アフリカのど真ん中とも言える位置にある国「チャド」。

特に有名な観光名所も思いつかなかいこの国に、自分は生涯行くことはないと思っていたのですが、突然、ビジネス系な仕事が舞い降りてきました。未知の土地に行くほど、楽しいことはありません！二つ返事で仕事を受け、一週間近く滞在することができました！で、今回は、その間に駆け足で食べたチャドの料理を紹介していきたいと思います。

まず、皆さん、チャドを知らない方が多いと思います。知っていても、何があるかまったく想像がつかない方がほとんどだと思うので、まずはそこから紹介させていただきます。

アフリカ旅行の老舗、道祖神さんのサイトを見ると、その魅力が伝わってきます。私は、仕事で行ってるだけなので、この雄大な自然とは無縁でした。しかし、首都のンジャメナだけでも食の探訪にはことかきませんでしたし、異文化を堪能することができました。

食べる料理は、北部と南部で結構違うらしいのですが、私が食べたのは、主に南部の食べ物になるかと思います。

首都のンジャメナは、日本人にとってしりとりで良く知られています。私が訪れた時、このように新しいビルなどが建ち始めようとしていました。現地の人が言うには、経済的に上昇傾向にあるのだそうです。治安の方も、マーケットの混雑はスリがいるかもしれないので注意してくれと言われた以外は、どこ歩いても大丈夫だよとのこと。ただ、バイクが無茶な運転するから気をつけてと、何度も念をおされました。

街中には、バイクが溢れています。写真は、バイクタクシー。お客を後ろに乗せて、移動してくれます。私は、そもそもバイク苦手なので、乗りませんでした。主なバイクは、このHaomeという中国のメーカー。ホンダもたまに見かけました。運転手さんは、明るくほがらかで特に無理矢理乗っていけとか、そういうのは全然ありませんでした。

街の中心には、こんな独立広場のような場所があります。

市場に行くとこんな感じで、様々な見たことのないスパイスや野菜などが販売していました。これは、ミレット（雑穀）市場という場所です。ここ以外に、大きなセントラルマーケットがありますが、それはラクダ肉のところで紹介しようと思います。

色々、この国について書きたいこともありますが、早く10皿を書きたいので、前置きはこのくらいにして、あとは、10皿の中に細々、チャドでの体験を書いて行きたいと思います。では、チャド🇹🇩の10皿です。例によって途中からは、課金となりますが、サポートと思って宜しくお願いいたします！

①フランスパン（Mapa）とエイシ（Esh）

こちらは、ンジャメナ市街の路上で販売しているフランスパンの店。こちらでは「マパ」というそうです。こうした「マパ」を販売している店が市街の至るところで見かけることができます。それくらい、チャドの人たちは、このフランスパンを消費しているのです。

これは、ンジャメナから離れた農園へ行く途中、街の郊外にあるフランスパン製造販売所に寄った時の写真です。なんと大きなゴミ袋2つに、ぎっしりとフランスパンを詰め込んでいました。農園に20人ほどのスタッフのために買ったのだとか。

中は、こんな感じでどんどん焼かれている様子でした。

で、どのように食べるかというと、このように切って山盛りにして、大皿に乗せます。

これをちぎったりしながら、スープの肉や卵焼き（右下の皿）をすくって食べるというのが、チャドの主食としてのフランスパンの食べ方のようです。日本のバゲットほど硬くはなく、ちょっとパサっとしてますが、中はそれなりにどっしりしていて、日本の食パンのような味わいに近いです。

チャドの方々は、ほとんどがバイリンガル。フランス語とチャド方言のアラビア語にあたる言葉を話します。そして、パンもフランスパンだけでなく、アラブのパン「ホブズ」も出てくる時があります。ただ、こちらはフランスパンより、やや特別感のある時に出てくるパンのようでした。これは、アラブ諸国で食べるものとほぼ同じ味わいです。

フランスとアラブの影響が強いチャドですが、アフリカの真ん中にあるこの国には、アフリカらしい主食もあります。いわゆる西アフリカ各国で食べられている「フフ」と呼ばれる餅状のものですが、この国では「エイシ」と言うそうです。材料は、メイズと言っていたのでトウモロコシになります。モチモチというより、ちょっとプルンプルンしています。

ちなみに、この「エイシ」に一番似ていると思ったのは、以前、私が書いたガーナの10皿の4皿目に出てくるトゥーザーフィです。これもトウモロコシ粉から作っているので納得です。味は、ほとんどないので、どんな料理ともぶつからず食べられます。

フフをナイフで切ったら、ネバっとしてて切れにくいですが、このエイシは、このようにナイフで切って皆に分けることができます。このソースの料理については、追って数皿目に書きます。

エイシは、もう一種類あって、こちらはミレットを使用しており、名称も「エイシ・ド・フォン」になるそうです。これは、農園で働く人達が食べていたものを撮影させてもらったもの。一口だけいただいた所、結構後味よく、旨味もそれなりにあり単体でも美味しくいける感じでした。フランス語の「フォン・ド・ヴォー」の「フォン」から来てるのでしょうか？

ちなみに、農夫たちがこの「エイシ・ド・フォン」と食べていたのは、こちらの料理。何の肉か聞いて見たものの、何食べてるか分からないと答えが返ってきました。（笑）いったい何の肉だったのでしょうか？（多分ワニ肉）

ほかに、エチオピアの発酵したクレープのような主食「インジェラ」に似た「キサラ」という食べ物があるそうなのですが、残念ながら、今回は、食べ損なってしまいました。次回行くことがあれば食べたいと思います。

②ピーナッツソース（Sauce aux arachides)

アフリカ諸国では、ピーナッツを使ったソースの料理がいくつもあります。代表的なの料理にセネガルの「マフェ」という料理。ピーナッツ味の甘みのあるソースで、どの国でもあまり外れのない美味しい味つけです。多少、コッテリしていますが。

セネガルでは、ご飯にかけて食べたりしますが、この国では肉類にかけてあるいは和えてあるのが普通のようです。レストランのメニューには、この名前で牛、鶏、魚などのピーナッツソースがけがありました。

面白いのは、このソースにモリンガの葉っぱを混ぜていることです。これによって、コッテリ目の味わいに爽やかな苦味が入って、ピーナッツソースにアクセントが効いて美味しくいただけます。

ちなみに、この店では、メインに添え物として、ご飯などをプラスできるのですが、この時はプランテインにしています。

別日に、同じレストランで鶏のピーナッツソース和えをいただきました。今度は、添え物にプランテインの代わりにモリンガを選んでみました。

なぜか、チキンの場合はピーナッツソースだけで、モリンガ入りではなかったので。やはりチキンだとコッテリ目に食べたいのかもしれないですね。

葉物野菜好きの私にとって、これは至福！ケールにとても似ている味で、苦味がやや少ないかあというのが、私の感想です。混ぜてあるものがかかっているよりも、食べながらピーナッツソースを混ぜて食べる方が、味変が出来て楽しいです。次回チャドに来たら、この組み合わせは、またやってみたいと思いました。

※後で調べたら、モリンガを大量に摂取するとお腹を壊すようなことをネットで発見。実は、この料理を最終日に食べていて、帰国後１週間お腹を壊しました。多分、モリンガが犯人ではないかと思います。詳しくはあとがきに書きます。

③モラ・シャルモット(Moulah Charmoute）

こちら、一見ただの辛いソースのようなものに見えますが、こちらがメインのおかず「モラ・シャルモット」という料理です。まずは、どんな場所で食べたかを紹介したいと思います。

こんな場所です。ここは、仕事先のオフィスの共有スペース兼食堂。この日は、私がここで仕事をするのを知っていたので、ランチにご馳走を準備してくれていたのです。

かなり期待感が高まる入れ物。エチオピア料理でも、こんな感じの蓋がありますね。

ジャーン！

もっと大皿一杯に、ご飯や肉などが山盛りになってくるかと思ったら、結構細々色々なものが皿の上に盛られていました。

左上の2つの塊は、1皿目で紹介したエイシになります。真ん中には、辛いソースがあります。これは、セネガルなどにあるハバネロを使ったかなり辛めのソースで、ここでは「シャタ」と言うそうです。右上には、素揚げした大きな魚にプライドポテトが添えられています。

そして、右下には、ライムとカレー粉っぽいものが味変するために添えられています。実は、このライムこそチャド料理に欠かせない一品です。

とにかく、チャドの料理には、必ずライムがついてきていました。また、街中の至るところで、ビニーム袋にライムをいっぱい詰めたものを売っている露店売りの姿を見ました。それくらいチャド料理には、かかせない調味料なのでしょう。どの料理もライムを入れて味変した方が、酸味が効いて爽やかになり、味に深みがでます。

さて、メインの「モラ・シャルモット」ですが、見た目はミートソースのようですが、まったく違う独特の食感です。まず、少し粘っこいです。西アフリカ諸国でよく食べられているオクラスープとまではいきませんが、その半分くらいの粘っこさです。乾燥のオクラを使っていると言っていました。肉っぽい味は、干した牛肉を煮込んだものだとか。その絡み具合が絶妙にまとまっています。全体的に、優しい味でライムを入れるとアクセントが効いて美味です。

チャドでは、牛肉が一番下等な肉だと聞いていたので、このように干して、形もなくさないと食べないようなものなのでしょうか？（でもビーフステーキもあった）とにかく、この国では、好んで食べない牛肉を、このように工夫して食べているのかなと思った一品でした。

④マラーラ（Marara）

こちらは、マラーラというモツ煮込みシチューです。西アフリカ料理の多くには、こうした牛や山羊などの内蔵系の料理がいくつもあります。普通の肉の部位も入っていたり、魚出汁が効いていたりします。しかし、このマラーラは、純粋に内蔵のみの澄んだシチューでした。

というのも、どうやらこの日は、羊を一頭分解体して色々な料理を作っていたようで、それぞれの羊肉の部位が、さまざまな料理になってました。リブの部分は、このように焼かれてスペアリブ状態に。他の肉の部分は、後で出てくるパスタに使われていました。

この料理は、農園でご馳走になった料理。こちらのお二人が、農園で働く人たち20数名分の料理を後ろの小屋でせっせと作っていました。

炭火で料理が作られ、雰囲気満点！

これは、多分調理中のマラーラかと思います。

何箇所かで色々な料理が作られており、こちらは、マカロニの羊肉入りです。（9皿目にそのマカロニの料理の写真載せてます）

私の分は、こんな感じで大きな皿にフランスパンや果物と一緒にマラーラが盛られていました。

他にローストチキンも！これは、家庭で作ったものを持ってきてくれたみたいです。

肝心の料理は、見た目とは裏腹に優しい味。羊の脂の味わいが楽しめ、あとは羊の出汁とほんのりとしたスパイスが効いている程度でした。でも、ホント美味しい！多分、屠殺したての羊でしょうから、モツが新鮮なのでしょう。臭みがまったく感じられず、シンプルながら感動した料理の一つです。

⑤チキンスープ(Soupe poulet)

朝食です。

シンプルな料理「チキンスープ」。いわゆるどの国でもありそうなチキンのシチューですが、かなりあっさり目な出汁の取り方をしています。また、チャドならではの特徴として、ディルとハバネロが入っていました。もしかしたら、他の調味料なども使われていたかもしれません。とても澄んだ良い味のスープでした。

この国では、このようなスープが好んで良く食べられているようで、レストランに行くと必ず、こうしたスープ料理がメインとして書かれていました。

やはり、大皿の上にスープ以外のパンやライムなどが並びます。一緒に食べるのは、もちろんフランスパン。

ライムと唐辛子は、こんな感じ。好みで味変です。ライムを入れると、かなり爽やかな味に変わってビックリしました。

もちろん、そのまま食べても充分美味しいです。写真を見ても、とても澄んだスープであることが分かります。いわゆる西欧料理にありそうな味で、日本でよく食べる料理としてポトフに近いかもです。ライムの味変が入ると、一つポトフより抜き出た味になります。

さらに、そこに赤いハバネロのアクセントがアフリカらしさを強調していました。ただ、ハバネロの中身を出して煮込んでいないので、本当にちょっとだけピリ辛が感じられるくらい。

どうするのか聞いたら、好みで潰して辛さを調整するのだとか。潰すと相当な辛さになるので、お勧めしません（泣

実は、この料理がチャドに訪れて2日目の朝食。初めて食べる現地仕様の料理でした。みんなで地べたに座って一緒に料理を囲んで食べる経験が、最高に楽しかったです。また、それ以上に、このフランスパンやライムの使い方が今まで経験したことのない食べ方で、未知の食文化に接する感動を体験出来たのでした。

⑥ラクダ肉料理

さらに感動したのが、こちらの店のこのお肉！

「この国で、一番人気の肉は？」と聞いたら、ラクダ肉だと二つ返事で返ってきました。日本で人気の牛肉は、何位か聞いたらなんと最下位。しかし、この店で食べた屠殺したてのラクダ肉を食べたら、確かに牛肉よりこっちを選ぶかもしれないです。

そんな美味しいラクダ肉を食べさせてくれるのが、こちらの店。

ンジャメナ空港の裏手くらいにあります。あまり観光名所のない街ですが、ここで観光するなら、必ず訪れたい店です。

TOPというのは、店名ではなくチャドのメジャーなソーダなどの飲料メーカーの名前です。グーグルマップで調べると店名は「Boucherie Camel」と書かれていて、肉屋さん扱いになっていますが、レストランがメインかと思われます。

店に入ると、広い掘建小屋のような感じになっており…

入った途端に、炭火の大きな焼き肉台が見られます。これ、写真見て気づいたのですが、右の入れ物の横にちょこんとあるのは、ラクダの頭でしょうか？

地べたに絨毯がひかれた伝統的な場所か、普通のテーブル席を選べます。絨毯の方が人気で満員！私たちは、テーブル席に。あと、この国のちょっと洒落たレストランは、このように地面に砂がひかれていて、外の空気が入ってくるような作りになっています。

店の奥には、手洗い所があります。基本、手食のためです。

座ったテーブル席からの眺め。もう最高のシチュエーションです！

これが、ラクダ肉2人前です。400gのラクダ肉にフランスパンが１本付いてきます。パンは、油付きと無しを選べます。値段は、忘れてしまいました。

400gでこんな感じです。日本の焼肉より少し雑に分厚く切られた感じです。焼き加減は、ミディアムくらいですかね。

焼肉のタレは、塩（左）か特製ソース（右）の２種類。塩は、普通に塩ですが、こちらのソースが中々の美味しさ！胡椒が結構効いていて、辛しょっぱい感じです。何かスパイスも入っているかと思います。

あと、肉がそもそも軽くマリネされて味が付いています。玉ねぎもあるので、タレに飽きたら、玉ねぎと肉だけでも充分です。

こんな感じでフランスパンを箸代わりに手食でいただきます。バクバクいけちゃいます。部位は、ほとんど赤身ですが、中に脂片がいくつか入っており、これがたまらない味なのです！とにかくこの脂の旨味は、他のどんな肉もかなわない特別感がラクダ肉にはあります。

さらに、店のオープン頃に行くと、ラクダの内蔵系も食べられるのだとか。やはり内蔵は、他の肉同様、屠殺してすぐでないと美味しさや鮮度がダメになってしまうからかもしれません。次回行く機会があったら、是非朝一に行ってラクダの内臓肉にチャレンジしたいと思います。

2人で食べてたのですが、一緒に行った仕事先の人が、この店の大ファンらしく、もう1人前行こうと追加で400g注文しました。なんとか、全部食べきりましたが、フランスパンは残しちゃいました。

この一緒に行った人は、カナダに長年留学していたそうですが、その当時、この店のラクダ肉がものすごく恋しくなったとか。カナダでも食べられますが、基本冷凍でオーストラリア産。冷凍は、味が全然違うのでガッカリしたと言っていました。

私も以前、ソマリ人の街で冷凍ラクダ肉のステーキを食べているんですが（上の動画）、正直さっぱりしすぎで、気持ち物足りない感じの肉だなという感じがしました。ラクダは、現地で食べるに限るというのは納得です。（冷凍でも脂だけは、凄まじく美味しかったです！）