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日系大企業(JTC)だからこそ学べること

よくネットでは日本の大企業がJTC (Japanese Traditional Company)と揶揄されていますが、必ずしもJTCが悪いところばかりではないなと思います。

ということで、実際にJTCに勤める自分自身の経験から、馬鹿にされるJTCから学ぶ点を紹介したいと思います。これから社会人になる就活生なんかの参考にでもなれば嬉しいですね。

まず私の感覚として本当に“できる”人はどこであっても、何をやってもそれなりにできます。私は決して“できる”人ではありませんが、少しでも“できる”人に近づくためにブルシットジョブ(くだらない仕事)でもそれなりにこなせるようになりたいと思っています。

そんなことを思うと、環境に対して愚痴を言い続けるのではなく、そこから学べることを積極的に学んだ方がいいなと感じたわけです。ということで、JTCならではの学べる点を書いていきます。

根回し・社内政治

JTCにおいて根回しは超大事なポイントです。おそらく、これはJTCだけでなく、あらゆるビジネスの世界や政治の世界などでも重要とされる能力ではないでしょうか?

誰が偉くて、誰の決定権で物事が進んでいくのか? どこの誰が反対しそうなのか?そういった情報を裏で集めながら、1つずつ不安要素をつぶして自分の思うように仕事を進める能力は非常に重要です。

JTCでは、どんなに優秀な人間でも根回しが一切できないとなると、仕事は全く進まないでしょう。むしろ、根回しがうまい人は多少仕事ができなくてもそれをカバーできてしまう可能性があります。つまり、このスキルを持っているか持っていないかは“できる”人かどうかを分ける1つの指標となるでしょう。

日本の会社では大学働くポスドクを社会人未経験と考えるところもあるようです。ポスドクは立派な社会人だと思いますし、むしろ一般的な同世代よりも優秀なんですが、日本企業が求める根回しや社内政治というのは未経験だと思います。

そもそもポスドクの仕事は研究して業績を作ることであり、大学の事務や先生などを根回ししてうまく組織を運営することではありません。

しかしながら、この根回し力というのは、社会においてとても重要な能力と言えます。

正直、JTCには無駄な根回しも必要なことがあります。ただ、どのような環境であっても上手に乗りこなして、社内政治を実行していくビジネスマンというのは存在します。

私の上司がまさにその典型ですが、そのような能力がある人は国内外どの事業所でもうまくやることができるんです。おそらく、ネゴシエーション・コミュニケーションといった根回しスキルは感覚的なところだけでなく、たいていは理詰めで習得可能だと考えています。私自身とても苦手ですが、日々見よう見まねでこのスキルを習得しようと努力しています。

強者の戦略

どんなに馬鹿にされてもJTCは人が多くてお金も持っています。つまり、規模の力を行使することができます。

普通のスタートアップや中小企業では真似できないぐらいのお金と人を使ったパワープレイが可能なのがJTCの強みです。(残念ながら無駄な仕事も多いのですが…)

ランチェスター戦略では弱きものは局地戦に持ち込み、局所的に勝て、と言われますが、JTCにいると強きものの戦い方を間近で見ることができます。特に私が携わっているプロジェクトが火の車なので、事業部の上層部のオペレーションの会議に参加することがありますが、やはりどのような戦略で課題を解決するかという点においては強者の戦い方をしています。

要は、どこでお金を使い、どこで人を投入するのかといった事業戦略に近いところです。私は話を聞いているだけですが、人数が数名しかいないスタートアップでは絶対に不可能な議論が展開されています。人数も額も桁違いです…

スタートアップだといろいろなことを学べるといいますが、JTCでもよ~く観察していれば事業戦略など学べることは多いと思います。もしかすると私が携わってきたプロジェクトがいつも問題に巻き込まれるから、たまたま目にする機会が多いのかもしれませんが…

研修

JTCは研修がしっかりしていることをアピールします。
正直、くだらない研修もたくさんあって時間の無駄に感じることも多いですが、中には意味のある研修も時々あります。それは配属ガチャではずれを引いた人たちを救済する手立てだといえるのかもしれません。

当然、研修の充実度は会社にも依るとは思いますが、小さい会社ではなかなか研修をやる余裕が無かったりします。そのように考えると、十分に研修をするだけの余裕があるJTCというのはある意味で恵まれているのかもしれません。

個人的には、研修よりも有志で集まる勉強会の方が充実度は高いと思うんですが、まあそれも含めて恵まれた環境といえるのかもしれませんね。

もちろん無駄だと感じる研修の際には、何がダメなのか分析してみると、新しく見えてくるものもあるのではないでしょうか。それこそ人事の社内政治的なところが垣間見えてくるのかもしれません。

最後に

ちなみにJTCの悪いところを上げたらキリがありません。無駄な会議が多い、無駄な仕事が多い、指示系統が遠い、文化が古い、変化が遅い…と無限に出てきます。

ただ、愚痴だけを言っていても何も始まりません。良いところからは学び、悪いところは反面教師としつつも改善していく、そうやって少しずつ変えていくしかないと感じます。

今の時代、副業や転職も多いので、どのようなキャリアを築いていくかはその人次第ですからね。とはいえ、嫌だからといって半年ごとに会社を変えるなんてできないじゃないですか。そうやって考えると、置かれた環境で全力で成長していくのも1つ大事なことなのかなと思います。

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