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袖振り合うも多生の縁

 注      タイトルの「多生の縁」を、

「多少の縁」と書くのは間違い。

「他生の縁」と書くのは、許されているようです。


🌸🌸🌸🌸🌸


  札幌も街中からは雪が消え始めましたが、残骸が凄まじい。車の排気ガスで白い雪が真っ黒になって、街のあちこちに残っています。今時期の札幌の景色ですね。


先日、2日間のスキマ時間で読み終わった本、原田ひ香さんの「三千円の使い方」。

非常に面白かったです。

解説の垣谷美雨さんが、あるある感満載と書かれていますが、
私達の周りに普通にあるお話でしょう。



6つのお話全てに共通しているのは、お金にまつわる話であること。
また、主な登場人物は都内に住む家族です。

1人暮らしの祖母、その息子夫婦、
そして、親から独立して暮らしている娘2人。

人生百年時代と云われていますが、老後の資金足りてますか?
コツコツ節約して貯めたはずの老後の資金がゼロに近くなったら?
女性は、結婚して子供を産み、必死で育て、もう大丈夫かなと思っていると、更年期障害に苦しみ、女性特有の癌の恐怖も。

また、男性側としても、結婚して真面目に働き、住宅ローン、車のローン、教育ローンに追われ、自分自身の楽しみなどなかったかもしれない。やっと自由の身になった時には、おじさんどころか、お爺さんになっている。

格差社会という言葉。
生まれつき持てる家の人間は、配当金、地代家賃など、不労所得がどんどん増えます。実際は増えていても、税金が凄まじいので、外部の人には理解出来ないお金がどんどん出てゆくのですが。ここは、この作品にはありませんでした。


若い愛人と古女房の間を行ったり来たりする男も登場しますが、たらんと全てが下垂した古女房より、全てに輝いている若い愛人のほうが一緒にいても幸せでしょうが、ここでも、お金です。さあ離婚となっても古女房だって、黙っていませんから。


とにかく面白い作品でした。


私としては、第四話の「費用対効果」が一番面白く、読みながらぷぷ、ぷぷと笑いながら読みました。

費用対効果と字面を見ると、ビジネスがらみかと思いますが、全く違い、このお話は安生という40歳の何も持たない男性が登場しまして、それがひどく面白いのです。

私の周りにも、少し年齢は下になりますが似たような思考の人間がおりますので、思い出してはぷぷと笑っておりました。

才がありながら、何ものにも縛られたくなく、定職も家庭も持たない。

このタイプの人、増えているようにも思います。




お金にまつわる作品です、節約の仕方、貯蓄の仕方、何から始めたら良いのか、、
正しく書かれていましたが、私が感じたのは、

やはり、

人間と人間の縁の在り方次第ではないかと感じました。

袖振り合うも多生の縁。

縁を吟味して、縁を生かして、縁を大切にして、


せいぜい生きても百年です。

自分は何を望み、何を守りたいのか、

そのあたりを自分自身がしっかり把握していたならば、

一般世間的にみると、貧乏であっても、
精神的なストレスなく暮らすとしたら、幸せかもしれませんし、


お金に困ったことなく、好き勝手に生きているようで、背中に大きな荷物を背負って、毎日、毎日闘っている人もいます。

人間は1人では生きられない。人と人の縁を大切にしたいと、改めて感じさせてくれた作品でした。



ホテル日航札幌のロビーの花。
ダイナミックに春ですね。

ホテルの35階レストランから札幌の街を。まだ空気がくすんでいます。寒々しいです。


縁あって、寄らせて頂いた書道展。
中学生、高校生で、ここまで書けるとは、素晴らしい!


3月末日まで数日、忙しい!!
口に出したくないですが、忙しい!