ダミーの優しさ
「気にならない限りは良いよ」
「君に会って僕の人生は変わった」
最近、こういった言葉が最近溢れているように思う。
これらって、ちらっと聞くとすごい耳触りがいいんだけれど、一度立ち止まってよく考えるとちっともいいこと言ってない。
どっちかっていうと「そりゃそうだわ!」ってなる。「アフリカでは1日に24時間経っています」と同じ類。
例えば冒頭に挙げた「気にならない限りはいいよ」。
「いい」というのはほぼ「気にならない」ということを指しているのであって、
つまり「気にならない限りは気にならないよ」と言っているのと同じことである。
うるさいな!当たり前のことをさも譲ってあげているかのように言うんじゃない!と思ってしまう人は少なくないんじゃないか。
逆にこれを言ってしまっていないか、我が身を振り返りたいものである。
「君に出会って僕の人生は変わった」もそう。
普通、誰かとの出会いは人生においてなんらかの影響を与える。
電車の隣の席の人がかっこよくて朝から気分が上がった、嫌いな人が数学の先生になって数学が少し嫌いになった、ネギを持っているおばさんを見て買い物に行かなきゃいけないことを思い出した、席替えで前後になった子とすごく仲良くなったわけじゃないけど可愛い消しゴムの売り場を教えてもらった、などなど…
誰にだって、「あなたとの出会いで人生が変わった」と言えるのである。
愛を伝えたいならせめて、「君との出会いに僕はすごく感謝しているんだ」と、人生の変化に対する思いまで言って欲しいと思ってしまう私はロマンチストなのだろうか?
言葉狩りをしたいわけではない。寧ろ「この言葉ってこういう側面もあるよね」って言いたかっただけなんだけど上手く伝わっているだろうか…?
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