見出し画像

[映画 ガタカ 感想 88/100点]君の夢が叶うのは誰かのお陰じゃないぜ


校3年生の春、私は自らの偏差値より30高い大学を志望した。

まず不可能だ。

親からは金の無駄と一蹴され、担任は授業中にさんざん皆の前で私をコケにし、塾の面談でも何度も志望校を落とすよう言われた。

この作品を見て当時の自分と主人公のビンセントを照らし合わせてしまった。 

これは持たざるもののサクセスストーリー。

似たような経験がある方ならきっと強く共感してしまうだろう。

特に気になった点を挙げていこうと思う。



余りにも多くを失ったビンセント

生を受けると同時に寿命と死因を知らされ、体の機能や視力も弱く、夢である宇宙飛行士の資格も失い、家族からの愛も充分に受けていなかった。

生まれながらにしてここまで不利な状況なのは…かなり同情してしまった。


ビンセントが周りに与えた影響



手段を選ばず、ひたむきに困難の壁を乗り越え進み続けるビンセントの姿勢は周りの人物にも影響を与えていく。

ビンセントに適正の遺伝子を提供している車イスのジェロームは、最後に

「体を提供した代わりに夢を貰った」

と印象的な台詞を残している。

ラストシーンでビンセントの検査を担当したガタカの社員は、ビンセントの正体に気づきながらも、応援し宇宙へいくことを許可した。

人の本気の姿勢はいずれ周りを巻き込み、大きな渦となって好循環をもたらすのだ。


現代を生きる我々、「IN-VALID」


例え、どんな道を辿ろうと、いつかこの「適性者」の仕組みは崩壊するのではないだろうか。

なぜなら、適正化した人類はまだ見ぬ海岸の向こう側へは渡れない。
いい意味で言えばvalid.悪い意味で言えばstagnation.
本当に進化していくのはまだ見ぬ海岸の向こう岸へ泳ぎ続ける者なのではないか。

この作品に即して言えば、我々は間違いなくIN-VALIDだろう。言い換えれば、我々には誰にでも未来を切り開く力が備わっているのだ。

生まれや育ち、先天的なもの、沢山の障壁はある。まして今は様々な事が複雑に絡み合う混沌の時代だ。誰もが想像し得ない程の障壁を背負ってこの世に生を受けた者もいる。

それでも、生まれたその瞬間から、海岸の向こうへ泳ぎ続ける力は万人に備わっているものなのだ。

その力を使うか、それとも欠点ばかりを見続けるか。全ては自分次第なのではないだろうか。

私は今日もまだ見ぬ向こう岸へ、戻ることなど考えず、全力で泳ぎ続けることを今ここに誓った。

あの時の志望校を卒業した今でも、私にとっての向こう岸はまだまだ先にあるのだから。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?