左右盲（さゆうもう）をご存知でしょうか。
とっさに左右が分からなくなることをそう言うそうです。
私の友人に左右盲の人間がいます。
彼はメイドさんが好きな男性で、四年の大学卒で大きめの企業に勤めていて先日会ったら役職がついてるほど優秀な人間です。
そんなタイツを履いてるメイドさんが好きな彼なのですが、ふっと言われると左右がわからなくなるそうです。
病気なのかそういう症候群なのかわからないのですが、そういうものがあるそうです。
先日、タイツを履いたメイドさんのお尻に踏まれたい願望がある彼と飲んだ時のことです。

ぼく「まだ左右盲あるの？」
かれ「昔よりは酷くないけど、とっさに来るとヤバいな」
ぼく「ほへー」
かれ「そういやお前もあるじゃん」
ぼく「ぼくは無いよ」
かれ「エスカレーターとエレベーターのやつ」
ぼく「あったわ」

これは久しぶりに会う彼に指摘されるくらい、地元では有名な話なんです。
「盲」なんてちょっとセンシティブな言葉を使っている以上決してふざけているわけではないことを先に伝えておきます。
私は何度口で発言してもエレベーターとエスカレーターを言い間違える、「エスカレーターエレベーター盲」なのです。
上記の一行を書こうとした時も今も一瞬わからなくなりました。
階段のほうがエスカレーターですよね。Google先生に聞いたので間違いないです。

本当に、これ本当にわからなくなるんです。一切ふざけていないです。
昔、友達とダイエーに行った時の事です（時代を感じる例文の始まり）
四階にはゲームセンターがあり、私達の遊び場となっていました。
四階へ一番早く着く方法はエレベーターなのですが、その日はたまたま混んでいたのでエレベーター前には何人かの人だかりが出来ていました。それを見て友人は「エスカレーターで行こう」と言いました。
私は「おっけー」と気持ちの良い返事をしてエレベーターの列に並んだというのは地元で必ず語られるエピソードです。

なんというか、左右盲の友人とエスカレーターエレベーター盲の自分が一致していないことに驚いたんですよね（急なひろゆき構文）
左右盲を「なんかそういうやつあるよな知らんけど」的なかなり他人事のように思っていたんですが、実は私も似たような症状に悩まされていました。
その日の飲み会はそういう「盲」について語り合うなんか妙なものになっていったのでした。
「パンツの前後ろ盲」と言ったやつがいましたが、それはただのおっちょこちょいです。黙ってて下さい。

さて、そんなことを先日別の友人にコーヒーをごちそうになっている時に思い出しました。
なぜかというと、友人は「コーヒーをごちそうしてやる」と私を家に招いたのです。
彼の家に行ってみると、なんともまあ大きなコーヒーメーカーに出迎えられました。
デロンギというコーヒーに興味がない私でも聞いたことあるメーカーのもので、なんとお値段は十万円をゆうに超えるとのこと。
豆も近くの個人のコーヒーショップで揃えたというのでこれは期待できます。
ガシャガシャコポコポという音を立てていざ完成。
ミルクはつけずにブラックでいただきました。

友人「どう？　うまいでしょ」
ぼく「わからん！」

忘れていました、私のもう一つの盲。
「コーヒーの味盲」です。
私の舌はどちらかというと優秀な方だと自負しております。
前の会社で開催された利きワイン大会で一位タイになったことがありますし、居酒屋で日本酒を頼んで「これ本当に獺祭？」と獺祭じゃないのを見破ったりしたこともあります（この時は店員さんの手違いでした）。

でもコーヒーの味はわかりません。
友人には「コンビニのよりは美味しいでしょ」と言われたのですが「昨今のコンビニコーヒーは普通に美味しいでわからない」と言ったら絶句されました。

かれ「で、でもマクドナルドよりは美味しいじゃん」
ぼく「マクドナルドとコンビニのコーヒーって味の違いあるの？」
かれ「豆返して」

彼はもう、僕にコーヒーを勧めることはなくなりました。
悲しい、悲しいお話です。

こんな感じで、あまりにも面白いエッセイを書く優秀すぎるイケメンのぼくにもこんなに「盲」があるのですから人にはいろんな盲があるんじゃないかなと思い書いてみました。
皆様も「なんかこれだけはわからない」というものがあれば教えていただければと思います。
以上、エスカレーターエレベーター盲でコーヒーの味盲の私からお送りしました。

おまけ
そういえばバナナマンの設楽さんがカタカナが苦手って言っていたのを思い出しました。
台本の「コーヒー」の部分が「コヒー」になってたり、
リュックサックがリクサックになってたり、
キャッチボールがキッチボールになってたり。
これはカタカナ書き盲と言えるのかな。
それでは。