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ここにしかない星

「今日、ペルセウス座流星群の日なんだって」

庭でバーベキューの後片付けをしながら、母に言う。

「今日は見えそうだね」

見上げると、吸い込まれそうなほど真っ黒な空に、チカチカと星がゆらいでいる。

「ほんとうだ」

地元の夏の夜は涼しい。東京のような、息苦しい暑さはなく、ひんやりとしている。今では、ここに帰ってくるのは年に数回。そのたび、この庭から見上げる星空をどんどん好きになった。

流れ星を見るため、母と並んで、車のボンネットの上に仰向けに背を預ける。

「あ!流れた!」

「えっ、どこどこ?」

5分ほど空を見ていると、ひとつかふたつ、星が流れる。ふたりで話したり、黙ったりしながら、夢中になって流れ星を探した。

「なんでここから見る星が、いちばんきれいって思うんだろう」

「この辺、街灯もないからじゃない?」

「でも、星がきれいに見える場所なんてもっとあるはずなのに」

そう話しているうちに、答えはもうわかった気がした。



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