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ずっと間違いなく 今日もおいしい

3月に入ってから、祖母のお葬式やら出張が重なり、ずいぶんと久しぶりの投稿になってしまった。

久しぶりに明日は、腰を据えて仕事ができそうだ。

そのまえに、まず、「#今週のお題」のハマっている食べ物、について。

今週が終わってしまってはいけないので、力をふりしぼってPCを開ける。

そのくらい、伝えたい食べ物がある。

ハマっているという感覚には、一時的なものもあれば、ずっとずっと好きなものなど、いろいろなニュアンスがあるけれど、私がハマり続けている食べ物はこれだ。

まるたや」のチーズケーキ

かつて私の実家があった静岡県浜松市には、駅近くに「まるたや」という洋菓子屋兼喫茶店があった。

今は、駅のお土産エリアや百貨店の中に洋菓子屋の店舗だけがあるのだが、その昔、オムライスや紅茶、クリームソーダが抜群においしい喫茶店もあったのだ。

昔あった「まるたや」とは違うテイストのレストランが、現在も浜松市内にあるようだが、当時の「まるたや」は、古きよき喫茶店の趣をたたえた、実に気持ちのいい素敵な空間だった。

本当に何を食べてもおいしいお店だった。食事系も、デザートも。

小学校に入る前から学生時代まで、私は母と買い物をしたら、必ず「まるたや」で、紅茶とチーズケーキを食べた。

その母も、結婚前から祖母と二人で買い物帰りに立ち寄っていたと話していた。

私自身、受験が終わり、試験会場から自宅に帰るその足で、少しほっとしようとひとりで立ち寄ったくらい、好きな店だった。

すべてがおいしいメニューの中で、チーズケーキがいちばん好きだった。子ども心に、「ここのチーズケーキは世界でいちばん」と思っていた。

まず、ビジュアル。

真っ白でつやつやのチーズ部分は、まっすぐでひとつのへこみもなく、芸術的な仕上がりで、実に清廉。

そして、口に入れるとチーズの濃厚さに対して、レモンのような風味も感じられて、最終的になぜかさっぱりとしている。下地のクッキー部分はサクサクとしていて香ばしく、チーズとのからみの中でキレがよくなるため、いくらでも食べられる。

ケーキというものは、最初の一口は、たいていどんなものもある程度はおいしく感じられるけれど、最後のほうになってくると、多少、惰性的な味覚の斜陽感が否めない。

ところが、このチーズケーキは、違う。違うのだ。

最後の一口まで、同じテンションで、間違いなくずっとおいしい。

しかし、世の中にはおいしいものなど山ほどある。

大人になり、東京に住み、仕事の場において、高級だったり、珍しかったり。手土産スイーツの類は、いろいろなものを目にし、口にしてきた。

それなのに、私の中で、「まるたや」のチーズケーキは、いまだにチーズケーキ部門の一位をしっかりと陣取っている。

記憶の中で鮮やかに彩るおいしいものではなく、昔も今も、いつ食べても、間違いなくおいしいのだ。

ノスタルジーという味付けを差し引いても、ちゃんとリアルタイムにおいしい稀有な存在。

いまだに、浜松に立ち寄るときには、スタバのコーヒーと一緒に、必ずこのチーズケーキを一切れ買って、新幹線の中で食べる。

そして、「うん、間違いなく今日もおいしい」を、確信する。

子どもの頃、学生時代、現在まで。ぶれることなくハマっている食べ物。

私にとってのそれは、「まるたや」のチーズケーキ。



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