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マティス展@東京都美術館 Henri Matisse: The Path to Color

東京都美術館のマティス展、5月19日に見に行ったので、ちょっと時間たってしまったけれど、とりとめもなく感想など。
会期2023年4月27日(木)~8月20日(日)。他地域巡回はなし。
トップ画像は、ショップでうかうかと買ってしまった持ち帰り用バッグ。無地の普通のレジ袋なら断るのだが、前の人が買っているの見たら、欲しくなって自分も買ってしまった。50円。ヴァンス・ロザリオ礼拝堂のステンドグラスをモチーフにした透明窓つきの袋で可愛い。

買ったクリアファイル「赤の大きな室内」柄を入れているとこんな感じ。
リュックに入れて持ち歩くときしわが付きそうで気になった。しかし保管するにしても広げておくしかないのか。

マティス展、20年ぶりの大回顧展、ということになっているらしい。2004年の国立西洋美術館のマティス展ってどうだったっけな、と思ったら見に行っていた。この時も20年ぶりの回顧展だったらしい。

当時の日記:
国立西洋美術館、開館直後ではあるし、案の定そんなに混んでいない。日本で本格的なマティス展が開催されるのは二十数年ぶりらしい。確かに、こんなに沢山のマティスを一度に見るのは初めてだわ。嬉しい。「変奏(ヴァリエーション)」と「「過程(プロセス)」という2つの側面からマティスの作品を分析し、それに基づいて作品を並べている。時系列になっていない。マティスは、同じ時代の中で、どんどん画風を変えて、色々な描き方で絵を描いていたことがわかった。何年ごろだからこういう感じ、というのがあまりない(全体的なイメージはなんとなくあるんだけど)。今回出展されてない作品で、参考になる作品の写真パネルなどもあり、同じテーマでどのようなヴァリエーションがあったかを見せてくれたり、室内図の中に鏡があって、その中に描いているマティス本人がちらっと映っている絵がいくつも並べられていたり。似たコンセプトの彫刻を並べ、年を追うごとに対象の捉え方が大局的(?)になっていくのを見せてくれているのも面白かった(マティスのブロンズ像は初めて見たかも。主にポンピドーの収蔵品だったけど)また、「アンリ・マティス」という、本人を写した映画の一部を流し、その中で描かれている絵のヴァリエーションを脇に並べて展示したり。MoMAの「ダンス」が来ていないのは残念だけれど、一部を切り取って花をあしらった「ナスタチウムと『ダンス』」はあったよ。教科書なんかでよく見る「ルーマニアのブラウス」もよかったし、並べてあった「夢」という、やはりルーマニア風ブラウスを着た女の人が寝ている絵は、ちょっと「めくらやなぎと眠る女」を髣髴させるものが(勝手なイメージ)。春先に川村記念美術館に見に行きそびれた一連の「JAZZ」が見られたのも嬉しかったし、「ポリネシア、海」「ポリネシア、空」も好き。館内の冷房がききすぎでちょっと寒かったけれど(というか、今日はすいていたから、冷房がききすぎて感じたのかな)、心たのしい時間を過ごせた。図録はやめておいて、絵葉書だけちょっと買う。

2004年9月21日の日記

この時も、ポンピドーの収蔵品からの出展が多かったようだ。ニューヨークのMOMAはあんまり貸してくれないのかもしれない。
そして、全展示作品がマティスの作品だったので作者名のキャプションなし! 妙に小気味よい感じ。

さて、前から思っていたのだが、マティスって代表作のない画家だな、という印象。ピカソの「ゲルニカ」みたいな、誰でも知っている絵、というのがない。今回の展覧会も名作の揃った質の高い展示ではあったが、これを見た!、という強い印象が残りにくい感じだった(そして、20年後に、あれっ、2023年のマティス展って見たっけな?、とこのnoteを検索しているかもしれない)。
東京都美術館は引き続き事前予約制をとっているので、大きな混雑はなし。マスク着用は強要されず、わたしはマスクなしで鑑賞(一人で行ったので会話等もしないし)。
3フロアで彫刻を含め全155点なので、展示にゆとりがあり、超目玉がないので、どこかに密集する、という感じがなかった。イヤホンガイド解説のある絵の前は長く滞留する人が多くなりがちだが、今回の展覧会ではそんなに気にならなかった。
展示はおおむね時系列。
地下1階 1.フォーヴィズムに向かって 2.ラディカルな探求の時代 3.並行する探求ー彫刻と絵画
1階 4.人物と室内 5.広がりと実験 6.ニースからヴァンスへ
2階 7.切り紙干支最晩年の作品 8.ヴァンス、ロザリオ礼拝堂
このうち、1階全フロアが撮影OKになっていた。撮影可能エリア多すぎだった印象。撮れると思うとつい撮ってしまうし(そういうところに自分の弱さを感じる)、携帯構えていると絵を見る集中力はやはり落ちてしまうのだな。
彫刻作品が結構多く、その中でも彫刻というか巨大レリーフ、という感じの「背中」という作品4点、別に連作でなく、1909年と1913年と1916-1917年と1930年に制作されたもので、並べて見せようという意図はなかったと思うが、ほぼ同じモチーフを、違ったアプローチで彫り出していて(いや、ブロンズだから彫るってちょっと違うけど、彫刻っていうよねぇ)そのときマティスが何を思っていたかなんて全く見当もつかないが、他の立体的な彫刻作品よりは、わたしの中のマティスのイメージに近いような気がした。

マティスの金魚鉢を描きこんだ室内画が好きなのだが、今回は「金魚鉢のある室内」(1914年)1点しか来ていなくてちょっと残念(撮影可能エリアではなかったので写真はなし)。


緑色の食器戸棚と静物 1928年 ちょっとセザンヌっぽい
緑色の大理石のテーブルと静物 1941年
黄色と青の室内 1946年
赤の大きな室内 1948年
芸術・文学雑誌ヴェルヴ すごくおしゃれ
マグノリアのある静物 1941年

スマホに残った写真から好きなのを選んだら、結局静物画ばかりになってしまった。雑誌「VERVE」は、1988年に「20世紀ヨーロッパ美術の演出者 テリア―ドと巨匠たち」展という展覧会を見た時に、存在を知って、恰好良さにしびれたものだったが、数十年ぶりに見てもやはり素敵だった。これを手に取って見られれば幸せなのにね。レプリカとか出来ないものかしらん。

そして今回なんといっても素晴らしかったのは最後のセクション、ニース近郊のヴァンスにあるロザリオ大聖堂の紹介。国立新美術館だったら、大聖堂の再現展示とかしたかもね...。今回は写真と、展示品のデザイン画とかNHKエデュケーショナルが作った紹介映像だけだったが、それでも、かなり、マティスがオールラウンドに設計デザインに携わった様子がよくわかって、あー現地で見てみたい、という気持ちが募った。うかうかと、告解室の扉のデザインのてぬぐいとか買ってしまったよ。

ロザリオ大聖堂の映像見て洗われた気持ちは、隣接するミュージアムショップで世俗に戻る。会期が長いこともあってか、品数豊富。そして、デザインごとにセクションを細かく分けていて、例えばクリアファイルなども、イメージ毎に違うセクションに配置されていて、結局6,7種類はあったと思うのだが、ばらばらに置いてあって、一つずつ手に取って進んでいくと大量のクリアファイルを買ってしまうことになる構造になっていた。トートバッグやマグカップも似たような感じ。そして、商品の質はなかなかいい感じで、その分値段もかなり高い。これはかなり悩みの深いショッピングになるねーと思った(そして結局あまり買えなかった)。

マティス展を見た次の日に美容院に行ったのだが、美容院で「家庭画報」の6月号を読んでいたら、マティスの特集が出ていて、ヴァンスのロザリオ大聖堂の様子も紹介されていて、展覧会で見られなかった角度の写真も沢山見られて大満足。
更に、当初ロザリオ大聖堂での使用を想定してデザインされたが結果的に採用されなかったステンドグラスが、アンリ・マティス幼稚園の遊戯室に使用された、というのが紹介されていて、「ミツバチ」と名をつけかえられたステンドグラスが、ロザリオ大聖堂のステンドグラスとはまた全く違って素敵だったのである。
家庭画報のリンクを貼っておこう。

https://www.kateigaho.com/migaku/167605/3/

色々なことを考えていたら、なかなか書き出せなかったマティス展の感想だったが、やはり書いていたら次々と書きたいことが出てきて全然まとまらなかった。長文失礼しました。

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