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【読書感想文】にぎやかだけど、たったひとりで

『にぎやかだけど、たったひとりで 人生が変わる、大富豪の33の教え』

吉本ばななさんと兄貴こと丸尾孝俊さんの新刊です。

この本を読んだきっかけは、書店で何気なく見つけて、この不思議なコラボに興味を持ったからです。

実は以前、ばななさんと桜井章一さんとの対談本を読んでとても面白かったのですが

(こんな感じで、ばななさんは、他にいろんな方と対談や共著という形で本を出されています)、なんと今回は、バリの兄貴こと丸尾孝俊さん。

私はいまちょうど「お金を増やす」ことに関心がある時で、しかも、バリ島在住の大富豪で、映画にもなった丸尾孝俊さん(以下「兄貴」と呼びます)と吉本ばななさんの共著・・・となると、やはり興味が惹かれます。

早速、買ってみて、読んでみました。

◇◇◇

本の内容は、兄貴のインタビュー記事が中心になっていて、その前後と合間に、兄貴との交流が深い吉本ばななさんが解説を入れています。

兄貴の半生とそこから得られた人生哲学が、兄貴が語る大阪弁そのままで歯切れよく記されており、そんな兄貴を見つめるばななさんが、愛と尊敬をもって観察し感じたことを、兄貴のインタビュー記事の前後や合間に書き綴って挟み込む・・・。そんな形式の不思議な本です。

私は、数年前に兄貴のことが「神様はバリにいる」というタイトルで映画化されたことは知っていたけど(確か兄貴役は堤真一さんだったと思う)、それ以上のことは全く知らず、兄貴について、私は完全なビギナーでした。


だけど、この本を読み進めたら、兄貴の人生にすっかり魅了されてしまいました。


昔はこういう「男」が日本の各地にいたと思うのです。

義理・人情という感覚を、さらに昇華させた深くて崇高な心の境地に至った男が・・・。

ただ「いい人」に終わらず、もっと深い人生哲学を地で実践しながら、一般の人々よりも高い視点で生きている人が・・・。

最近では、「男の中の男」のことを『漢』と表現するみたいだけど、『漢』という言葉のニュアンスとは違うような気がします。

そう、戦うのではなく、闘うのでもなく、強いとか弱いとか、そういう価値観も突き抜けて、ただひたすら「愛」・・・。


「受容する」の「愛」。

「許す」の「愛」。


そんな深い愛を体現している人が、この兄貴なのです。

ただ「お金が欲しい」と思っている自分が、ひたすら恥ずかしくなるくらい、兄貴が思っていること・感じていること・実践していること・当たり前のようにやっていること等々、すべてがあまりに誠実で真摯で、芯が強くてしなやかで美しいのです。

そう、美しいんですよ。人に対する接し方が、お金を稼ぐ方法が、それらの所作が「美しい」と感じる。

オープンで明るく、しかもぶれない。

この「ぶれない」ところに心の芯があり、強さがあり、武士道精神に通じる潔さと美しさを感じるのです・・・。

そして、この兄貴という人物を生み出した日本という国って、実はとっても誇らしくて素晴らしい国なんじゃないか・・・と心から感じられるのです。

兄貴はこの人生でいろんなことを体験して苦労されたのだけど、それらも全部包み込んでしまう温かさ・絶対に敵を作らないという懐の深さ・それらが強く感じられて、「ああ、昔はこういう男の人が日本にはいたよね・・・」と懐かしくもあり、また、心地よさを感じるました。


兄貴が取り組んでいることは、自分の利益のためではなく、すべては「日本のため」であり、腹のくくり方や覚悟が全然違う・・・。

そこが、兄貴のすごいところです。

吉本ばななさんも兄貴の魅力に惹かれた一人で、兄貴の本を読んで感銘し、自分の素性を明かさずメルマガに登録して、質問コーナーで兄貴に答えてもうことで、そこから繋がったご縁だとか・・・。

(詳しくは本を読んでみてくださいね)

今の日本は、人々の意識がどこかに飛んじゃっているような感じで、自分と向き合うことを忘れている人、自分をどこかに置き忘れて前のめりになっている人、自分を置き去りにして周囲に合わせるのに必死な人・・・等。そんな風に、自分を見失い窮屈に生きている人が多いように感じます。

そのストレスで自分を責め、人を責め、自分の居場所を作るのに必死になってもがいている・・・。

でも、兄貴の哲学に触れることで、私たちが見失い忘れてしまったもの、大切なもの、それらを思い出すことができるんじゃないかな・・・と思いました。

自分の使命を果たすべく、実直に人生を生き抜くこと。

苦労を乗り越えたり、嫌なことでもしっかり向き合い対処することで、自分を成長させるということ。

地に足がしっかり着いた人生哲学。

人とのご縁を大切にしていくこと。

人として生きていくこと。

強くなること。

本物の愛。

許すこと。認めること。


そんな「人として生きる」ことの基本中の基本を、改めて気づかせ、学ばせてくれる・・・。とても素晴らしい本でした。

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