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私的安眠法

❶概要

「安眠法」というタイトルですが、実は元々寝つきはかなり良い方でした。仕事や執筆が立て込んできて、頭を使う割合が多くなると、ちょっと就寝・起床が乱れることもあり、という程度。それがここ数年は、眠れなくなることはほとんど無くなりました。そこに至った幾つかのルールと習慣作りについてちょっと書いてみます。

1. 寝る前は気持ちをリラックスさせる
2. 就寝時間を本気で厳守する
3.  [メイン1] デバイス制限を工夫する
4. 就寝前は光を弱める→朝は光を浴びる
5.  [メイン2] ベッドで考えられるちょうどいい材料を用意する

本編に入る前に免責事項。上記の通り、私はそこそこ寝つきが良い方なので、以下の方法が誰もに役立つということは保証出来ません。ただの一つの成功例として読んでください。詳しく知りたい場合は、専門的な本を読んだり、お医者さんに相談しよう。知は力。

❷寝る前にゲームするな……なんて言わない!

「良い睡眠の方法」みたいな本を10冊ほど読んだと思いますが、ほとんどの執筆者が書いているのが「寝る/起きる時間を揃えろ」と「寝る前の一時間はPCやスマホに触るな」です。ですが、ここから私のオリジナルな考え方:

「寝る前にPCやスマホに触るな? でも寝る前にリラックスするためには、SNSやアニメやゲームが必要なんだよ!!」

いや、そう思いませんか?

寝る前にちょっとゲームするのって最高のリラックス方法だと感じるんですよ。あとなんとなーくTwitterとか日常アニメ見たりとか、頭が空っぽになることが大事。読書も良いんですが、考えすぎちゃわないような、ちょうど良い内容の本を常に切らさないのはちょっと面倒。あとSNSでの 承認欲求 社会的活動も心を暖めてくれる。ただ、こうした活動が就寝前には推奨されないきっちりとした理由があるわけです。それはもちろん:

止められなくなること

ここにジレンマがあります。リラックスして就寝に備えるには、楽しくてゆるいコンテンツが必要。でも止められなくて眠れなくなる。
そこで私のソリューション:寝る直前までゲームとかネットをやる→決まった時間になったらピタッと止めて就寝。それが出来れば苦労はしない、という感じですが、私はあれこれ工夫することでこれを習慣化し、それが安眠を手に入れた大きな理由だと感じています。では具体的な方法に入ろう。

❸デバイスの制限を本気でやる

メインコンテンツその1です。

『僕らはそれに抵抗できない』というデジタル依存を扱った本に詳しいのですが、近年のゲームやSNS、ドラマなどのコンテンツは、そもそも「簡単に止められない」よう設計されています。オンラインゲームはパーティなどソーシャル面、SNSはTwitter等のリアルタイム性、ソシャゲのスタミナシステム、映像コンテンツの「引き」などなど。

ただし、研究書『逃避型ネット依存の社会心理』によると、こうしたコンテンツ型のネット依存はまだ「区切り」がある分マシだそうで、真にヤバいのは、wikiやらまとめサイトやらネタ動画やら、特に知る必要も無い情報を延々とブラウジングしてしまうタイプ。

私のことです

既に書いたように、寝る前には、ストレス解消とリラックスのため遊びたい、だけど就寝時間になったらピタッとそれを停止したい。それが良いことは分かっていても、出来ないから苦労する。まずは認識から:

「止められないのは、あなたの意志力が弱いのでなく、行動学を研究したやつらが、途中で止められないようにサービスを設計しているから」

よって、こちらも認知脳科学とかの知識で対抗する必要があります。

脳の注意力に関して、システム1とシステム2とか有名な理論があるんですが、ざっくり言えば人間のモードは ❶衝動 ❷理性 の二つあり、衝動は早く理性は後から来る。ヒトは、「あらかじめ予定を設定する」(理性システム)は得意ですが、実際にその時になって「今ノッているところを止める」(衝動システム)は苦手です。「あと十分だけ!今キリが悪いから!」という合理化を常に発生させてしまうため。これをなるべく、具体的に止める必要がある。

●では、具体的方法へ

  1. 就寝時間にPCが自動的にシャットダウンされるようにする(タスクスケジューラ使用)

  2. 就寝時間後、スマホ他モバイルデバイスのネットを使えないようにする(ロックボックス・アプリロック使用)

各自、お使いのデバイスによって内容は変わってきますが、全体に共通するのは、「使わないぞ!」という意志力にたよるのではなく、可能な限り自動的・物理的な手段を探すこと。解除が難しかったり、面倒だったりするほど良い。「意志力で何かを我慢する」のは、「我慢」に思考リソースを奪われるため悪手です。(『スイッチ!』という本に詳しい)よって、物理的な方法で止めて「どうあがいても使えねー!」と完全に諦めモードになる必要がある。そこまで行くと、認知が変わって、むしろそれについて考えなくなる。出先で勉強や仕事が捗るのはこうした理屈も寄与してます。

  1. 就寝時間にPCが自動的にシャットダウンされるようにする

WindowsならOS組み込みのタスクスケジューラ機能か、常駐型フリーソフトを使えば可能です(方法は検索してみて下さい)。ともあれ「勝手に電源が落ちる」設定になっていることが大事。どうしても止めたいときに手を動かす必要があり、罪悪感がストッパーになってくれるためです。

例えば寝る前=PCが落ちる20分前に、ゲームなりアニメなりこれから30分かかるものを始めようとすると、まずここで「設定を止める」プロセスを挟む必要が出てくる。ここで衝動のシステムが理性のシステムに切り替わって、「やっぱりやめておこう」となる可能性が生まれる……みたいな印象です。理論的なものではないですが、実感として。シンプルですが、これが最も実効性高いです。

2.就寝時間後、スマホ・他デバイスを使えないようにする

PCを落としてとりあえず一息。しかしまだ他のデバイスが残ってますね。スマホ、タブレット、据え置き・携帯ゲーム機など誘惑は様々。そこでこれらのデバイス、特にSNS・ネット関連の機能を封印します。一つのソリューションは、以前も紹介した気がしますがこれ、キッチンセーフというタイマーロック付きのボックス。

結構お値段しますが、それもまた「壊すわけにはいかない」という抑止力になります。

この中に、スマホやタブレット、ゲーム機ならコントローラー、FF14ならワンタイムトークン等々、「つい手にしてしまう」ものを放り込み、ロック時間を設定します。時間は朝までにしても良いし「明日はやることあるからゲームを一日休みたい」とかなら、コントローラーを入れて丸一日ロック、とかも可能。私は二台持ってて使い分けてます。類似品もありますが、キッチンセーフは、設定した時間が来るまで絶対に開きません。セーフボタンとかリセット機能とかがあるものは×。上に書いた通り、「諦めモード」になる必要があるためです。

この方法もまた、衝動-理性に関わる人間のクセを利用してます。ヒトは「あらかじめ止める決意」は得意ですが、「その場で止める」は苦手。そこで、理性モードのときに、衝動モードが来てもどうしようもない、という状況を作り出すこと。

3.さらに上級者向けに:アプリロックなど

上記ボックスにはiPadは入らないのがネック。また、私はツイ廃的気質が強いので、なるべくスマホから遠ざかりたい。というわけで、アプリロック機能で不要なアプリを使えないように設定してあります。タブレット、スマホ共に、ブラウザやSNS、ゲームやYouTubeを使えないように設定。長いパスワードをかけ、自分でもわからないように工夫し、これをUSBメモリに入れてキッチンセーフに放り込んでロック。

この話をすると、友人に「そこまでやる!?」と引かれることもあるんですが、私はここまでやらないとダメでした。その手前に、様々な方法を試したのですが、段々慣れてくるとなあなあになってしまう。「意志力」を介在させるとそうなりがちで、上記の通りむしろ「我慢」に苦しんでパフォーマンスが下がってしまってました。繰り返しですが、「どうあがいても無理!」という仕組みに持っていくこと。すると、あら不思議、(私の場合はですが)途端に楽になりました。今では就寝時にベッドにスマホを持ち込むことは全くなくなりました。

ちょっと脱線:これらの方法はあくまで自発的に行うことに意味があるので、お子様やパートナー、家族や友人などへ外的に適用することはやるべきでないと考えます。他者に自分のやりたいことを禁止される、というのは非常に強いストレスになるし、された側は諦めるのではなく、「あなたの考えを変える」手段によって解決を図ろうとするためです。もしかすると、手段を問わずに。

❹就寝前は光を弱める+朝は光を浴びる

定番。これは実際どれくらい効いてるのかよく分からないのですが、始めた頃は寝つきがよくなった体感は結構ありました。まずLEDとか照度や色を調整出来る照明に代える。これは買うしかない。そして就寝前数時間は、なるべく暗く・ブルーライトの少ない(オレンジの色味)色温度高めの設定にする。同様にPCの画面も夜間モード(Windowsの場合)を設定する。

「朝は日光を浴びる」これも、睡眠関連の本なら全部に載ってる「体内時計をリセットする」内容です。5分位外を散歩するのが良い、とかありますが、単に窓の傍とか、明るい場所にいるだけでもそれなりに良い気はします。

❺ベッドで考えられるちょうどいい材料を用意する

メインコンテンツその2。

ベッドに入ったは良いが寝られない時の心理状況は、私の場合、 ❶「うおー寝られない、寝られない」と何も考えられない ❷最近あった悪いこと・落ち込み・不安なことがグルグル回る の2パターン

「ピンクの像」の逸話のように、人間は特定のトピックを「考えないようにする」ことが苦手。他の「考えること」を用意しておき、そっちで忙しくしよう、という方法論。私の場合は、寝る直前まで創作とかしてて、そっちの延長で考え事することもあるので、それを打ち消す・上書きする対処法でもあります。

ちょっと脱線:「ある考えが頭を離れてくれない」状況やトラウマに対してはテトリスみたいなゲームが効く、というマジな研究結果が書籍『スーパーベターになろう』などで紹介されています。リンクこちら。ただしテトリスがやめられない、という本末転倒にはご注意。

私の具体例は……書くのが死ぬほど恥ずかしいので、参考にした後で忘れてくれとありがたいのですが、「ある作品の登場人物を、別のシチュエーションに置いてみる」という妄想二次創作的な……言ってること分かります? 「ドラえもんのキャラがドラゴンボール世界に行ったら」みたいなイメージ。自分の大好きなキャラクターを、最近見た作品に当てはめて、デスゲームさせてみたり、ヘンな部活動させてみたり、無人島サバイバルさせてみたりします。ある程度の想像力は必要……とは思いますが、たぶん慣れます。

ポイント:❶あまり夢中になりすぎない題材:楽しすぎると寝られなくなるので、準備せずゆるくアドリブで妄想する。想像力の限界がむしろキャップになってくれる ❷そこそこ楽しく、想像の余地が丁度良い題材を選ぶこと。「羊が1匹…」とかはすぐ飽きます。人によるとは思いますが、創作料理とか、創作物のアイディア出し……みたいな具体的なやつはフレームが決まりすぎてて上手くいかない。いい加減に妄想できる良い塩梅が大事 ❸現実と全く関わらないものを選ぶ:上記のように、不安や嫌なことに結び付かないようにしたい。日常アニメとか異世界転生くらいの能天気さが良いと感じます。この意味でも、現実の人物を使うのでなく、創作の登場人物を利用するのが良い ❹なるべく準備が不要で長く続けられるものにする。つまり、こち亀とかサザエさんみたいにするということ。

実際に何が良いかは人によって全く違うと思うので、あとは良い題材に巡り合えるのを祈るのみ。何だろう。架空のVTuberに自分のやってるゲームやらせてみるとか、空想の街をちょっとずつ広げていくとか……とにかく、❶眠りの助けになって ❷嫌なことや何も考えられなくてつらい状態を上書きできる ものであればなんでもOK。

この話はあまり他人に理解してもらえた試しが無いのですが……私にとっては本当に欠かせない安眠テクニックです。ベッドに入るとき、昨日の妄想の続きを考えようと思うと、「なんかちょっと楽しくなる」のですが、これもポイントなのかもしれない。 特にベッドであれこれ考えることが多い人は試してみて下さい。

追記

それでもどうしても眠れず、越えられないように感じてしまうそんな夜には、私は『はてしない物語』という本を開きます。あなたにもそんな一冊、あるいは一曲や一作の映画が見つかりますように。それでは良い夢を。

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