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読書日記33 聞くこと

こんばんは。えりたです。
本日、読了したのはコチラです。

『聞く技術聞いてもらう技術』
■東畑開人
■ちくま新書
■860円+tax
■ISBN:9784480075093

東畑先生の本は幾つか読んでいて
今回もそのご縁で購入しました。

「聞く」は声が耳に入ってくることで
「聴く」は声に耳を傾けること――。
「聴く」のほうがむずかしそうに見えて
実は「聞く」のほうがむずかしい。
「聞く」の不全が社会を覆ういまこそ
「聞く」を再起動しなければならない。
そのためには、
それを支える
「聞いてもらう」との循環が必要だ。
小手先の技術から本質まで、
読んだそばからコミュニケーションが変わる、
革新的な一冊。
同書 表紙裏より引用

はじめに
「『聞く』と『聴く』の
どちらが難しいと思いますか」

筆者は問いかけます。

もちろん、私は
「傾聴」なんて言葉がありますし
「聴く」ほうが難しいと思いました。
筆者自身も最初はそうだったと語ります。

駄菓子菓子。

「聴く」よりも「聞く」のほうが難しい
筆者は結論付けるのです。
「心の奥底に触れるよりも
懸命に訴えられていることを
そのまま受けとるほうがずっと難しい」
と。

この部分を読んだとき
私、「うわぁっ!」ってなりました。

何と言うか、
理屈でない部分で
めちゃくちゃ分かりみが深くて。
そして、それを真っ直ぐに指摘する
やさしいスルドさがわりと深めに刺さって。
一気に、文章へ引き込まれたのです。

本書は、そこから
「どうしたら『聞く』ができるのか」
大きな問いとして立て、
それについて考えていきます。
そして、その問いに対して

「聞く」ためには「聞いてもらう」が必要。
「聞いてもらう」ためには「聞く」が必要。

めちゃくちゃシンプルな答えを
明確に提示します。
「聞く」というのは普通の営みであり、
「聞く」ことの本質は、
相手との関係性にある
だからこそ、
「聞く」「聞いてもらう」の循環が必要だと
筆者は述べるのです。

さらに、そこへ
社会の分断だったり、
個人の孤立だったりが重なり
今現在、私たちは
「聞く」ことも
「聞いてもらう」ことも
できなくなっているのだと。

それらを指標にすると
政治家たちの言葉だったり
SNSでの炎上とか揚げ足取りとか
そういった種類の言葉にも説明がつく。

そのスルドい指摘に私は深く納得しました。

・ ・ ・

本書を読み終えたとき
実は感想を
うまく言葉にできなかったのです。
(だから、実は読了の翌日に書いています)
言語化する前に
さまざまな温度を持つ安堵や
忘れかけていた会話の思い出が
もろもろとあふれてきて。
あるいは、
今の私自身のメンタルの原因を
説明する理屈が与えられた気がして
それもついでにあふれ出てしまって。
整理しきれない思いで
心がみっちみちになってしまって
それらを言葉にすることができなかったのです。

もちろん、それは
イヤなものでは全くなく。
東畑先生の本を読むといつも起きる
自分でも気づいていなかった
気持ちの荒れた部分を意識し
それが少しずつ凪になる
、というか。
カウンセリングを受けたら
きっとこんな風になるんだろうなっていう
心持ちになったのです。

・ ・ ・

話を「聞く」ことができないときは
自分の話を「聞いてもらう」ことが
足りてない。

この端的な指摘は
私にとって、とても大きな救いになりました。

人の話を受け止められないこと、
たまにあります。
そんなとき、自分を
キャパが小さいなぁとか
ダメだなぁとか思ってしまうのです。
でも、そんなふうに卑下する必要は
まったくなかった。
そうではなくて、
人の話が聞けないときは
自分の話を聞いてもらうことが
足りてないサインだ
と。
そう思うだけで
少しほっとできるなと…
すごく救われた気持ちになったのです。

・ ・ ・

聞きたいときには聞いてもらう。
聞いてもらいたい時には、聞く。
ミクロにもマクロにも
まずはここを出発点にすれば
孤独や絶望に押しつぶされずにいられる。
そんなふうに、
対処とか理由とかが分かると
気持ちがラクになるきっかけになるんですよね。

『聞く技術 聞いてもらう技術』との
タイトルですが、
本書は自分の主張を押し通したり
何かを売り込むための方法を
述べるものではありません。
そうではなくて
身の回りにある、
当たり前の営みとしての
コミュニケーションを
もう少しラクに行えるようになるための方法

大きな視点も交えながら
そっと教えてくれる本なのです。

人と関わることに
少し疲れを覚えてしまったとき
話を聞きたいのに、聞けないとき
気軽に読んでみてください。
読み終えたときには
きっと深呼吸して
肩の力が抜けていると思います。

#読書の秋2022

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