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膨大な時間をかけて、事実じゃない話を作り上げている。

 カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』『忘れられた巨人』
2冊読んで度肝を抜かれた。

物語の面白さはもちろんだが、その背後に圧倒的な質量を感じた。
著者がかけた覚悟の重みを。

読後に、ネットで彼のインタビューとか読み漁ってたら 、NHKのアーカイブに講義の形で語る番組を見つけた。そこで語られた「膨大な時間をかけて、事実じゃない話を作り上げている」という一節に、何かちょっとわかった気がした。

彼は、伝えたいことを伝える以前に、その方法としての「小説」の効果を突き詰めていたんだ、と。フィクションの価値と強さを。

▼『わたしを離さないで』は臓器提供者として育てられた子供達の葛藤。『忘れられた巨人』は古代イングランドを舞台にドラゴンを倒す話。設定が超ド級のファンタジーで、フィクションをあまり読まなくなっていた俺には、読みはじめるまで気遅れしていたのも事実。しかし、普遍的な深層心理を露わにするコアの部分は、ファンタジーだからこそ際立つのかもしれない。

いやーすげーわ。久しぶりに小説熱が高まっている。

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