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毎日読書メモ(33)『荒地の恋』(ねじめ正一)

単行本で読んで、その後文庫化もされたようだが、どちらも版元品切れの模様。面白かったんだけどな、残念。

朝日新聞校正部長として、家族で平穏に暮らしてきた北村太郎を恋愛の波が襲う。友人田村隆一の妻とのままならぬ関係で家を出て、経済的に困窮しつつ、それまで封印されてきた詩がとめどなく溢れるように。明子が田村を棄てきれず、田村の元に戻っても、北村は自宅に戻らず、また新たな恋を見つける。老境の性愛をまるで当事者のように、北村の死まで描く。書くことの業を、自らも詩人である作者がリアルに描き出している。あー、あの頃は現代詩があったね、とちょっと思い出したりもした。
(2016年2月)

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