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【帰りの電車で展覧会寸評!】♯16 静嘉堂文庫美術館「饒舌館長ベスト展」

軽妙にして深長。饒舌館長がついに展覧会に!

 今回は、かなりレアリティの高い展覧会。静嘉堂文庫美術館で開催されている「饒舌館長ベスト展」です。
 静嘉堂文庫は、二子玉川にある文庫。美術館施設としても長く活動されていましたが、展示室機能は昨年「静嘉堂@丸の内」として、丸の内の明治生命館に移転しました。しかし今回の「饒舌館長ベスト展」は、現在使われていない二子玉川の展示室で開催される8日間限定の展覧会です。 
 饒舌館長とは、静嘉堂文庫文庫長・静嘉堂文庫美術館館長にして東京大学名誉教授の河野元昭先生のこと。多くの研究者から敬愛を集め、一般にもファンの多い方です。とにかくよく喋る先生で、「饒舌館長」を自称しておられ、「饒舌館長ブログ」も何年にもわたって毎日更新されています。ちなみに私も何度かお目にかかったことがありますが、先生が覚えておられるかは不明です。
 その「饒舌館長」の傘寿を記念して、8日間限定の展覧会が開催!

近世絵画の真髄

 河野先生は、近世絵画の大家です。この「饒舌館長ベスト展」では、河野先生チョイスの近世絵画が目白押し。静嘉堂文庫が誇る近世絵画の名品展となっております。英一蝶「朝暾曳馬図」、酒井抱一「波図屛風」、円山応挙「江口君図」、俵屋宗達「源氏物語関屋澪標図屛風」(国宝)、原在明「朝顔に双猫図」など、いずれも眼福です。ただし、入門的なわかりやすさやとっつきやすいコンセプトは設定されていませんので、近世絵画の最低限のたしなみは必要かもしれません。
 ただし、河野先生の軽妙なトークがあれば、グッとわかりやすく親しみやすいものになるでしょう。明日5/28(日)は最終日ですが、饒舌館長のギャラリートークが行われますので、ぜひ参加を。ただし、激混みの予感…?
 ちなみに、これら絵画に取り合わせられるのは「友情出演」と銘打たれた粋な焼き物の数々。こちらは、副館長である「萬美術屋」こと安村敏信先生のチョイス。業界きってのフィクサーが、今回の「ベスト展」のプロデューサーでもあるようです。

ブログだけでも

 「饒舌館長ベスト展」は立地的にも、会期的にも、コンセプト的にも「初めての美術鑑賞」には向かないかもしれません。しかし、「饒舌館長ブログ」は敷居が低く、河野先生の軽妙な文章が、日毎に更新されています。ぜひ、こちらのブログはご覧になってくださいね。漢文の「戯訳」など、たいへん参考になります。

 河野先生、傘寿おめでとうございます。

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