って発達していくもの

Physical (身体面)
・手先を使う(身体の小さな筋肉を使う)などの細かい運動能力
・全身を使う(身体の大きな筋肉を使う)などの総合的な運動能力
・身体を使い、またコントロールをすることができる

Language(言語)
・言葉を使って、考えや要求を伝える力
・言葉を理解し、他者とコミュニケーションを取る


どのように発達していくのか?


最新の研究結果などから現在、
子どもたちにとって最もベストだとされている教育の在り方が

【Play-based learning】


であり、オーストラリアの保育・教育でも取り入れられています。
※ここでの子どもの対象は0~18歳以下を指します。

授業でももう何度言われたか分らないほどトレーナーに言われるのが

” Children learn BEST through play.”(子どもたちは遊びを通じて最も学ぶ)


「子どもたちが何をしたいかは子どもたちが自身で選ぶことができるので、勉強することや何かをすることを強要することはしてはいけないし、何より、強要してやったところで脳が学ばない。」

とトレーナーは続けて教えてくれました。

子どもたちは遊びを通して、
「みて・きいて・さわって・におって・あじわって」
と五感フル活用で、自分の身の回りの世界がどんなものなのかを学んでいきます。

赤ちゃんは特に、何でも口に入れますよね。

これも立派な、「遊び」のひとつで、発達には欠かせないものです。

手足を動かせるようになって、物を握れるようになって、ますます楽しくなっていく自分の世界。

遊びの中で、新しいことに日々気づき、好奇心も探究心もさらに膨らんで、いろんなことを試してみたくなるんですね。

五感フル活用の大冒険!

「なんでこんなことするの?!」と思う事が保育中にも多々あるのですが、保護者のみなさん、育児中に感じたことはありませんか?

大人にとって突拍子のない行動も子どもにとっては楽しい「遊び」です。

なぜ、遊びべースの学習がいいの?

ハーバード大学子ども発達センターは子どもの発達について長く研究している機関であり、なぜ遊びが重要なのか、また遊びから何をみにつけるのか、など脳科学の研究結果を基に数多く発信しています。

【遊びの3つの役割】

1. Supporting responsive relationships
2. Strengthening core life skills
3. Reducing sources of stress

  Play in Early Childhood: The Role of Play in Any Setting

1.応答的関わりをサポートする

応答的関わりを、「サーブとリターン」と呼びます。

簡単なシナリオを1つ。
 1歳半の子どもがブロックを高く積み上げ、お母さんに見せています。お母さんは出来上がったものを見て「すごいね!」「そんなに積み上げられるの!」と子どもの遊びを褒めます。


子どもの行動が「サーブ」
子どもに対して取ったお母さんの行動が「リターン」

となります。

遊びの中で子どもの興味関心があるものに、大人も一緒になって興味を示すことがポジティブな「サーブとリターン」となり、安心できる環境の中で、他者との信頼関係を築きます。

大人からのリターンによって、子どもたちは新しい言葉や音を学んだり、ルールを通した遊びの中で、5つの発達要素に必要な、強固な脳の構造土台をつくっていきます。

以下のリンクは、サーブとリターンについての日本語版の動画です。
2分弱の短いものなので、スキマ時間にぜひ見てください!

Serve and Return Interaction Shapes Brain Circuitry (Japanese)

Center of the Developing Child at Harvard University

2.コアライフスキルの強化

自分の力で人生をより良いものにするために必要になってくるライフスキル。
ハーバード大学は3つの基本となるコアスキルを遊びによって強化することができると言います。

Working memory(作業記憶)
・情報を保持して、使う能力

Inhibitory control(抑制制御)
・誘惑や気の散るものなどに抵抗するような、考えや衝動をコントロールし、立ち止まり考える能力

Cognitive flexibility(認知的柔軟性)
・状況や問題に対して臨機応変に、柔軟に対応する能力
・変化に対応することができる

3.ストレスの原因を減らす

遊びに取り組むことで、保護者や教育者のストレスレベルが下がるそうです。
また、トラウマを抱えた子どもたちが安心感を得る入り口にもなります。

が、他者との遊びの中で子どもたちが毎回スムーズにそして平和に遊びに取り組むことが出来るかと言ったらそうではないですよね。

必ずといっていいほど他者とのぶつかり合いがあります。

「私の、僕のおもちゃ!」「私の、僕の番!」
「ルールを守らない!」

こういった遊びの中のストレスに対処していく能力も、遊びの中で身につけていきます。

「おもちゃをシェアすること」「順番が自分にもちゃんと回ってくること」「(園の)おもちゃは自分だけの物ではないこと」
「ルールに従ってゲームに取り組むこと」


どのように対処していくかの能力の土台も幼少期に遊びを通して培う事が出来ます。

【レジリエンスが育つ】

レジリエンスとは直訳すると「回復力」とも言われていますが、「心のバネ」とも言われています。

苦難や逆境を乗り越える、問題や課題に対処し解決していくなど、
「克服していく力」のことです。

ハーバード大学こども発達センターのディレクターである
Jack P.Shonkoffさん(医学博士)はポッドキャストにて、

「レジリエンスがどのように育つのか、遊びが子どもの学習をどのようにサポートするのかについて教えてくれませんか?」

と質問受け、このように話しています。

Your ability, your natural ability to play, is one of the most important strategies that we have developmentally to build resilience in the face of adversity.

The Brain Architects Podcast: Building Resilience Through Play

「自然に遊ぶ能力が、逆境に直面したときのレジリエンスを構築する最大の戦略の1つになります。」

保育者としてできること

遊びが全てを解決するわけではないですが、発達の土台をつくる大切な大切な幼少期、お子さんとたっぷり遊んでみてはいかがでしょうか?

遊びは子どもたちが教えてくれます。子どもの興味関心に目を向け、話していることに耳を傾け、関わってみてください。

私自身も、知識も経験も活かして、それでもマニュアル通りにいかないのが保育で苦戦する時もあります。うまくいかないこと多いんですよね。
子どもたちのおかげで成長できている自分がいます。

子どもとのいろんなハプニング(遊び)も楽しんでいられる余裕が保育にも育児にも大切です。

「遊び」は子どもが主体になれる環境です。

子どもたちは受け入れてもらえた安心感があってこそ、他者を受け入れられるようになります。

お子さまのどんな遊びが好きですか??^^


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