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娘の寝顔を見て思い出したこと

ロザリア・ロンバルドという少女をご存知でしょうか?

約100年前、2歳になる直前に病気で亡くなり、嘆き悲しんだ父親の依頼によって生前の姿のままに保存された世界一美しい女の子のミイラの名前です。今もシチリア島のカタコンベ(キリスト教の地下納骨堂)のガラスケースの中に安置されています。

数年前テレビで彼女のことをやっていたのをたまたま観て、当時の私はその保存状態の素晴らしさと、得もいわれぬ不気味さと、娘の亡骸をそのまま保存しようと思った父親の執念深さにかなり衝撃を受けたのですが、ただなんとなくつけていたテレビでたまたま目にしたくらいのものだったので、その後長らく彼女のことは忘れていました。

でも、隣で寝ている娘の寝顔を見ていたら、突然彼女のことを思い出したのです。で、なんだか気になってさっき数年ぶりに彼女の名前をググってみたというわけ。

当時ロザリアの姿を美しいと思う反面、とても不気味に感じた記憶があったので少しドキドキしたものの、数年ぶりに彼女の姿を見て驚いた。

可愛い!!!

もう可愛い。すごく可愛い。可愛いすぎる。お人形さんみたい。不気味さよりも可愛さが先に立って、そういう感想を抱いた自分に驚いた次第。

この感想の変化の原因は明らかに、自分が最近親になったばかりだからだと思われる。

もし、私が2歳になる直前に娘を亡くしたとしたら…もう考えるだけで辛すぎて辛すぎてその辺をのたうち回りたくなるというか、もはやこの世の終わりのような気がします。今なら彼女の父親の気持ちがよく分かる。彼は娘の死がどうしても受け入れられなかったのだろうと思います。

しかし、父親ははじめのうちこそ頻繁にロザリアのもとを訪れていたものの、次第に足が遠のき、数年すると全く訪れなくなってしまったそうで、これも当時の私はいまいち理解ができなかったのですが、今なら彼の気持ちがよく分かります。

会う度に娘の死をじわじわ実感したというか、時間が経つごとに「もう生前のロザリアはいない」と受け入れが出来てしまったのだと思います。

でもなまじきれいな姿で目の前に残って「存在」してしまっているため「娘はもういない」と考えることもできず、見れば見るほど「いるけど、いない」状態の娘を見るのが辛くなってしまって、最後は会えなくなってしまったのだと思う。

親になって変わることが色々あるだろう、どんなことが変わるかなと出産前楽しみにしていた節があったのですが、まさか夜中に娘が寝ている姿を見て衝動的にロザリアを思い出すとは…

生と死は表裏一体、紙一重ということなのでしょうか。不思議です。

まあなんのオチもないのですが、夜中に感じたことをなんとなく書いた次第です。久しぶりに書いたな、そこそこ長い文章笑


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