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豆腐メンタルが出産する場所を徹底的に考えてみた

私は人一倍、不安に弱い。妊娠がわかった時でまさに押しつぶされそうだった。ただ徹底的に不安要素と向き合った結果、不安どころか妊娠期間も楽しく過ごせ、さらに出産は大変幸せな思い出となった。カギは病院でなく助産院で産むことを選んだこと。


私が通った助産院はこちら あん助産院


なぜ助産院?と何度も尋ねられたので、選んでよかった点を書いてみる(7つあるので長いです)。個人的な試行錯誤のため、参考にならない部分もあるかもしれないが、助産院にはあまり知られていないメリットがたくさんある。ぜひ産む場所の選択肢の一つに入れてみると面白いかもしれない。※この文章は私個人の考えで書いています。

私は昔から精神的に強くない。学生時代はバスケット部だったが、勝負の場面のフリースローはいつも入らなかった。就職した今も、大事なプレゼン前は緊張で腹痛をもよおす。だからそのコンプレックスを埋めるように昔から事前準備には余念がない。

出産においても同じ。経験した先輩方がみな口を揃えて言う「痛い」「鼻からスイカ」という脅し文句に不安でいっぱいだった。だから人一倍検索した。けれどもネットで調べれば調べるほど、SNSを漁れば漁るほど、不安は増すばかり。妊娠出産育児にまつわるサイト、明らかにネガティブな言葉の分量が多いのだ。ただ調べるうちに心配事は些細なものから山ほどあるということ、その心配事からくるモヤモヤはなかなか解消できないものなのだと感じた。そして分娩の痛みよりも、妊娠中や産後の日頃の不満にまつわる事柄が多いことに気がついた。きっと心配性の自分ならなおさら鬱々としてしまう気がした。だから嫌なことをできるだけ避け、自分の苦手な怖いものに素直になって産む場所を調べ直した。分娩台に乗りたくないとか、女性スタッフだけがいいとか、健診は土日がいいなど個人的な理由もあるのだが、私の周りの友人などにもお勧めしたい助産院で出産するメリットが下記である。

助産院をおすすめするポイント7つ

①助産師の先生方がやさしい

助産院では、私に携わってくれた方々すべて(助産院の先生方、出産時に応援で来てくれた先生など)驚くほどやさしい。これで出産の怖さは随分減った。ここまで大切にしてもらえるのかとこちらが恐縮するほど。一概に言えないかもしれないが、妊婦一人ひとり、その家族それぞれに向き合ってもらえる印象。病院やクリニックよりも相応する患者数も少ないので、物理的に当ててもらえる時間も多いのかもしれない。
実はこれまで通院するクリニックは短時間で診察が終わる方がいいため、淡々と話してくれる医師を選んでいた。医療従事者の技量と患者への接遇は別物だと思っているためだ。ただ妊娠については不安が大きすぎて、ドライに対応されると凹むと考えた。まず第一条件は健診で怒られないこと。当初はなんと「産婦人科 怖くない」で検索していた(笑)。助産院でなくとも、自分と相性の合う施設を選ぶのは地味に大切なことだ。


②悩む必要がない

助産院は予約制で健診の際にゆったりと話せるので、「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うような些細なことでも気軽に質問できる。例えば、私のへそはなくなってしまうんでしょうか?お腹のなかは狭くないですか?入院のパジャマは前開きのものを買わないとダメですか?(…へそはへそのままだったし、子宮は狭くなく、パジャマはなんでも良かった)毎回いくつも質問したが、いつでもこころよく回答してくれた。わいてきた疑問についてだけでなく、出産に必要な身体作りにも教えてもらえる。その内容は身体の骨格や姿勢、筋肉やストレッチ、日頃の食事など多岐にわたる。そして不調があれば具体的に対処方法を指示してくれる。体重が増えた時だけ叱られるような怖い思いをすることはない。必要備品のおすすめも教わったので購入検討に時間もかからず、不要なものを買わずに済んだのもありがたかった。
予想以上に週数経過は早い。胎児の成長もそれに合わせてずっと気になるものだ。できるだけ妊娠前のように仕事をしたいし出掛けたいと思うけれど、身体は出産に向けて着実に変化しており、不調も出やすい。というのも、妊娠すると元々の身体の弱い部分が表面化しやすいそうだ。私の場合は血圧上昇と冷え症、むくみもあった。冒頭に書いたように、ネットで検索してもSNSで同じ境遇を探しても、心配事は完全には消えない。直接関係ない事柄へもリンクしてしまい、後々不必要に煽られただけだったと思う情報もある。人生の先輩のはずの母親も意外と当時のことを鮮明には覚えていない。だから、わからないことは、その都度専門家に相談するのが1番。せっかくのお腹の中の胎児との貴重な期間なので、身体的にも精神的にも健康に過ごすべきだ。
それに通っていた助産院では、健診を重ねて私の身体状況や日頃の様子、夫との関係性、職場環境もわかってもらった上で相談ができていた。学生時代はホットペッパーの新規割引を使い倒していたが、今は信頼する美容師さんに出会えたので安心しておまかせしている。全て言わなくてもわかってもらえる、この感覚と少し似ているかも。
ちなみに病院やクリニックでは妊婦健診での助産師面談は課金があったりするようだ。具体的に症状が出れば医師にも相談できるが、しょうもないことでは質問できないかもしれない(施設による)。否定するわけではなくて、自分以外に何人も他の妊婦さんが待っている場所なので、さすがにへそのことなど聞かない方がいいと思う(笑)。


③産後も通える

通院してから知ったことなのだが、助産院では産後ケアや授乳相談、育児相談ができる。私が最も気になったのは体重が戻るかどうか。またもや先生に尋ねても、戻るかどうかは自分次第でしかないが産後もなんでも教えてもらえる。大真面目な話、入院中に根気よく授乳の練習をしたり、沐浴やオムツの替え方、抱っこひもの付け方、今後起こりうる湿疹、過ごし方の注意事項などを教わっていたおかげで自宅に帰ってからも焦らなかったし、気になることは遠慮なく連絡させてもらった。それにわからなければまた聞こうと思えると、心に余裕ができる。というより、私たち家族にとっては癒しのパワースポットなのでこれからも通いたい(笑)。


④家族の希望に合わせたサポートが受けられる

私は仕事がとても好きなため、出産した後は育児休暇を取らずに職場復帰をと考えている(夫が育児休暇を取得)。このようなちょっと普通でない個人的なわがままにも親身に相談にのってくれ、しっかり休む期間と活動的に動くタイミングを調節したり、夫が育児の中心になることを踏まえて長期的に計画を立ててもらえた。安易に決めたことだったが、実際やってみるとやはり専門家のアドバイスがあると心強い。まだ復帰できていないが、困ったらその時にまた助けてもらえるはず。今なら産後1ヶ月でライブ復帰した浜崎あゆみの気持ちが少しだけ、少しだけわかる(笑)。このサポート体制は涙が出るほどありがたい。


⑤股を切らない

会陰切開とは会陰が裂けるのを予防したり、速やかに分娩を進める必要がある場合に事前に会陰を切ること。字面からして不安だったが、助産院では会陰切開をしない。私の場合は裂傷部分をクリップ(写真参照)のような器具で患部を挟んでもらっていた。

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出産当日と次の日までは痛みがあったため椅子には座れず正座していたが、その後はそれほど痛みはなく、4日目に外してもらった。人によるとは思うが、そもそも会陰に傷もつかず分娩できる人も多いのだとか。なので縫合もしない。


⑥乳首は切れない(今のところ)

当初から出産の痛みに加えて乳首の痛みにも怯えていた。ただ実際やってみると、乳首でなく乳輪を深くくわえさせることに注意すると痛くないし切れないとのこと。入院中に何度も指導してもらえる時間をとってもらえて助かった。ありがたいことに私の乳は元気で無事だ、痛みもない。このような授乳のコツについては言葉だけではなかなか説明しづらく、乳首の形や子供の吸い方によって直接指導してもらうのが良いと思う。
※私の場合は母乳育児に挑戦したかったため授乳指導を受けたが、病院と同じく状況に合わせてミルク育児にも対応してもらえると思う。


(番外編)病院でなければ怖いと言われるけれど…

産婆さんが医療でない非科学的な方法で出産させるイメージなどもあるようだが、助産院は医師がいなくとも医療機関だ。エコー検査や胎児の心音を聞くなどの医療機器は病院と同じく使用する。上記にも記載したが、会陰切開や縫合、陣痛促進剤などの医療介入はしない(医師が処置、処方するため)。ただ病院とも連携しているので、私も初期・中期・後期検査は提携する病院で受けて結果を共有してもらっていた。また医師の処置が必要な場合は病院へ紹介してもらえる。緊急の場合は搬送も行う。例えば助産院では妊娠37週から42週未満の分娩を扱うことになっているので、それ以外の期間の分娩は病院へ転院となる。そのほか多妊や合併症があるなど助産院では出産できない場合もある。
古いとか、危ないとか感じることはおろか、分娩時にトラブルがないように妊娠当初から管理してもらい無事に出産できた私からすると、むしろ医療介入なしでコントロールするなんて素人が見てもすごすぎると思う。まさにプロフェッショナルだ。


⑦安心できる環境での分娩

つらつらと書き連ねてきたが、結果、安心要素が詰まった空間だった。いつもの診察室で、いつもの先生と夫。そして応援の助産師の先生方も加わり、分娩が終わるまで何時間もずっとそばにいてくださった。呼吸をするだけで精一杯でほとんど喋らなかったが、こちらの意図を常に汲み取り、手を当てて身体をさすったり支えたり、声をかけてくださったり。なんで言わなくても要望がわかるのだろうと感心するばかり。きっと胎児と私のペースに合わせて進めてもらったのだとも思う。これほど大切にしてもらったことはないほど真摯に処置してもらい、余計なことを考えずにリラックスできたので、自分でも落ち着いて分娩できた。先生方の冷静な熱意も伝わって、当事者の私は痛みにひるんではいけない、やるしかないという気持ちになった。気がつけば無事に産まれており、あっという間の分娩だった。なんて贅沢で幸せなのかと、夫と話したのを覚えている。自分でも驚愕だが、またすぐにでも出産したいと思った。この達成感、感動は妊娠期間からの先生との準備の積み重ねにある。妊娠期間ずっと支えてもらったからこそ、不安を感じることなく分娩に集中することができたのだ。


最後に

出産で得た副産物もある。妊娠期間中に身体について教わった分、少し自分の身体の調子に詳しくなった。夫もつられて調子がいいらしい。冒頭に事前準備で検索しまくってきたと書いたが、完璧を求めるが故に精神的に根詰めてしまう癖も、先生と話していてわかったことである。ひとつ出産という大イベントを終えたが、新たな家族が増えてこれからが大変、これからがより一層楽しいと思う。ありがたいことに、いつでも帰ってきてと先生は言ってくださる。盤石なサポートに尊敬と感謝をもって、これからも日々を過ごしていきたい。
妊娠や出産にまつわる不安を解消するために助産院をおすすめしてきたが、院内助産のある病院や地域の保健センターにも助産師はいる。ぜひ妊娠や出産だけでなく育児を支えてもらうという安心感をぜひ味わってみてほしい。

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