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社長のリーダーシップを弱めることで経営チームを育てる

経営チームを育てるプロセスでは、時には、社長が意図的に自らのリーダーシップを弱めることが必要になります。

なぜなら、経営チームを育成する上で、最初に取り組むべき最も重要な課題は、社長以外の経営陣に経営者マインドを持ってもらうことですが、これまでの社長の圧倒的なリーダーシップこそが、その機会を奪う要因になっている可能性が高いからです。

社長のリーダーシップが強ければ強いほど、他の経営陣は、社長からの指示待ちになってしまい、自ら経営について本気で考えようとはしなくなります。社長に対して、自分なりの提言をしても、「お前は何もわかっていない!」などと否定されてしまった経験があるので、余計なことは考えなくなります。それでは、いつまで経っても経営者マインドは育ちません。

創業以来、会社の成長の原動力となっていた社長の強いリーダーシップが、ある一定の規模に達した時からは、皮肉にも、会社の成長を止めてしまう足かせになってしまうのです。

ですから、さらなる会社の成長を目指すために、経営チーム作りに本格的に着手をしたならば、敢えて、社長自身のリーダーシップを弱めることで、経営チームのメンバーに経営者マインドや経営視点を持ってもらえる環境を作っていく必要があるのです。

リーダーシップを弱めるということは、具体的には、経営チームのメンバーに重要な意思決定の機会を与えることや、権限の一部を委譲するといったことを指しています。

しかし、そういったことを実際にやらせようとしても、それまで社長の指示に従うだけだったメンバーたちにとっては、どのような基準で判断をして良いのか見当がつきませんから、正しい判断などできません。ですから、どうしても、そんな様子を見た社長は、しびれを切らして口出しをしてしまうことになります。そうすると、結局、これまでと同じ構造になってしまいます。


ではどうすれば良いかと言うと、最も効果的な方法は、彼らに任せても構わないという領域を決め、その経営会議を社長抜きで開催させるということです。

社長が顔を出さなければ、自分たちで考え、意思決定していくしかありません。また、社長の顔色をうかがうこともなくなります。これが一番経営者マインドを早く育てる方法なのです。

実際に、メルカリの小泉社長は、ある時、2ヶ月もの育児休暇を取り、その間、一切会議には顔を出しませんでしたが、そのことによって、「意思決定の権限移譲がめちゃくちゃ進んだ」と述懐しています。

私たちも、経営チーム作りのサポートをさせていただく時には、経営チームの皆さんに、社長抜きの会議を定期開催していただくところからスタートします。社長抜きで、重要な経営課題について議論し、意思決定をして、実行をしていただきます。

最初は時間がかかりますが、この方法が、経営者マインドを持っていただくには、最も効果的なのです。

あなたも、そろそろ経営チームを育てるタイミングだと思っておられるなら、意図的に自らのリーダーシップを弱めることを考えられてはいかがでしょうか。
 
 
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