見出し画像

相反する「ジェンダーニュートラルの波」と「性差医療の波」

性差による違いに着目した医療(性差医療)、ヘルスケア(性差ヘルスケア)、美容(性差美容)の研究が進み、フェムテックに代表されるように性差に主眼を置いたヘルスケアソリューションの上市が相次ぐ中、これに逆行しているようにも見える潮流が「ジェンダーニュートラル(※)」。

(※)ジェンダーニュートラルとは、英語のgender(性別)と、neutral(中立)を組み合わせた言葉で、社会的制度などから人々の性別を判断したり、性別による役割や物事を区別するべきではないという考え方。要は男女のいずれにも偏らないことを意味する。

「ジェンダーニュートラル」と「性差医療」。相反するトレンドが同時に盛り上がり始めていますが、ヘルスケア業界は、生活者の間に広まりつつあるジェンダーニュートラルの波をどう落とし込めばいいのか?

最近、ヘルスケア関連の企業各社様から、そういったご相談を頂くことが増えてきたので、当社編集部でリサーチ&分析を行いました(全3回の連載)。


詳細は、上記3つの記事をぜひご覧頂きたく思うのですが、結論を先に述べてしまうと「なんでもかんでも容易にジェンダーニュートラル化するのはNG。性差の概念を念頭に、自社商品との相性を見て決めるのが良し」です。

女性の方が長生きをする、女性の方がうつ病患者数が多い、女性は50代前後でアラフィフクラシスに陥りやすい、不定愁訴の有訴者率が男女間で異なる、高齢期になると女性の方が障害を抱える割合が高くなるなど、女性は女性特有の健康問題があるので、基本的にヘルスケア業界では性差の概念は念頭に入れるべきです。

ですが商品の特性や自社のITリソースによっては性差への着目が不要な場合もあるので、自社商品との相性、事業戦略、リソース、ターゲットの一般ニーズ・ヘルスケアニーズ、対象とする疾患・不調次第で、ジェンダーニュートラルの導入を決めるのが良いと言えます(詳細は上記3記事に掲載)。

ジェンダーニュートラルの思考が世界的に広がっているので、「うちの商品もニュートラル化すべきでは!?」とつい焦ってしまうと思うのですが、ヘルスケア・医療業界に関しては、基本は「性差」は重視すべき項目です。

2000年代に入ってようやく性差医療が始まり性差ヘルスケアの研究やビジネスが進み始めたところなのに、このトレンドにむやみに多くの企業が乗ってしまっては、結局再び「性差ヘルスケア」「性差医療」が広まる前の時代に戻ってしまいますからね(汗)。

トレンドの多くは一過性のものとして消えていきます(もちろん、残るものもあります)。だからこそ、常に客観的に冷静に、自社や自身が身を置く市場のトレンドや動向は冷静に見る必要はあるなーって思います。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?