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【102回】読書日記(190327)〜竹林へ行こう

○「森見登美彦リクエスト 美女と竹林アンソロジー」(光文社、2019年1月)

「これからは竹林の時代であるな!」

森見登美彦「美女と竹林」という作品がある。作者の竹林に対する愛がほとばしるねちっこい妄想エッセイ。
まさか、「美女と竹林」をもとに、森見登美彦を含め10名の作家が作品を提供するとは。しかも、僕の好きな作家「伊坂幸太郎」「阿川せんり」が出ているではないか。

さっそくめくる。一番手は「阿川せんり」である。「阿川せんり」は北海道の人間なので、まず親近感が強い。
阿川せんり「来たりて取れ」という作品。
ほら、舞台は札幌だ。

北海道に竹林はない。(p9)

ほら第一声から、やらかしてくれる。だから、好き。
森見登美彦もあとがきで書いている。

当企画にこめた野望を真っ向から否定するデンジャラスな台詞。(p329)

でも、無いものはない。
「北海道に竹林は無いのか!!」とTwitterで叫んでいたら、親切な方が、情報をくださった。
「松前」にあるらしい。

行ってみようかな…。


次は伊坂幸太郎「竹やぶバーニング」
七夕まつりで盛り上がる仙台にて、かぐや姫を探すという話。
美女を見つけるために、「美女ビジョン」という、「これはまたうまいこと言った!」という能力が持ち出される。
かぐや姫は見つかるのか、竹林は燃えるのか、美女ビジョンはどうなるのか、結果はいかに!?


竹林は怪しい。魅力がある。
僕は本州出身者だ。小さい頃から、竹林はそばにあった。
小学生時代、クラスメートとともに、男女数人で竹林に入ったことがある。たしか、社会科の宿題かなにか。調査のために放課後みんなで集まって活動していたのだ。しかし、なぜか、たけのこ探しになったことは忘れていない。必死にたけのこを探した。あれは何だったのか。竹林の罠か。

昼間の竹林。中に入れば、薄暗くなる。夜中の竹林なんて、もう闇。ただでさえ、竹取物語の呪いがあって、「竹、光っていたらどうする?」なんて思考にとりつかれるのに。もしも影から美女なんて出てきたら、跳んで逃げるだろう。夜に竹林は入ることができない。
竹林は魅力だが、行動を迷わすものがある。美女と同じかもしれない。
「目が惹きつけられる」
つまり、竹林と美女は同等。
いや、竹林のほうが上かな。会いに行きたいもの。美女はそばにいるし(妻)。

竹林の魅力にすっかりとりつかれた。
今度本州に行ったら、竹林を探します。そして眺めます。