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仕組み化がビジネスにとって重要な理由

上記は、識学で有名な安藤広大さんの著書です。ビジネスは仕組み化がすべてであると、本書では主張しています。この仕組み化、私自身も常々感じていますが、すごい大事です。どれだけ大事かといえば、仕組み化こそがビジネスである、と思うほど。


仕事は属人化するな、させるな

「あなたがいないと困る」
この言葉は、麻薬だ。

『とにかく仕組み化』

本書の一番最初に、この言葉が書かれているくらい属人化を否定しています。
私自身も、仕事において「自分らしさ」はいらないと考えています。なぜなら、仕事は組織・チームで行うものであり、たった一人でしているわけではないからです。誰とも関係せずに、たった一人で完結するなら「自分らしさ」があってもいいでしょう。しかし、実際にはどんな仕事であってもチームや組織、ステークホルダーがいます。他人と関わらずに仕事なんてできません。

既得権益を放置する組織はダメになる

属人化を発生してはいけない理由は、「既得権益」が生まれるからです。属人化とは「Aさんしかできない仕事」ということ。一ビジネスパーソンからみると、「自分にしかできない仕事」で羨ましいと思うかもしれません。しかし、個人・組織それぞれに問題を生じさせます。

個人では、その人しかできない仕事なので、その人に仕事が集中します。自分は頼られていると気持ちよくなるかもしれませんが、仕事が集中し、労働時間が増加します。あきらかにワークライフバランスは悪化します。頼られる快感と同時に、自分の首を締めているわけです。

快感が上回っている段階はよいですが、快感より披露が上回ったとき、人は不満を爆発させます。自分が引き起こした結果にも関わらず、です。そして、退職するという誰も得をしない状況になります。

同じように組織にもデメリットしかありません。Aさんがいなければ仕事が回らない状態になること、仕事の中身が見えなくなることです。

前者ではAさんがボトルネックとなり、組織・チームの動きが悪くなります。また状況によってはAさんがお局状態になり、組織に悪影響を与えることも。

それに加え、後者の仕事の中身・状況が見えなくなると、人は不正を始めます。属人化されているため、マネジメントができないからです。属人化によって不正が行われ、ニュースになった事例は枚挙に暇がありません。はっきりいえば、マネジメントの問題です。マネジメント層が属人化を許した結果なので、マネジメントの責任と言えるでしょう。

個人が優秀=組織も優秀ではない

中には、「うちは優秀なメンバーが揃っているから大丈夫」と思う経営層・マネジメント層がいるかもしれません。しかし、2つの意味で間違っています。

1つは「それって個人が優秀なだけであって、マネジメントは無能だ」ということ。チームが優秀な個人商店として働いているだけで、マネジメントは何もしていないからです。はたして、そんな組織・チームは会社と言えるのでしょうか。

もう1つは、優秀なメンバーが辞めたら機能しない、という問題です。あくまで個人が優秀なだけであり、組織的なノウハウや仕組み化がなされていません。そのため、優秀なメンバーが数人抜けたら、その組織は瓦解します。

求人の取材でも「うちは技術力があるから」と発言するSES会社の社長がいます。しかし、詳しく聞くと技術力を持っているエンジニアがいるだけで、ノウハウ共有も仕組み化もされていませんでした。優秀なエンジニアが辞めたら、どうするのだろうと考えるのですが、社長は気づいていないようです。

歯車になる=チームを最大化させること

以上のように、属人化は個人・組織にデメリットしかありません。本書で「歯車になれ」と主張していますが、チームで働くからこそ、一人ひとりが自分の役割を徹底することが必要だとしています。歯車になる=何も考えずに社畜として従属せよ、とは言っていません。

ビジネスパーソンにとって、「役割をまっとうする」こそが最大の武器だと述べています。一方で、仕組みは常にアップデートする必要があるとも語っています。状況が変化しているのに仕組みが変わらないのは形骸化であり、仕組み化の意味をなしません。

すべての責任は経営・マネジメント層にある

では、誰が仕組み化をアップデートするのか。それはマネジメント層です。「責任」ある立場が、自身の責任をもって仕組みを改善し続ける。そして、例外を認めない。ストイックな徹底さが、マネジメント層には求められます。

本書でも「責めるべきはルールであり、個人ではない」という旨の話が登場します。問題が起きるのは仕組み化に原因があって、個人の問題ではないということです。

仕組み化・ルール化の基準も「できない人」に合わせよ、と本書では語っています。俗な言い方を入れば「全員野球をしよう」ということです。メンバーがチームとしての能力を最大限に発揮できるために、仕組み化が必要なのです。

仕事に求められているのは、ずば抜けた能力やスキルではありません。仕組み化された組織の中で、「役割」をまっとうすることです。求められたことをやりきれば成果が上がる、そのための仕組みづくりです。

ビジネスこそプロになろう

ビジネスの世界では、なぜか「自分らしさ」「自己実現」という言葉がよく出てきます。いつも私は、それらの言葉に違和感を覚えていました。仕事は価値提供し、対価をいただくことであり、自分らしさはビジネスの基本ができた上での話です。

プロ野球のトップ選手が「自分らしい野球」を追い求めても違和感がないですが、甲子園に出場できないレベルの野球部で「自分らしい野球」といっても「その前に練習しろ」と言われるのがオチです。やるべき順序が異なります。プロとして活躍したいのであれば、まず基本を徹底すべきです。

スポーツ・芸術の世界では当たり前の話が、なぜかビジネスだとまかり通るのは、いつも不思議でした。

終わりに。
同書を解説したYou Tubeがあるので、興味がある方はぜひ視聴してみてください。私とは違った視点ですが、十分に面白い内容です。


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