桜の花びらみたいに全部ふわぁーっとどこか飛んでいっちゃえばいいのにね...
春の訪れ。
春になると街中が様々な色で溢れかえる。寒くて薄暗い冬を超え、街が色鮮やかになり活気がつく。陽気な音楽が流れ、春の商品が次々に街中に並び、セントパトリックスデーやイースターという一大イベントも行われる。蕾を膨らませる桜の花やあと少しで咲きそうなチューリップ。まだ少し冷たいけど気持ちのいい爽やかな風。それと共に匂う土や花の香り。そんな欠片たちが私の五感を通じて無意識のうちに春を教えてくれる。
でも今年は少し違う。
知らない間に春が始まって、知らない間に春が終わりそうだ。長い冬を超え、冬眠から目を覚ましそびれた動物かのようにじっと室内に閉じこもる。家の近くの桜の木は見ないうちに綺麗な花を咲かせ、緑になりつつあった。
そんな中唯一私に春を教えてくれるのはときたま窓から流れ込む心地よい風と小鳥たちのさえずり。あのヴィヴァルディの四季「春」のように、小鳥たちが外に出ることのできない私たちに「春が来たよ」と教えてくれている。
こんな春もいいのかもしれない。そう思った。小鳥たちのさえずりと共にゆったり流れるクラシック音楽。パソコンに向かいながら、右手にはきな粉を混ぜたホットミルク。なんとも言えない贅沢な時間。いつもの春ならそれは何気ない日常の切れ端だったかもしれない。
春を教えてくれてありがとう。
🕊
みなさんにとって今年はどんな春ですか…?
emuko
私の文に出会ってくださりありがとうございます。 頂いたサポートは学生の内にクリエイティブなものに多く触れるために大切に使わせて頂きます。