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【創作小説】見上げれば、碧いそら⑤

今までのお話は、こちらのマガジンに収められています⬇

私たち、球技大会バレーボールの2年6組2軍チームは、なんと、トーナメントの2回戦まで突破してしまった。

中学校で、バレー部に所属していた加藤さんが、コートのどこにボールが落ちても落ちても拾いまくるのだ。
レシーブにかけては隙がない。

大抵、そのまま相手のコートに返すのだが、加藤さんの守りがあまりに凄くて、ラリーしているうちに相手がボールを落としてしまい、こちらの点になるのだ。

粘り勝ちだった。

私たちは、なんとかかんとか2回戦に上がってしまった。

「すごい! 加藤さん、レシーブの名手だね! 」
「部活だったからね、こんなのお手のもんよ。それより相川さん、時々物凄いアタック打つね」
「そんなに褒められても……」

私、相川里帆は、褒められて少し調子に乗ってしまった。褒められて悪い気はしなかった。

チームのメンバーの顔を見ていると 皆 キラキラしている。彼女たちの拾ったボールも加藤さんが必ず相手コートに返してくれるから。

「オリンピック行けるよな、加藤……」

コート脇で、応援していた男子たちの中からも、思わず感嘆の声が漏れる。

次の朝。

また、練習をしに、私たちが割り当てられたコートに行く、……と。

またしても水浸しだった。

堪らなくなって、私たちは選抜チームがいつもたむろっている屋上近くの階段踊り場へ探しに行った。

「ちょっと、あんたたち!! 」

私が、空手の掛け声で鍛えた声を大きく響かせると、
(ぎょろ! )
と、選抜チームのメンバーが、こちらを見る。
「なに? 」
私は怯まず、
「いくら、気に食わないからって、私たちに嫌がらせはやめてくれない? 」
「何のこと? 」
「コートを水浸しにしたのは……」
「3組よ」
「は? 」
選抜の中のリーダー、律花(りつか)が長い髪をピンッと払ってスマホの動画を観せた。
「この前のも、私たちじゃないわ、言っとくけど。濡れ衣着せられたから調べてみた。昨夜から、張ってたのよ」
律花は、昨夜からコートを見張っていたという。カースト上位にしては、不良っぽい子だが、無断外泊まで許されるのか……。

そんなことは、さておき、動画の画面を観ると、
3組の女子が、5人くらい、私たちの今朝の練習コートに、ばしゃばしゃと水を撒いていた。

「どこかで、加藤の噂 聞いてたのかもね、あんたたちのチーム、マークされてたみたい」

私は、なんてことを……。
とんだ、勘違いだったのだ。
「ごめん。これ、ほんとの画像だね、間違いないわ。疑ってごめん……」
「いや、いいよ」
「ごめんね……」
「いいよ、けど……」
「けど……? 」
「こんな奴らに負けないで」



           つづく


©2023.12.1.山田えみこ

つづきは、こちら⬇︎

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