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【楽韓論】不親切な日本メディアのはなし

日本人は、韓国のジャーナリズムがレトリックも含め韓国の市民に向かって報道している内容を日本語で読める状態にある
(聖心女子大学教授・鈴木弘貴)

というわけで、日本にいる人も、韓国に住んでいる日本出身の人も、韓国メディアが発信している記事や動画や広告まで、苦労せずに(文字通り)情報シャワーとして浴びることができる。ここで注意すべきはリテラシーの問題がある。韓国の「こと」が嫌いな人は、日本ネタの記事見出しだけをより好みして読むことで(しかもそれが韓国大手メディアの記事なので)、ほれ見たことか、また日本叩きだ、反日記事だ、と自信を深める。それが現地メディアの、かつ韓国語で上がっている無数の記事からピックアップされて丁寧に日本語訳をされて我が目に届いていることを(都合よく)忘れて溜飲を下げるのだ。

まあまあ、とはいえ、不親切な日本の大手メディアはといえば
・読売新聞⇒英語版のみ(Googleの機械翻訳タブ付)
・朝日新聞⇒英語、中国語版のみ
(2012年に朝日新聞コンテンツを韓国語で発信する「アサヒ・アジア・アン 
    テナ」サイトを開設したがいつのまにか閉鎖されている)
・毎日新聞⇒英語版のみ
・産経新聞⇒ごく一部の記事だけを英訳して抜き出した別サイトのみ

というわけで、サボってますなぁ。金にならないから?いえいえ情報発信、これだけグローバルやボーダーレスを自覚しながら、メディアはサボってるんです。その使命に蓋をして。

この環境差によってもたらされている日韓が互いに触れる「情報ギャップ」は、以下のフィルターを(好むと好まざるにかかわらず)作り出している。

日本人
(当然ながら)日本関連の記事を中心に日本語訳された現地メディアの記事に直接触れている。しかもかなりの量で。結果「韓国って、日本のことばかり書いてるよね?」という不思議な解釈が横行する。

韓国人
日本語読解のできる人(元留学生、駐在員、日本関連業務従事者)が直接日本メディアのサイトを訪れ、記事に触れて吸収、理解する。日本語や日本社会理解の素地があるため、より広く、深く、選別して読みこめている。

となると、日本人で、さらに韓国語の非学習者であれば、韓国発の「日本評」「日本話題」に受け身で触れているため、全世代共通で「ステレオタイプ」な韓国の「対日イメージ」が刷り込まれている。「韓国のことは」の正体。

一方の韓国人は約96万人の日本語学習者、対人口比においても韓国人50人に1人が日本語を習った、または勉強している状況にあって「日本旅行経験者」や「留学経験者」、さらには被植民地経験世代を含むとかなりの人たちが、多種多様な自分なりの「日本のこと」を知ろうとする知識と経験を持っている。

だから韓国の人は、日本人を「反韓」一色だとは思っていないし、日本で「嫌韓」を叫ぶ人たちも「職業活動家」であることを、よくよく理解している。(ただし安倍総理がアジア蔑視に基づく反韓派だというイメージは定着している。たとえそれが先入観であったとしても、それだけは政治にもメディアにも刷り込まれている)

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では、彼女はなぜ、
「ワタシ韓国ドラマ大好きなんですけど、韓国のことは大嫌いなんです」
と「好き嫌い」を反対の順番で言わなかったのか?⇒続く

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